3月19日(土)の新4年生保護者会をもって、2016年入試の概況報告・新学年における具体的な学習要領を確認する
エデュコ保護者会が終了しました(新3年生向けは4月16日・土の予定です)。ご夫婦で参加された保護者も多く、真剣な保護者会だったといえます。
2016年入試の概況確認の目的は、エデュコ近隣私立・国立中学の受験者数の変化や、入試問題の教科ごとの出題領域を確認するとともに、各校の求める学力(学習観)を推量し、日々の学習に反映させようとするものです。
さて、2016年入試を概観した中で、特に印象的だったのが、開成中学と武蔵中学の理科における「星座早見」に関する問題でした。他校(筑駒等)での出題も見られましたが、特にこの2校の出題は身の回りの現象確認とその原理を考えさせる狙いで一致し、ともに、大問として取り扱ったものです。
開成中学の問題の大問1は、早見盤を示し、「夏の大三角を線(―)で記入しなさい」、「星座早見の目盛の位置関係として、もっとも適当なものを(略)記号で答えなさい」など、星座早見そのものに関する問い6問で構成されていました。同様に、武蔵中学も大問3で、2枚のシートによる早見盤が受験生に渡され、試験中、実際に操作して、星座早見のつくりとその原理を問う問題でした。その一部分を紹介すれば、次のようになります。
開成中学:1番問6「図1は北緯35度、東経140度の場所で使う星座早見を示しています。もしも、北緯35度、東経135度で使う星座早見に作りかえるとしたら、厚紙の窓をどのようにあけたらいいでしょうか(略)」
武蔵中学:3番問5「この星座早見の目盛は、東経135度の兵庫県明石市を通る子午線を基準にして作られています。(略)この星座早見を東京でより正確に使うためには、明石からの経度のずれを考えて目盛を合わせる必要があります。(略)2通りの方法を考え、それぞれの方法ごとに合わせる目盛を答えなさい。そのように考えた理由を計算とともに書きなさい」
星座早見を利用して星を眺めることはもちろん、天体の動きが星座早見にどのように反映されているのか問う楽しい問題と言えるでしょう。身の回りの現象を確認し、その原理を考える身近な問題といえるとともに、日常、子どもたちの興味関心を向けさせておく必要があるといえます。
この頃は暖かくなり観察にうってつけで、一晩に「冬の大三角」「春の大三角」の両方を観察することができます。私も一昨晩(3月19日)・昨晩(3月20日)続けて頻繁にベランダに出て注視しました。あいにく、3月19日は雲が多く、午後10時(22時)ごろ真南の高い位置に、わずかに雲の切れ間から木星が確認できた程度でした。3月20日は、午後6時30分(18時30分)ごろ、真南に「冬の大三角」を確認できました。その後は、雲に覆われ続けて残念。
皆さんも早速「星座早見盤」を使って観察してみましょう。ここでは、エデュコ会員の多くが持っている四谷大塚の「星座早見ばん」を手に、3月21日~23日に東京地区で、南の空を観察する前提で要領を確認してみます。
1:2枚重ねになっていますね。下(裏)の板には、月日のメモリがあって、星座がたくさん書かれているはずです。上(表)の板には時刻のメモリと透 明な窓がありますね。
2:下の板の3月21日(23日)のメモリを確認してその日付のメモリに上の板の時刻メモリを合わせてください。時刻メモリは24時制ですね。
3:月日・時刻の調整を終えたら、早見盤の窓の「南」を下(手元)に持って南の空を向いてください(四谷大塚の早見ばんは東京標準ですから、経度 調整の必要はないですね。ちなみに京都、広島、福岡と西の地域になれば上の板に書かれているそれぞれの地域を基準にしてみてください)。
3月21日午後6時30分ごろなら、ほぼ真南の方向に「冬の大三角(オリオン座のベテルギウス・こいぬ座のプロキオン・おおいぬ座のシリウス)」を観ることができます。
まずは、真南の位置にあるおおいぬ座のシリウスを探してみましょう。握り拳を作った腕を目の高さにして前に伸ばしてみてください。その拳の上にもう一方の腕の拳をのせます。拳ひとつ分をおよそ10度分とすれば、両腕の拳を交互に重ねて拳4個分くらいの高さに、白くて明るい星おおいぬ座のシリウス(-1.5等星)を発見できるでしょう。
次に見つけやすい星は、シリウスの右上(目線から拳6個分くらいの高さ)にあるオリオン座の赤く光る星ベテルギウス(1等星)でしょう。オリオン座の形はわかりやすく、ベテルギウスは右下のリゲルと点対称の位置にあります。
それから、真南の左上に黄白色に見えるこいぬ座のプロキオン(1等星)です。シリウス・ベテルギウスと結んで逆三角形が作れますね。
ちなみに、星たちの日周運動は、1日で360度・1時間で15度(360÷24))ですから、塾の学習を終えて帰宅した午後9時30分ごろなら、真南から西の方角へ45度(15度×3)動いた位置になるはずですね。
ところで、午後9時30分ごろになると、東の空に「春の大三角」が見えるようになっています。うしかい座のアルクトゥールス(0等星・オレンジ色の星)、おとめ座のスピカ(1等星・青白い星)、しし座のデネボラ(2等星・黄色い星)で構成されますが、早見盤を使って確認してみてください(北斗七星の弓なりを延長させた「春の大曲線」に従って、見つける方法がよく知られていますが、首都圏ではなかなか全方位を見渡すことはできませんね)。
この時期、「春の大三角」を構成するおとめ座のスピカの南中は午前1時ごろになりますから、南中時での確認は無理ですね。塾の授業が終了し、帰宅した午後9時30分ごろにこだわれば、5月中旬に南中することになります。星たちの年周運動は12か月で360度、1か月で30度、3月20日午後9時30分ごろ東の空のやや高いところに見えた星は、2か月後およそ60度回転し、真南の位置にくることになりますね。
また、この時期、木星(-2.5等星・一番明るい星)がよく見えることが注目されています。特に3月22日には、満月の近くで木星が輝くことになるようです。みのがしたくないですね。今日現在、木星は見た目でしし座の下付近にあるようです。さらに、3月23・24日にはデネボラとスピカを結ぶ線分上付近にくるようです。
中学受験における理科の問題構成を大まかに言えば、学校教科書の説明を掘り下げるような問題と、より深い原理理解に基づく洞察・計算問題で構成されているといえます。前者は実験器具の正しい使い方や星座早見盤の使い方、身の回りの動植物に関する現象の確認、後者は電流計算・浮力計算・中和計算・燃焼計算などが象徴的です。
身の回りで今できることをさっそく始めてみましょう。天気予報では、今夜も晴れ、明日の夜も晴れです。見えるといいですね。