テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて37年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

「GW期間の学習」と「学習スタイルの点検」について確認します

2022-04-28 16:05:29 | 中学受験


 エデュコの2022年度学習も今週で10週目となり、新入会員の子どもたちもエデュコ道場の流儀に慣れ、学習体制の枠組みが出来た頃と言えます。
 今回は各学年とも「総復習+総合回テスト」となりました。「ああ、またテストの週がやってきた。苦手な項目が出なければいいけど…」などという会話が聞こえてきます。それは、子どもたちなりに自分に負荷をかけて頑張っている裏返しともいえます(委縮しないで立ちむかって!)。

 さて、まもなくGW期間となり、エデュコも5月1日(日)から5月8日(日)迄休講となります。「何を手がければいいでしょう」というお尋ねがありますが、原理・原則論としてお答えすれば、「学習カリキュラムが設定されていないのだから、嬉しいお休みにしましょう」ということになります。特に、5年生以下の学年の方にとっては、寸暇を惜しんでの学習期間ではなく、休息の中で、学習面も含めた自分らしさを取り戻す期間としたいものです。
 但し、6年生は別。「がんばるときにはがんばる!」それがメリハリです。この「GW期間を活用して、少しでも自分の力量を高める」こととしましょう。

 では、学年ごとに、GW期間において、点検しておきたいこと、手がけてみたいこと、を整理してみましょう。

<3年生>
 エデュコ流の「書いて考える、考え方を見えるようにして、論理にこだわる」という作業を受け入れることを狙いにしている学年です。エデュコの学習集団形成としては、「めばえ」のような段階の少人数で、「でき・ふでき」ではなく、エデュコ流学習への慣れを目的としています。
 「授業ノートの在り様」は、講師が直接に授業内で説明しますから、家庭学習の材料となる「算数ドジノート」「算数演習問題集ノート」「漢字練習ノート」「国語演習問題解答」という一連の「エデュコ学習の道具」の状態を、家族で確認してみましょう。
 特に「ノートの余白」は、「1問1問に対する拘りの意識を持たせる仕掛け」という重要な観点です。単なる記録にならないよう、意図して余白をつくるようにしましょう。
 次に、「国語演習問題集」の手掛け方を、いま一度確認しましょう。国語は、算数と異なり、数多くの解答用紙に答え続けたとしても、読解力が向上しない限り、得点力が上がることはないでしょう。説明的文章では素材文の「重要語句」を、文学的文章では素材文の「心情表現(直接表現・間接表現)」を囲む読解作業を実践しているか、選択肢文の正誤判定を一つ一つ行っているか等、具体的に確認して、「読解の型」について話し合ってみるのに、いい機会と言えます。

<4年生>
 「1週間学習計画」の提出もほとんどの方から頂き、こちらで毎授業前に点検する「家庭学習(予習シリーズ学習)」をみても、皆さんに一定の「型」が出来てきたといえます。ただ、その内容にまで踏み込めば、学習目的に適っていない、答えるだけの作業にとどまっているケースも見られます。
 算数であれば、意義ある作図になっているか、論理を表す式は正当かなどが問われますが、その一々を保護者が検証することは好ましいともいえません。図ならば「理解事項がどれほど書き込まれているか」、式ならば「順序だてられ、真に計算し、必要なら筆算まで書かれているか」などを保護者の観点とすることで、学習姿勢は見抜けます。量を目標とせず、確かな思考・解答にこだわる学習観を子どもと共有しましょう。
 国語は、「解答」を作成し正誤確認をすることよりも、どのような「読み取りのスタイル」を持つか、どのような「解答方法」を身に着けるかが問われるでしょう。説明的文章なら「重要語句」の見つけ方、文学的文章なら「心情語句」「心情表現」の受け止め方を念頭にチェックを入れる練習に重点をおきましょう。
 果たして、このような実践がなされているか、「学習方法を話し合う」機会にしましょう。
 
<5年生>
 4年生の頃は、ほぼすべての子どもたちが一様に「予習シリーズ学習」をこなせました。ただ、5年生になると、『予習シリーズ』そのものの学習量が大きく増えます。5年生以上で留意すべきことは、それぞれの体力に見合う学習量を維持することでしょう。特に、算数の手がけ方に工夫が求められます。
算数において中学入試問題の質を類型化すれば、「一行問題に代表される基本問題」「予習シリーズ例題レベルに相当する標準問題」「予習シリーズ練習問題+αと言える応用問題」「さらに深堀させる発展問題」に分けることができます。
 念のために言えば、難関校と言われる中学でも、基本問題・標準問題の多い学校、深堀型の発展問題だけの学校など、様々です。前者は問題種が10種くらい(浅く広く)、後者は4種くらい(予定調和の問題を深く)ということもできます。ですから学習の目安として、どの子も一元的に基本から応用・発展迄こなさなければならないということは言えません。
 肝心なことは、算数なら「理解がないまま、物まねで正解する」ことを可とせず、徹底的に「解法原理を理解し、正当と思える解法手順を実行する」ことです。ですから、基礎となる解法原理の理解と習得こそ、量的目安よりもこだわるべき事項といえます。
 手がける量が少ないことは、決して、他者と比較して不利益を被るものではありません。思い切って学習量を整理し、「確かな理解の量を確保する」方策へと舵を切っていいでしょう。そのような認識のもとで、確かに実行できる「1週間学習計画」を再考してください。
 さらに、このGW期間を自分らしい学習のための調整期間とすれば、4月からの「ドジ問復習」、「理科・社会の演習問題集のまとめてみよう(解答編)」を手掛けてみましょう。単純に言えば、「夏休み学習」の前倒しです。夏休み学習で想定される復習学習は広範囲に及びますから、4月分の復習を終えておくという狙いです。
 
