テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

週刊ダイヤモンド2月25日号「特集:最強の塾&予備校」に思う

2012-02-21 09:42:08 | 中学受験



 『よい塾』とはどのような塾か、『合格実績』はどう読むか、このことについては、この頃、本欄や読売受験サポートで述べてきたとおりです。
 このような折、エデュコ卒業生の保護者から、2月20日発売の『週刊ダイヤモンド:2月25日号』が「最強の塾&予備校」を特集としていることを知らされ、早速購入してみました。

 「業界動向編」の記事には、「合従連衡」「囲い込み」「垂直・水平展開」等のキイ・ワードが目立ち、業界の覇権争いに着目する論調になっています。19社にのぼる学習塾が株式公開企業であることをふまえると、なるほど、学習塾の「業界動向」も社会の関心を引くのは当然であり、この視座における記事としては、業界動向をほぼ正確に紹介しているといっていいでしょう。

 確かに学習塾といえども、ビジネスであり、各塾予備校の存亡から目が離せません。とはいえ、単なる物的な消費財の売り買いと異なり、「子どもをどのように育てるか」という、極めて、抽象的なテーマを有する需要・供給関係の上に成り立っているのが学習塾です。教育が、「人格の完成」を目的とする限り、この「人格の完成」に学習塾がどう寄与するか、という課題は忘れ去られてはならないでしょう。

 個人的なことを言えば、私が講師(教室長)としてかつて所属していた学習塾は、東京23区に本部を置く学習塾として初めて株式公開を果たした塾です。株式公開のための資料である「市況分析」の作成にあたった記憶があります。株式公開後に待ち受ける「利益確保」という至上命令を考えた時、立ち向かう気力が起きず、その後、志木駅前にエデュコを開設し今日に至りました。

 さて、記事の中では、経営者談も紹介されていますが、その中で、代々木ゼミナールの高宮敏郎氏の談「生徒を小学生から取り込む垂直統合といったような企業再編の戦略よりも、われわれがまず第一に考えているのは、それが生徒にとってためになることなのかどうかだ」(本誌37頁)には、一服の清涼感があります。不遜を承知でいえば、高宮氏は、原体験を有し、より子どもの立場を理解した経営者であると感じられます。
 ひょっとすれば、高宮氏のような新しい世代の経営者には、「真の学習塾・予備校の価値」認識が備わっていることが期待できます。だとすれば、塾・予備校が、功利主義に基づいて評価される機関ではなく、真に、一人ひとりの子どもの「人格の完成」に寄与する機関として評価される日が来るかもしれません。

 最後に、本誌「中学受験編」では、塾別の合格者数も取り上げていますが(石田達人氏作成)、52頁にある「塾別合格者のボリュームゾーン」では、学習塾の力量検証に迫る分析がされています。
 個人的にいえば、常々申し上げるように、「何人の塾生が存在し、どの様な進学分布を示しているのか」にこそ塾の本質が表れると考えています。その意味で、エデュコでは毎年度「在籍者数」「合格者数」「進学者数」を公表しているのですが、業界ルールが存在するものではなく、このような観点で比較することは難しいといえます。
 そのような中、石田氏の分析は、在籍者を分母としてはいないものの、全合格者を分母とし、難易度別の合格者数割合を求めるもので、各塾の指導レベルをある程度嗅ぎとることができる指標と言えるでしょう。石田氏はエデュコにも言及して下さっていますが、率直にいえば、このような、利害関係を持たない第三者によるより踏み込んだ分析評価は、意義があり、零細塾のエデュコの様な塾にとってもありがたいものです。
 もちろん、客観的にも本分析は有意義であり、保護者に方々にとっても、塾選びの指標になるはずです。
 (ただ、この分析にも留保がつきます。中学受験は、高校受験と異なり、実力相応校を受験しているとは限りません。進学意思の全くない学校を、練習や実力の確認として、幅広く受験することは高校受験の比ではないのが実情といえます。より真実を明らかにするものとして、個々の学習塾が、進学者分布を示してくれることを待ちます。)
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2012年 エデュコ19期生中学受験終了

2012-02-07 17:40:00 | 中学受験



 エデュコ19期生の受験も2月6日まで続きました。日毎、悲喜こもごもの光景が繰り返される中、受験生とその保護者、5年生以下の在籍生とその保護者、皆様のご協力を得て、ほぼ全力を注入した受験活動が出来得たと感じられます。皆様のご理解とご協力に感謝申し上げます。

 合格・不合格に振り分けられることが分かっているとはいえ、実際に不合格を受け止め、気持ちを立て直す経験をした子どもは、例外なく成長したと言えます。もちろん、多くの努力をし、成果を引き寄せた子どもは、大きな自信をつかんだことでしょう。
 
