テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

過去問2巡目の手掛け方・意義を再確認します

2020-11-26 22:09:49 | 中学受験


 エデュコ28期生の受験学習も、過去問2巡目へと移行しています。過去問演習を繰り返す目的を今一度確認してみましょう。最も多く聞かれる素朴疑問とすれば、①「答えを知っている問題をなぜやるの?」②「同じ問題が出るはずはないのになぜやるの?」③「反復学習はエデュコの学習観の対極では?」などというものです。

 まず、お断りしておきますが、2巡目の練習は「何点取れるかな?」でないことは確かです。まさにご指摘の通り、1回答えを承知している問題ですから、実力評価とは言えません。真の狙いは、記憶した答えを記述することではなく、改善点をしっかり振り変えることにほかなりません。

 例外なく、第一志望校の1巡目演習時の得点率は40%台にとどまっていたはずです。そして、解答解説・ノート・予習シリーズを参照して改善を図り、改善後の得点率を80%としてきました。ただ、その改善分の40%は「わかる」に届いただけで、必ずしも「できる」にはなっているとは言えません。この部分をしっかり再確認することでこそ、2巡目の目的です(①の指摘とは相容れません)。ですから、2巡目は、ゲームに終わらせることなく、先ず改善点の確認=直しから始めることをお勧めしています。

 そのうえで、さらに、制限時間内でどのように実力を発揮するかを念頭に、解答の要領をイメージすることが求められます。ここまで言えば、ご納得いただけると思いますが、一般に、「反復」というのは覚えたこと・習得したことを身に着けるためのものであり、私たちが提案する「繰り返し」は、「わかる」を確かな「できる」に変えることを目的とするものです(③の指摘とも異なります)。

 また、問題分析的な視点を持たずとも、同じ問題構成、問の立て方、その解答方法になれることにより、問題への慣れ・解答要領の上達を図ることになります。つまり、「適応力」が自ずと強化され、得点力が増すことを狙いにします(②の指摘も当たりません)。

 参考までに、最も多くのエデュコ生が受験する城北中学の入試問題構成を下に示してみましょう。
<2020年度第1回入試>
「算数」
1番:計算問題2問 ①少数分数混合計算②還元算
2番:小問集合 ①割合(食塩水の濃さ)②平面図形(角度)③割合(仕事算)(④場合の数⑤平面図形(周りの長さ)⑥平面図形(面積比と辺の長さ比)
3番:速さ 4番:規則性 5番:立体図形
「国語」
物語文1題
1番:語句の意味選択2問
2番:理由選択
3番:心情表現30字以内自由記述
4番:内容説明40以内自由記述
5番:理由選択
6番:状況選択
7番: 状況選択
8番:状況説明40字以内自由記述
9番:理由説明60字以内自由記述
10番:内容説明30字以内自由記述
11番:理由説明80字以内自由記述
漢字独立題10問

<2019年度第1回入試>
「算数」
1番:計算問題2問 ①少数分数混合計算、②還元算
2番:小問集合 ①数の性質(公倍数)②割合(相当算)③平面図形(角度)④差の問題⑤平面図形(扇形の回転)
3番:速さ 4番:立体図形 5番:数の性質
「国語」
物語文1題
1番:語句の意味選択3問
2番:理由説明40字以内自由記述
3番:心情表現20字以内自由記述
4番:理由説明70字以内自由記述
5番:内容説明20字以内自由記述
6番:人物像の選択問題
7番:理由説明50字以内自由記述
8番:心情選択
9番:理由選択
10番:状況説明70字以内自由記述
11番:主題選択
漢字独立題10問

 いかがでしょうか。問題構成には、学校側の熱いメッセージが込められていませんか。だとすれば、受験生は、そのメッセージを汲み取るかのように、律義に、直向きに答えるべきでしょう。
 残念ながら、一般に学習塾は、「過去問はだれでも学習することだから、差別化とは言えない。差別化には初見の問題に答える力が求められる」として、塾の指導力を喧伝するポジション・トークを繰り返します(事の本質をかぎ取ることなく聞けば、いかにも正論です)。
 