<6年生>
 6年生は、すべての科目で総復習学習になっています。今後手掛ける教材を順にあげれば、(1)『予習シリーズ6上』、(2)『四科のまとめ』、(3)『有名中学入試問題集』、(4)『受験校過去問』となります。
『四科のまとめ』は各教科の基礎的な事項を確認する教材です。
 算数は、基礎的解法モデル(基本例題約150例)とその確認問題300問余りで構成されています。
 国語は読解の方法と解答の型を確認するもので、言い換えの問題なら「定義・同義・対義・具体と抽象・比喩」を、気持ちの問題なら「言動と心情・情景描写と心情」を、理由を問う問題なら「判断基準・事実・心情の変化・経験」を、というような「読解の型」を確認する構成です。
 理科は4分野において「基本事項の確認」と「典型的実践問題例」、社会は「基本項目の確認」と「地図や資料を用いた問題例」で構成されています。
 『四科のまとめ』各教材の使用時期を確認すれば、「算数」はGW期と夏期講習講座に関連付けて、「国語」は夏休み期間の自学教材として、「理科」「社会」は夏期講習講座にリンクさせて、手掛ける予定です。
 そして夏休みになると、個々の達成度が異なりますから、基礎項目の再確認として『四科のまとめ』を中心とするタイプ、どんどん実践力を磨くために『有名中学入試問題集』を中心とするタイプなど、また、教科によって両方を使い分けたりもします。
 そのうえで、夏休み後期からは必修として『受験校過去問』を手掛けることになります。
 さて、GW期間に手掛けたい『四科のまとめ・算数』ですが、問題条件がシンプルで、基本的な解法原理の理解に打って付けの教材ですから、全員にお勧めしています。その手掛け方を確認しておきましょう。
 掲載順にノートで解いていきます。解法原理の確認ですから、基本例題・ポイントチェックとも、線分図・解法図・図形・グラフなども丁寧にその仕組みを考えながら書くようにしましょう。ちなみに、2巡目用の空きページを設けておく必要はないでしょう。
 ポイントチェック問題では、1問ごとに解答確認をし、修正すべき点は丁寧に修正してください。また、自身の解答を出せない場合、解説を参照して解法の道筋が描けたら必ず自力で解くようにしてください。解説は答え合わせの時にだけ参考にするものではなく、解法が浮かばない場合の「道しるべ」として利用してください。
 そのうえで、疑問の残る問題には、問題番号のチェック欄にマークを入れてください。念の為に言えば、それらのマークの数によって夏期講習の受講講座を決定することにもなります。夏期講習開始前には「リクエスト票」を配布しますので、マークした問題を申告していただくことになります。
 GW期間中に『四科のまとめ・算数』を終えることまでは到底求められないとしても、出来る限り進めてください。念のために言えば、大半の中学入試の算数問題は、『四科のまとめ・算数』+「過去問」で対応できます。今後、『予習シリーズ・算数』に優先させて手掛けることも学習方法の一つです。
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新年度が開始されました。エデュコ流を再確認します

2022-04-18 20:35:23 | 中学受験

 2022年度が始まり、子どもたちも新しいステージで飛躍しようとしています。エデュコ29期生(22年度新中学生)たちも新しい制服に身を包み、来校してくれました。すべての子が生き生きとした輝きを見せて、「頑張って入学した学校こそ、一番いい学校だね」と実感させられる時です(個人的には、新しい制服を纏った子どもを見て、役割の一つを終えたという実感がわいてきます)。

