テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

6・5・4・3年生 「教室のピグマリオン」 

2013-10-26 14:16:18 | 中学受験


 製薬会社が販売するサプリメントの効能を示した情報誌を目にしました。これまで、あまり関心のない事柄だったのですが、「疲労改善」という言葉には、反応するようになってきたのが偽らざるところ。まじまじと見入ったのですが、感じたことが二つありました。

 一つ目は、改善率をプラセボ(偽薬)と比較した資料(意識調査)を示す案内は、サプリメントの売込みでは珍しいと感じるとともに、改善率の差異が想像するほど大きなものではなく、なるほど、「個人の感想です」としか謳わず売込みをかける類のものに至っては、いかばかりかと感じたことです。

 二つ目は、一つ目の裏返しで、意識面に及ぼす「プラセボ(偽薬)効果」は、とても大きいということです。これこそ、受験生の意識をどう形成するかにおいて、大きな示唆を与えるものでしょう。つまり、本人の意識の持ち様によって、自己評価が変わり、実際に積極的に取り組み、高い達成度を示すということになります。

 このような現象を、教育学の分野では、「教室のピグマリオン(ローゼンタール効果)」と呼びます。
 「ピグマリオン」とは、ギリシャ伝説で、“キプロス島の王が、象牙でつくった女像に恋し、ひたすら愛でて、人間になって欲しいと願ったところ、女神アフロディア(ヴィーナス)が、それに生命を与え、妻とさせた(広辞苑)”というものです。
 「教室のピグマリオン」とは、「教師の生徒に対する期待と生徒の成績達成」の相関をいうもので、“研究者が公立小学校に出向き、虚構の知能テストを実施したのち、教師に成績が著しく向上する生徒の名前リスト(実は無作為抽出)を渡したところ、1年後に、予告通り指名された生徒の成績の伸びが他の生徒より大きかった“という研究報告です。

 要するに、受験生を取り巻く保護者・塾講師は、子どもの可能性を否定せず、信頼を伝え続け、「出来るようになる」という意識を涵養していくことが肝心と言うことでしょう。
 翻って、「エデュコの取り柄」というのも、このような「思い」をもって子どもたちに接することであり、エデュコはそれによって支えられていると言って過言ではありません。
 「きっと出来るようになる」「あなたはできる子だよ」と、過度な負荷にならないレベルで、声掛けを続けましょう。
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5・4年生 テストの結果から、学習の改善点を考えましょう 

2013-10-14 17:50:06 | 中学受験


 10月第2週では、5年生・4年生の「エデュコ後期第5回総合回テスト」が行われました。当然ながら、5年生・4年生の答案からは、まだまだ、「学習方法」「解答方法」両面において、多くの課題(=発展余地)を指摘することができます。教科毎に例を挙げてみましょう。

 まず、算数の答案から感じられたことは、授業を通して身につけたい「解法スキル」が答案に表れていない場合が見られることです。「推理のための表作成(4年生)」、「円周角を求める際の半径の書き出し(4年生)」、「平行条件に着目した同位角・錯角の記入(5年生)」、「辺の長さ(比)の図形内への記入(5年生)」などが本テストの範囲に該当しますが、ただ、計算式を書いて答えを求める答案が散見されました。当然ながら、そのような場合、得点に結びついているわけではありません。
 授業ノートで練習した解法を、自宅学習でもテストでも用いること、つまり、安定的な「解法の型」を持つことを常に意識する必要があります。
 
 次に、国語ですが、設問に呼応する解答になっていない場合が見られます。例えば、「~とはどういうことですか」という問に対して、「~だから」と答えてしまったり、「なぜそのようなことが言えるのですか」という問に対して、理由を挙げず「~した」で済ますような、解答文になっていることなどです。
 正解を目的に「あれに気づいていない…、これに気づいていない…」と指摘するよりも、まずは、これもまた、解答の「型」をしっかり意識することを心がけましょう。
 乱暴な言い方をすれば、子どもたちの読解は多様であり、的を射た解答を要求すること自体に無理があるかもしれません。ですから、テストに解答する際の流儀といえる、設問に呼応する「型」の解答文を書くことだけは、強く心がけたいものです。これができれば、決して、国語が苦手な子とはいえないでしょう。

 社会では、やはり、固有名詞の漢字による記述解答が課題になります。ほとんどの中学入試では、漢字での解答が一般的であり、ごまかすことができません。今回の4年生の問題でいえば、「淡路」、「琵琶湖」、「志摩」、「真珠」、「濃尾」、「若狭」、「青函」などが、本来4年生には難しい漢字といえます。言えることは、「読める(わかる)」ではなく、「書ける(できる)」ことが求められるわけで、必ず、このような固有名詞は書きながら理解していく必要があるということです。つまり、予習シリーズ社会で学ぶ時は、「読んでわかる」ではなく、常に「読みながら書く」という作業を怠らないということです。
 さらに、5年生の場合、日本史の問題となり、固有名詞の漢字の難易度が跳ね上がります。例えば、「卑弥呼」・「蘇我馬子」・「鑑真」などが今回のテストであてはまりますが、この後も同様に難解な漢字練習が続くと考えるしかありません。

