テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

「過去問質問票(6年生)」への回答は、「改善可能問題」を優先させていただきます 

2017-09-10 12:43:30 | 中学受験


 いよいよ、エデュコ25期生たちも「受験校過去問」の演習に取り組み始めました。「解説」の熟読や手持ちの資料の調べ直しなどを行ったにもかかわらず、正答のロジックが不鮮明な場合、「過去問質問票」を提出していただき、エデュコスタッフが1問ごとに解説資料を作成しお返し(回答)することが、この時期の慣例となっています。

 今年も、9月第1週を終え、早速、多くの「質問票」が提出されてきました。「やる気の現れ」を歓迎できるのですが、例年と異なる点は、その数がおびただしいことです。はたして、すべての質問に対して、滞りなく回答してあげられるかどうか、懸念が浮かび上がりました。

 例えば、私個人の場合を例にとると、算数担任として担当する受験生が、志木駅前・ときわ台駅前の両校で計35人いますが、仮に、一人につき週3問提出されるとすれば、100問以上の回答書を作らなければならないことになります。
 もちろん、質問は重複することが常で、スタッフ全員で質問票をシェアし、要領よく回答書を作成し、お返しするのがエデュコ流ですが、それでも、算数に止まらず、理科・社会の質問票、国語の解答要領の問い合わせもあるわけで、スタッフはエンジン全開で取り組むことになります。

 これまでは、本人の「改善力」や、試験本番での受験生全体の「正答率」等とは無縁に、すべての「質問票」に対して回答してきました。ただ、今年の場合、一人あたりの「質問票」の数が例年になく多く、それは、本人にとっても課題が多く、スタッフにとっても例年通りの対応なら処理しきれない作業量が立ちはだかることになります。何らかの「優先順位」を設定しなければなりません。
 そもそも、この行いは「真に合格に不可欠な学力を形成すること」が狙いですから、「本人にとっても有益な改善、合格力の確保」であり、「スタッフにとっても確かな受験生支援」といえるものでなければなりません。

 そこで、「すべての質問問題」ではなく、「合格に不可欠な問題を優先させて、まず回答する」ことに専念することと致します。
 具体的には、「質問票」の講師コメント欄にある通り、「1:しっかり正解したい問題」、「2:できるだけ正解したい問題」を優先させ、回答する予定です。合否と直接影響しない(正答率が5%を下回ると判断される)、いわば、「学校が発信するメッセージ問題」と考えられる問題は留保させていただくこととします(ただし、独立問題4題で構成されるような最難関校の算数問題など、1題の影響が大きいと思われる問題に関しては、「完答できるようにならなくても、解法の理解だけはしておく問題・部分点を取りたい問題」として、すべて回答します)。

 以上、ご理解のほど、お願い申し上げます。

 尚、6年生の「過去問演習」に関する留意点について再掲しましたので、ご確認ください。
<「「真剣な過去問学習」は周りの共通理解が伴って成り立ちます」(再掲・初出2016年10月)>

 例年、多くはないものの、エデュコ内で実施する「答案練習会」や「合不合判定テスト」などの公開テストとの出来栄えと、自宅で手掛ける「過去問演習」の出来栄えが異なり、「どちらを信用していいのか」という問い合わせをいただくことがあります。
率直に言えば、「答案練習会」と「合不合判定テスト」の関係では、大きな齟齬が生じることはなく、またその出来栄えは、授業における達成度と相関していると言えます。ですから、「過去問演習」の得点率が高すぎる場合、周りの期待に応えよう、あるいは、自分をよく見せようとするあまり、本意ではない作業に陥っている可能性があります。

 そのような場合において見受けられる、解答の傾向とすれば、特に次のような点を挙げることができます。
1:算数の解答において、書かれた式に約分などの具体的なプロセスが見受けられない。条件を整理した書き出しが見られない。解法図・問題図に書き込みがない。
2:国語の文章読解において、本文中にマーキングがされていなかったり、抜出部分を正解していても本文にマークがされていない。選択問題で選択肢文に思考の跡が見られない。
3:理科・社会の解答において、語句記述の正解の度合いが高いのに対して、選択解答の正解の度合いが低い。

 また、「改善」としての「やり直し」にみられる、気になる点を挙げると次のような点を挙げることができます。
1:算数の直しの解答式が、解答例とほとんど同じで簡潔すぎる。
2:国語の直しで、正答例だけを記入して、本文中の切り取り部分の再確認などのマークがない。
3:理科・社会の直しで、正答例だけを記入して、「~は、~。」という再確認・備忘録としての整理をしていない。
 特に算数の場合、前回述べたとおり、自分の既有知識と結びつけ「要は、こういうことか!」と理解し、そのうえで「その解法を再現できるか」を問うことになるわけで、条件の整理や式の書き出し方は自分なりのものとなるはずです。当然、約分や筆算を伴うノートになるでしょう。

 このように書けば、子どもが悪者になってしまうようですが、そうとは言えません。手ごたえを感じ、「いける」と思っていれば、一人でどんどん覚醒していきます。それにたいして、保護者との共通理解がなく、ただただ、不安に思っている子は、自分をさらけ出せないでいるということでしょう。
 子どもが「真剣に過去問に取り組む」要件として、子どもに負荷を押し付けるのではなく、行き違いのない共通理解のもと、その「負荷は皆で共有して頑張ろう」という姿勢を、保護者や私たち塾講師こそが示す必要があるといえるでしょう。「真剣な過去問学習」は周りの共通理解が伴って成り立ちます。
 修正すべき点があれば、直ちに修正しましょう。
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