 このように言うのも、個々の総括において最も重視されるべき点は、「どれくらい頑張れたか」「どれくらい変われたか」にあると思われるからです。
 よく、「頑張って受かった子」「頑張って落ちた子」「楽をして受かった子」「楽をして落ちた子」という類型で語られることがあります。
 当然、「頑張って受かった」に越したことはないのですが、「頑張って落ちた子」も自分をしっかり振り返ることができ、課題認識も得ることができたはずです。「どれくらい頑張れたか」「どれくらい変われたか」を確認し、次の展望を描くことができます。
 これに対し、「楽をした子」は、たとえ合格をもらったとしても、次の展望を描くことなどできません。どの様な学習方法でどれくらい学習するという、自分の型を持ちえないままでいることは、成長したとはいえないでしょう。
 
 合格校はあるものの、惜しくも意中の中学への合格を果たせなかったある子どもが、母親を伴って訪ねてきました。母親からは「お母さんはあなたに『合格』をあげるよ」と言われたものの、どう受け止めればいいかよくわからないというのです。
 母親からの『合格』は、親として我が子の頑張りをしっかりと認め、我が子を信頼にたる人物に成長したと評価・尊敬するという表明に他なりません。一番大切なものは、家族間の信頼であり、他人から存在価値を認められる人格を作り上げることです。そのことを話した時、本人は嬉しそうな顔をして母親をみやりました。

 「どれくらい頑張れたか」「どれくらい変われたか」にこだわって総括し、次のステージでどう頑張るか、構想と決意を持って前進しましょう。

*エデュコの合格者一覧の公表は、「氏名公表承諾書」による正確な確認を以て行っており、2月15日以降を予定しております。
 また、合格者数のみの集計表も、大規模塾と異なり各校1~2名の合格に止まることが多く、繰上げ待ちの受験生への配慮を優先させたいことから、各学校の登校日を経た13日以降を予定しています。
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とことん伴走します 

2012-02-01 09:44:39 | 中学受験


 いよいよ、2月入試が始まりました。今朝の私の目覚めは午前4時前、ここ数年、2月1日に限っては、目覚ましの前に起きてしまいます。5時49分志木発の電車に乗り、5時56分にA駅に到着、ミニカイロを用意しながら子どもたちを待ちうけました。

 一人目のエデュコ生は6時8分着の電車でA駅に到着。最短距離をとれば、西高島平発で済むところを、わざわざ池袋周りにしてやってきてくれました。「即応力は誰よりも高いということ」、「だから、自信を持って臨めば良いということ」、「今日の受験校の各教科における回答の留意点」を確認し合いました。2分後には次の電車がやってきて、まだ暗がりともいえる中、6時10分に出発して行きました。
 6時30分ごろからは到着車両ごとに、子どもたちが三々五々立ち寄り、一人ひとりに対し、なるべくその子の自信になることがらを念頭に、言葉がけを行いました。

 中学受験活動の意義は「意欲的な活動体験」だと考えています。どんなに分が悪い状況にある子でも、雨風を厭わずエデュコにも通い続け、ここまでやってきたのですから妥協はできません。常日頃、「自分を大切にする姿勢を貫こう」と伝え続けてきました。合否の予見とは別に、「落ち着いて、自分らしい答案をしっかり作ってくるんだよ」と念じながら、車両の出発ごとに見送りました。

 とはいえ、夕刻には多くの学校で結果が出ます。個々の子どものリスクは十分承知しているわけで、教室に帰ってきた今(校門前に立っていたスタッフたちも教室に戻ってきて、子どもたちの様子を確認し合いました)、個々の子どもに対する今夜のやりとりと明日の展開を考えています。
 特にインターネットで合否を発表する学校の場合、子ども自らその結果を受け電話をしてくることが多くなっています。不合格を突き付けられた時、どう気持ちを整理すればいいのか分からない状況で、「テッカ(各担当講師)、落ちちゃった…」と電話をするだけでも落ち着きます。塾に電話をすることで結果が覆るわけではないものの、無念さを共有した上で、次の日どう立ち向かうか気持ちを整理するのです。

 さらに、2月2日の午後は、1日実施の結果と2日目の受験終了を受けて、エデュコに立ち寄る子どもたちも多くいます(ただし、これにはルールがあって、まだ、合格が確定していない場合のみです)。「心配」と感じたらなるべく立ち寄るようにしてください。
 とことん、伴走しますよ。絶対に否定しませんよ。必要なら、毎日立ち寄ってください。

*早々に合格を果たされた方々へ…エデュコへの立ち寄りは、4日間だけ我慢してください。私たちも、なるべく早く喜びを共有したい気持ちでいっぱいですが、最後まで頑張り続ける塾友の合格に向け、みんなで支える状況作りに協力してください。

*このブログも、5~6日間更新されることはないと思われます。スタッフ一同、身を粉にして頑張る覚悟です。
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