テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

6年生は過去問と向き合いながら改善を図り、5・4・3年生は新しい問題に楽しくチャレンジしましょう

2017-08-21 21:43:35 | 中学受験


 夏休みも終盤に入りました。一般に、小学生たちにとっては「学校からの宿題」に追われる頃かもしれません。エデュコ生にとっては、「エデュコ・夏休み家庭学習課題」もあり、少しばかり、苛立ちも募っているかもしれませね。
 まず、「学校からの宿題」ですが、最優先事項として手がけてください。仮に、予定する夏期講習があり、時間が足りないと感じられる場合、講習をキャンセルしてもいいでしょう(エデュコの講習受講は、事後キャンセルも可能です)。
 その次に、「エデュコ・家庭学習課題」を、手が回る範囲まで手がけることにしてください。

 さて、6年生(エデュコ25期生)は、いよいよ、この夏休み終盤から、過去問演習を開始します。今後(9月以降を含む)の家庭学習は、「受験校の過去問研究が中心」となり、これまでよりも、「入試問題と向き合い自分の力を高める自覚」が求められることになります。手がけ方の要領は、昨日の「過去問演習説明会」で確認したとおりです(確認事項の概要は最後に示しました。再掲)。
 はじめから合格点に届くわけではないですので、これからどれくらいの得点力の積み増しが求められるか、それは可能なものか、真剣に検討しながら進めてください。配布した個々の「過去問実践記録」とノートは毎週拝見します。がんばりましょう。

 5年生・4年生にとっての「家庭学習」は、「予習シリーズ算数(下)」の例題予習が主な取り組みになります。この作業の目的は、9月~12月期に手がける問題の「下見」であり、曖昧ながらも「展望」と「課題」を意識することにあります。もとより、自学でわかりきることは求められないはずですから、あまり逡巡せずに進めてください。「これとこれはよくわかった・・・、でもこれは?」というような手がけ方でいいでしょう(当然、9月からは通例どおり、回期ごとに丁寧に手がけることになります。この夏でやってしまおうという目的ではありません)。更に言えば、手がけられた範囲のみで充分な目的達成ですね。新しい問題へのチャレンジを楽しみましょう。
 3年生は、長文読解問題が主な取り組みです。大事なことは、誤答の修正です。「ああ、ここを読めていなかった。あれ、こんな勘違いをしていた」など、「読み方の修正」につながるよう、ゆっくり手がけてください。夏休み前に提案した範囲を終えることが主目的ではありません。

 また、3・4・5年生の「夏休み家庭学習」のノートなどは、9月の通塾日に担当講師へ提出してください。「夏休み学習」はあくまで「夏休みの期間」限定ですので、計画通りの範囲を網羅していなくても、さっさと切り上げて、「できた分」を提出してください。いつもの通り、「ページを変えて、気分を変えて・・・」という、楽しく向かう姿勢づくりにこだわりたいですね。
 この夏期講習は、6年生中心になっていますから、3・4・5年生の方々の中には、しばらくお会いできていない方も少なくありません。9月に入り、たくましい顔で、堰を切ったように通塾してくる様子を期待しています。

 6年生の「過去問演習」の意義と要領について再掲しましたので、ご確認ください。
<「過去問演習」の意義と要領(再掲・初出2016年8月)>
 まず、「過去問演習」をこの時期から始める理由です。原理的にはこの夏期講習の終了段階をもって、子どもたちは受験学習カリキュラムを終了しており、いよいよ、各校固有の出題領域・出題形式・解答形式(解答ロジック)などへの対応力を高める学習へと、内容を変える必要があるからです。

 さらに、9月~1月期といえども通塾は続くわけで、エデュコ生に限らず、自宅でじっくり受験校過去問と向き合える日は、週に2~3日に限られることになります。過去問演習の意義は、とりあえず解けばよいというようなものではなく、課題を見つけ出し改善を図ることにあるわけで、すべてではないにせよ、直近の問題については「過去問研究」を2回くらいは繰り返す必要もあります。だとすれば、この時期から取り組まなければ、納得のいく(後悔しない)受験活動にはなりえないでしょう。

 また、現実には過去問と対峙して初めて、その学校の入試問題との相性、合格の可能性を思い知らされることも少なくありません。仮に、中学受験問題が統一問題なのであれば、ただただ、偏差値をあげることに心血を注ぎ、入試も間近になったころ過去問と向き合えばよいことになるのですが、そうではないことに注意が必要です。
 実際、過去問と取り組んでみて初めて、合格の可能性を予感し受験校変更を余儀なくされ、次善の学校の過去問と慌てて取り組み、準備不足のまま受験を迎える方は少なくないことでしょう。