 「過去問」の演習が滞るなら、エデュコの授業を休んででも、やり遂げてください。これまで、エデュコは受験勉強を続けるには不可欠ともいえるペースメーカーでした。ただ、この期に及んでは、そのペースメーカーも不要なくらい熱中できています。各々の課題克服を最優先させましょう。
 さらに強く言えば、「練習で出来ないことは、本番でもできません」。しっかり「できる」を作り上げ、本番を楽しみに待ちましょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

28期生 確かな受験戦略を確認しましょう 

2020-11-09 14:32:43 | 中学受験


 エデュコ28期生の受験活動も、過去問演習の2巡目へと移行し始めました。合格点を強く意識して着実に改善を進める子もいれば、中には「何点取れるかごっこ」に止まるような子も散見されます。
 過去問演習の目的は、どんどん改善を図りスコアアップにつなげることです。スコアアップにつながらない「できたふり勉強」だけは、させないようにしましょう。「この分野がうまく答えられなかった」「やっと今気が付いた」「解法の要諦はこれ」…など、改善事項を話題にする会話が成立すれば、良好な状況といえます。

 さて、埼玉入試を試験開始時期とすると、残り60日余りとなりました。いよいよ、最終的な受験戦略を描かなければなりません。現在、「志望校調査票」の提出(11月20日〆)を待っている状況ですが、改めて、次のような確認を行う必要があるでしょう。
 第一に、「公立中学への進学もありか否か」です。仮に、公立中学への進学を望まない場合、セーフティネットを用意しなければなりません。「志望校調査票」の「志望校」には進学を視野に入れている学校名を記入してください。尚、「日程表」には進学対象でなくても受験する学校をすべて記入してください。
 第二に、合格の可能性をしっかり推量したうえで、受験戦略を組み立てましょう。念のために言えば、合格可能性のない受験を控えましょうと言っているわけではありません。「こんなはずじゃなかった」は回避したいものです。
 ちなみに、合不合判定テストの評価は、ほとんど合格の可能性がない場合も、20%として表示されます。個別の結果表を見ると分かりますが、合格者のボリュームゾーンから離れると、ほとんど合格がないのが現状です。ローソク足の下限点の子は、もともと力量があるにもかかわらず、そのテストに限ってしくじってしまったような場合(外れ値)と理解していいでしょう。
 そのうえで、第三に、真に改善努力を重ね、自力で合格を引き寄せられる学校の過去問演習を手厚くすることが求められます。①「頑張って勉強してきた自分の自己評価に繋げる挑戦校」、②「しっかり準備をして、自力で引き寄せる妥当校」③「確実に6か年の椅子を確保する目的の抑え校」を認識し、特に②の過去問に取り組む時間を増やすことをお勧めします。もちろん、①と②が同じであれば言うことないですね。①の場合、偏差値や他者評価に惑わされず、突進することをお勧めします。
 合格の可能性などに関しては、担任講師と十分に擦り合わせてください。子どもの「特長」に合わせた、いい学校選びができるはずです。

 くどいですが、過去問2巡目の目的を述べておきます。
 第一に、何点取れるかではなく、過去問の復習を徹底することです。点数そのものは、1回手掛けたものですからアップして当然です。要は、求められる解法手順、知識の分野に順応させることです。全く同じ問題が出るはずはないのですが、国語でいえば、文種,問題文の長さ、設問の構成、解答要領は予定調和と言って過言ではありません。限られた時間内でどのような手順で答えるか、しっかりイメージしましょう。算数なら、計算の手順、一行問題のタイプ、独立題の分野別傾向と解答手順、問題ごとの難易度構成の理解などを認識し、最も効率的な得点方法を思案しておきましょう。理科・社会も同様です。
 第二に、過去問への対応力が上がったことを自覚した自信の獲得です。「できることには限りがあるけれど、できる準備はやり切った」という、割り切り・開き直りを擁して恐れることなくつき進めればいい受験となります。頑張った自分の成果を楽しみにする気持ちを持ちましょう。

 受験戦略のご相談は、昼夜問わず承ります。平日の授業終了後も面談可能ですので、お申し付けください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする