エデュコ5・4・3年生の家庭学習は、それぞれ「予習シリーズ算数(下)」の例題予習に余念がない頃でしょう。例題予習の目的は、今後履修する項目の下見的なものですから、完全理解を目的とする必要はありません。「よくわからないな…」という疑問を持ってもらうだけでも十分です。どんどん下見をしておいてください。
ところで、この夏期講習を通じて気になるところは、やはり、計算スキルの重要性です。例えば、「5年生図形復習」では、「円」と「扇型」に関係する複合図形が多く登場しましたが、「×3.14」の計算を断片的に行う子も少なくなく、改善の必要を感じさせられました。
この計算を断片的に行う子どもの思いは、一つ一つ丁寧に手掛け、「自分の力量の範囲で間違いを犯さずに計算したい」というものでしょう。
その思いは理解できるのですが、このような問題において求められる力は、確かな立式をもって、正確な手順で合理的に処理する計算力と言えます。仮に、4つの「扇型」があったとすると、その一つ一つを筆算したうえで、合計の筆算をするとなれば、計5回もの筆算を伴い、間違いの危険性を高めることになります。求められる結合法則などをしっかり利用し、最小限(できれば1回)の筆算で処理することが求められているわけです。
「自分の力量の範囲で間違いを犯さず計算」するのではなく、常に、より高度な力量を身につけることを念頭におきましょう。本番では「自分の力量の範囲で」になりますが、練習では間違いを恐れず、どんどん「自分の力量」を上げることを狙いにするということです。
ちなみに、×3.14の筆算は掛け算の九九と同様に、「3.14の段」として9通りの答えを自然にマスターしておくことが求められます。念のためにいえば、ある数に3.14をかけるのでなく、3.14に1から9までの数をかける手法には絶対こだわる必要があるということですね。
他に、計算スキルとして強くこだわりたいことを上げれば、分数を自在に操るスキルといえるでしょう。割合を分数で処理できるか否かが、算数の伸長度を左右すると言って過言ではありません。一々割り算の筆算をするのではなく、分数化することによって、割り算を掛け算へ変換し、無駄のないというよりもリスクのない計算手順を獲得しなければなりません。具体的には、小数・分数の混合計算だけなく、小数÷小数の計算なども分数に変換して行える計算手順ということになります。
ちなみに、0.25、0.75、0.125,0.375…等の小数を分数に変換することなどは、この時期にできるレベルになっていたいものです。
夏休みも残りわずか、求められる計算手順を意識しているかどうか、再確認してみてください。保護者とすれば、単に「速く計算する」「間違わない」というようなことを子どもに要求するのでなく、より「論理的な計算技能の習得」を狙いにするようはたらきかける必要があります。あえて、「間違いも覚悟して、計算スキルを上げる」練習を心がけましょう。問われるのは、「入試本番の出来」だけでしょうから。
私の場合、子どもたちに「ゆっくり、速く、計算しよう」と声掛けしています。子どもたちも、この矛盾を含む「標語」を、はじめは訝りながらも、徐々に頷くようになり、「合理的計算の妙」を楽しむようになっていきます。
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