 ちなみに、私たち講師の立場からは、一人ひとりの子どもの強み・弱み(各学校の入試問題への相性)に関してはかなりの部分を把握しているという自負があります。ただ、学校選びはご家庭(保護者=親権者)の専権事項ですから、自己判断基準に基づき、思い切り受験学習にチャレンジしてください。そのうえで、意義ある共通理解のもと、次善の策もしっかり協議して練り上げていきましょう。

 次に、「過去問演習」の意義について再確認しておきましょう。まず、一般的な「公開テスト」の評価の受け止めかたと、「過去問演習」による得点率の受け止めかたを区別しておきます。前者はいうまでもなく、受験集団における相対評価であり、相手が他の受験生ということになります。これに対して、後者は入試の「合格基準点」と現時点における自身の解答力の距離を把握し、直線的なイメージでどんどんその距離を縮める目的で行うもので、相手は「合格基準点」ということになります。極端な言い方をすると、他人に勝てても、合格点を採れないのでは意味はなく、「合格基準点」を超える力を蓄えられるか否かだけが個々の課題と言えます。

 無論、入試問題では過去問と同じ問題が出るはずもありません。とはいえ、受験校の「出題領域・出題形式・解答形式(解答ロジック)」は、十分に予定調和的といえます。「似て非なるもの」ではなく、受験校の過去問に慣れることこそ、「合格へのショートカット」に違いありません。

 では、「過去問演習」の狙いともいえる「改善可能点(のびしろの可能性)」の算出について確認しておきましょう。
 入試問題作成時の一番の留意点は、入学者選抜という目的に照らして「適正な分布を示す問題を作成すること」です。ですから平均得点率が50%になり、合格基準点の得点率を60%にできるような問題が多くなるのが自然です。実際、エデュコ近隣校の合格基準点の平均得点率は、例年60%前後を示しています。念のために言えば、難関校であっても「適正分布」を目的に平均得点率が50%で、合格基準点の得点率が60%前後である場合が多いことは間違いありません。ですから、「本番で60%を超える力量を蓄えること」が重要です。

 ちなみに、過年度における多くのエデュコ生の場合、過去問に取り組み始めた、この時期の得点率はせいぜい40%前後だったと言えます。ここから、残りの5か月間で20~40%を積み増して合格していったわけです。漠然と取り組むのでなく、強く「合格基準点への到達」を意識して学習していきましょう。

 さて、その具体的な手がけ方と処理の仕方(「改善可能点の算出」)について確認しましょう。
 まず、与えられた解答時間通りに解答してください。そのうえで、正答にできなかった問題に対してじっくり時間をかけて向き合いましょう。「過去問題集」の解説やこれまで手がけたテキスト、授業ノートなどを参照資料として考え直します。例えば算数の場合、解答に50分、考え直しに1時間30分位要すると考えられます。国語・理科・社会についても、保護者会資料を参考にしてください。

 考え直しの後、「出来るに変えられる問題」をしっかりカウントします。この「できるに変えられる問題」を加えた得点率を80%くらいに高められたらしめたものです。エデュコでは、この「できるに変えられる問題を含めた得点」を「改善可能得点」としています。
 いうまでもなく、それ以上の得点率に達するようであればそれに越したことはないのですが、受験生の平均得点率を50%として作成される入試問題では、簡単に高得点を与えてはくれません。オリンピックでは、金・銀・銅メダルがありますが、入試に金・銀・銅の区別はありません。入試では、銅メダルを逃さない戦術(きっちりと合格基準点を超える力を蓄えること)が求められます。
 大胆に言い換えると、「過去問演習」においては、本番で「出来るとは思えない」1~2割に相当する問題は切り捨ててかまわないと言っていいでしょう。

 「出来るに変えなければならない問題か」「切り捨ててかまわない問題か」の判別が難しい時、「過去問質問票」を提出してください。担当講師は、問題解説に加えて、「しっかり正解したい問題」「出来るだけ正解したい問題」「切り捨てていい問題」の判断を添えてお返しします。

 このように、9月以降の個々の学習は、受験予定校の「過去問演習」が主となるのですが、その対象校には限りが出てきます。例年、エデュコ生に限らず、平均的な受験校数は5~6校に及び、受験生たちは、すべての受験予定校の入試問題を研究し尽くしているわけではありません。
 特定の2~3校以外の受験校への対応力の養成(幅広く応用される基礎力の完成)は、塾の授業が担っているといえるでしょう。受験生は個別の課題克服に専念し、その一方で、塾は学習分野に落とし穴を生じさせないよう、バランスをとり続ける役目を果たす、という活動が続いていくことになります。
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