 理科では、いつも心苦しく思うことがあります。その一つが4年生の電気です。豆電球の明るさを答えさせる問題は、一般的ですが、目で確認できる現象を確認する問題だとしても、より正確な理解には、「電気抵抗」・「電圧」・「電流」という概念を基にしたロジックが必要とされるわけで、出題する側からしても割り切れなさを覚えます。
 同様に、5年生の「太陽の南中高度」の問題も、いわゆる「空間図形」の感覚が求められ、「太陽」と「地球(地軸)の傾き」、「地球の自転」の関係を正確に把握することが難しかったようです。
 このように、どちらかと言えば、理解可能な段階を超えているような単元に関しては、もっともな計算力・想像力がついたと思われる6年生の夏期講習で、じっくり取り扱うのがエデュコ流です。
 とはいっても、何でも先送りでいいというわけではありません。今回の範囲でいえば、秋を象徴する動植物(4年生)、ヒトの誕生(5年生)など、理解可能でしっかり認識しておきたい理科的な現象については、見直しを行ってください。

 最後に、日常の学習に引き付けてもう一度確認しますと、算数は、「授業で獲得した解法スキル」をしっかり身につけられるように、「ドジノート」を真剣に作成する必要があるということになります。そのドジノートには、正解・不正解を問うだけではなく、「解法スキルは確かか」というこだわりが込められていなければなりません。
 国語も同様に、常日頃の練習において、「どこが合ってる、合っていない」ではなく設問に呼応する形の答えになっているかを確認し、さらに、記述解答の場合、自分の答えが正答と思えても、よりよい解答といえる解答例文を真似るなど、解答のスキルを磨きあげてください。○の数ではなく、その作業自体が国語力を高める具体的方策と言えるでしょう。
 社会は、「読める(わかる)」ではなく、「書ける(できる)」ようになることを念頭に、極端にいえば、漢字練習のような感覚で取り組んでいいでしょう。結構、記憶に残るはずです。
 理科は、「理由が分からない」と感じる場合、担当講師に相談し、どのような理解を持っておくべきか確認するとともに、自然の現象として認識しておきたい事柄は、しっかり復習するという姿勢が必要ということになります。

 このように整理すると、エデュコ内テストは、実力到達度を図るだけでなく、日常の学習を見直し、改善点を自覚して、改めていくためにあるものと言えるでしょう。「何点だった」、「何点上がった、下がった」ではなく、さらには、「ここができていない、できている」でもなく、「学習方法において改めるべき点は何か」をテストを通して問い続けましょう。
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6年生 いよいよ具体的な合格戦略を描きましょう 

2013-10-05 10:44:18 | 中学受験


 過去問学習を開始して1か月が過ぎました。繰り返しの確認になりますが、9月から過去問学習に取り組む理由は、本欄8月26日付で述べた通り、自分が向かおうとしている「入試問題とはどのようなものか」を知り、「どれくらいの力量が求められるのか」を考え、「どのような意識」で、「どのような対策を擁して」いくか、考える機会とするものです。

 そして、1か月が経過した今、受験生・保護者には、様々な思いが去来していることでしょう。「とても、こんな問題を解けるようになるとは思えない」、「何をやっているのか、やればいいのか、確信が持てない」、「算数問題の並びがわかる様な気がする」、「国語の解答の型がわかってきた」などなどです。

 ここで改めて、「受験したい学校」という理由だけでなく、「合格点に届く学校であるか」というかなり現実的な理由を、考えあわせることとなります。
 ここまで、どの学校の過去問を購入するかという件に関しては、私たちエデュコスタッフは、ほとんど異論を述べませんでした。それは、塾主導で受験校を決定づけるのは、主客転倒であること、それ故に、入試問題と向き合うことを経験して、本人・保護者に現実的な意思決定を促したいという思いにほかなりません。

 例年、10月に入ると、いよいよ合格可能性まで視野に入れて、受験校の再検討を行っています。ここからが、本格的な過去問学習が始まるといえます。
 エデュコの講師たちから進言できることの一つに、各学校の入試問題における、「問題難度」「問題形式」をにらんだ、受験生個々の対応力があります。
 算数で言えば、「基本問題」や「標準問題」が多く並ぶ問題をてきぱきと説くことが得意な子、4問~5問の応用大問をじっくり論理的に考えられる子など様々ですし、国語でも、選択肢問題が得意な子、自由記述で主語・述語の整った、より正確な文をかける子、などという具合です。
 「わが子の合格戦略のベクトルは、これでよいか」という確認を、繰り返し担当講師と行ってください。
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