 毎年、入試が終わると各校問題の確認、難易度の確認、各教科の傾向確認等を行うとともに、国語の素材文の確認を行うのですが、異なる観点で気になる小説=朝比奈あすか『翼の翼』(光文社、2021)があったので、やっとこの週末(今年に入って初めての休日)を利用して一読しました。
 朝比奈さんと言えば、入試問題頻出作家とも呼ばれ、『君たちは今が世界(すべて)』(角川文庫、2019)は、2020年入試において10校を超える学校で出題された方です。
 本書(『翼の翼』)には、周りの保護者に振り回される母親、インターネット掲示板に吸い込まれる母親、クラス分けテストや偏差値に惑わされる母親、親の期待に応えたいとする健気な子ども、親からの圧力に耐えきれず答案用紙を改ざんするこども、家を飛び出す子ども、子どもに寄り添うのではなく理想を突き付けるだけの父親、共通理解の持てない義父母等、実際に中学受験生(家族)に関わる問題点が現実と変わりなく描かれています。
 それもそのはず、朝比奈さんは二人の子ども(長女・長男)の中学受験を経験された方のようで、実録とは言えないまでも、仮想ではなく現実を知る(知った)立場で、中学受験の問題点を指摘されていると評価できるでしょう。
 多くの示唆に富む本書は、どんな講演者よりも雄弁に思えます。視野狭窄に陥る前に、経験者からの伝承として受け止めておきたい内容です(お勧めします)。

 そして、朝比奈さんの問題指摘とも照らして、改めてエデュコ学習の理念・狙い・利用価値、すなわち「エデュコ流」を確認してみましょう。エデュコ会員・保護者には自信を持ってもらいたいです。
1:エデュコには、クラス分けテストがありません。
→エデュコが子育てとして、一番こだわることは、すべての子を「自己肯定感情を持つ子にする」「自信をどんどん獲得する子にする」ことです。ですから、エデュコのクラス選択は、第一に、本人・ご家庭の希望によるものです。簡単に言えば、子どもの思いを絶対に否定しないということにほかなりません。

2:エデュコの授業内容はクラス名に忠実に実行します。
→1のように言えば、きれいごとであったり、弱小塾の言い訳のように聞こえることでしょう。授業内容はクラス名に忠実に実行します。つまり、「御三家」と名がつけばそのレベルの力量をつける内容、「名門」と名がつけば予習シリーズレベルの問題を解ける内容になります。そうでなければ、保護者に対する裏切りになります。

1,2をまとめて言えば、授業で〇をもらえなくても、頑張れる気持ちがあればいいということです。クラス選択の基準は人それぞれです。ある子は「御三家に参加して〇が一つももらえないけど、説明を聞いてわかることが楽しい。改善記録ノートを作成して力をためたい」といえば、またある子は「半分くらいは正解したい。そのうえで、残りを課題として改善記録ノートを作るやり方がいい。だから名門クラス」とも言います。保護者の学習観・子どもの実感に合わせて、クラス選択をしてください。

3:エデュコ生の多くは6年生「合不合判定テスト」を経験するまで、自分の偏差値を知りません。
→エデュコ生の多くは、6年生になるまで対外的なテストを受けることもなく、偏差値とは無縁の活動を送っています。これは、私自身が偏差値という格付けを、発達途上の子どもに押し付けたくないという思いもありますが、何より実力評価は本人の学習作業の質(さらに言えば本人の自己評価)でしか測れないという思いがあります。
 仮に、私が少年野球のコーチだとすれば、子どもの力量を打率で評価はしたくありません。「監督の言う通り、転がしたら野手の間を抜けてヒットが打てた」というより、「いい感じで振り抜けた。外野手にとられたけど、飛ばすコツがわかった気がする」というほうが、子どもにとってはうれしいに違いありません。
 教科学習にあてはめると、「わからないけど、やり方を守ったら解けた」というより、「僕・私の考え(判断)で、自信を持って解けた」ほうが、間違いなく実力向上につながります。ですからエデュコ学習の「評価基準」は「ノート作業力」なのです。エデュコの合言葉は「勉強上手になろう」であり、私が頻繁に意図して口にするのは「勉強は、頭の良し悪しではない。下手のままか、上手になるかだ!」というものです。
 
 こう書けば、「井の中の蛙」集団と酷評されそうですが、エデュコ創業以来(29年間)、いわゆる最難関校に合格者が出なかった年は1回もありません。今年の新6年生(30期生)の合不合判定テスト(4月実施)では、男子の平均偏差値がすでに50を超えました(女子はもう少し時間が必要)。
 「すでに」というのは、小規模なエデュコ集団を会員数でみると、3年生で10名位、4年生で40名位、5年生で60名位になる集団で、受験学習への取り組みとすれば、決して早い方々の集団ではないからです。これから、偏差値という指標もどんどん向上すると踏んでいます。

4:授業に増して「個人面談」が大切です。
→そもそも「エデュコ」は、「Education Conference(教育会議)」というテーマ・コミュニティのイメージとラテン語で教育(education)の原義とされる「educo」を重ねる思いで命名しました。エデュコスタッフを、「子どもを取り巻く隣人」と定義して相談にいらしてください。
 「あれをやれ、これをやれ」というのは簡単で、大人の身勝手です。「できることは何か」「優先順位はどう付けられるか」を話し合いましょう。エデュコ生の中にも「保護者からの圧力」に耐えている子がいます。「夢のある受験活動」を「教育虐待」に貶めてはなりません。
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