テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

保護者会の目的

2012-03-29 20:18:34 | 中学受験



 エデュコ新年度の保護者会を、3月3日(土)の新6年生を皮切りに、新5年生・新4年生まで各土曜日に開催しました。保護者会は6年生で年5回、5年生で年4回、4年生・3年生で年3回開催しています。これまでの3学年にわたる参加状況は、およそ9割と言ったところで、土曜日にもお仕事を持つ方々を除けば、ほとんどの保護者が、お忙しい中をお繰り合わせのうえ、参加されているといえます。
 参加できないような場合、その多くの方々は、保護者会資料を確認後、個人面談にお見えになります。

 では、今回開催した保護者会のテーマを例に、その目的を確認してみたいと思います。
 今回は、2012年度エデュコ生入試の報告と、学校ごとの入試問題の特徴と受験者の適格性の検討を全学年に共通して行ったうえで、各学年段階における学習の留意点を確認するものでした。

 6年生においては、受験該当学年としての1年間の学習枠組みの確認を行いました。具体的には、①7月上旬までは、現状維持の学習スタイルとなることから、現状で手掛けるべき教材と受講クラスの再確認、②夏休みには、各教科単元別の復習に取り組むことから、その教材の具体例と予定する講習講座の案内、③9月以降は、各自が目指す受験校の過去問演習が中心学習となり、エデュコ講座は、基本事項の再確認を目的とする講座や、独特の出題形式を持つ学校へ向けた学校別特訓など、個別に多様化することから、その教材と学習イメージの確認、④校風・試験問題に対する相性等を意識した志望校選びのポイント、などをテーマとするものでした。
 
 5年生においては、いよいよ、受験カリキュラムの履修が始まるわけで、家庭学習の進め方の要諦を確認しました。①多岐にわたる各教材の特徴と、選択のポイント、②各クラスの授業運営方法とその狙い、③エデュコ・ウィークリーや総合回テストに関すること、④保護者の家庭学習へ関わり方、などをテーマとしました。

 4年生においては、多くの方々が、塾通いを開始され手間もないことから、①各教材の特徴と選択のポイント、②家庭学習表作成の要諦、③例題学習の方法、④漢字練習の方法、⑤読解演習の方法、⑥ドジ問題の手掛け方、等をテーマとしました。

 このように、保護者会のテーマはそれぞれの学年段階で異なり、さらには、時期によっても異なり、具体的に、現状確認と先の展望を描くことを目的としています。
 もとより、エデュコの主張は、「塾に通えばよい」というものではなく、エデュコ内学習と家庭学習を効果的に結びつける方策を考えようというものであり、エデュコスタッフと保護者・受験生間における共通理解が不可欠というものです。
 なるべく多くのご参加をお待ち申し上げます。
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総合回テストの意義

2012-03-21 19:07:06 | 中学受験


 エデュコでは、3月5日から3月10日の期間、4・5・6年生において新年度第1回目の総合回テストを実施致しました。総合回テストは、「予習シリーズ」カリキュラムに組み込まれた、5週に1回ずつ設けられた総復習回時に、エデュコ内で行っているテストです。
 6年生の2学期から毎週実施される「答案練習会」を待つまでは、つまり、4年生から6年生前期までは、毎週の各講座において何らかの小テストが実施されてはいるものの、エデュコ内順位を確認できる実力テストは、この総合回テストしかありません。

 では、この総合回テストの意義を確認してみたいと思います。
 第一に、このテストは、学力分布を示すことよりも、個々の課題を抽出することを主目的としています。例えば、算数でいえば、一つ一つの問題の難易度に大きな差がなく、前4週で学習した解法モデルの定着の度合いを忠実に、なるべく多く確認する狙いを持っています。
 ですから、易しい問題から難しい問題までを並べ、個々の優劣をつけることではなく、個別の視点でどの様な問題を解くことができるようになり、どの様な課題が残されているかを検証できるものになっているといえます。
 間違えた問題全部とはいきませんが、正解できなかった問題はしっかり復習してください。

 第二に、このテストには、得点による合格可能校を示してありますが、過年度生と同じテストを行い、過年度生の進学実績から算出されたもので、学校そのものの難易度が変わらないとすれば、このテストの信頼度はかなり高いと言えるものです。
 無論、学力達成度はどんどん変化していくものであり、硬直的に考えることは避けなければなりませんが、この目安は、今後の可能性を探る基準として、あるいは具体的目標として取り込んでいただきたいと思います。
 小規模塾ですので、毎年異なる集団による偏差値評価は、進学指針としての意味を持ちません。あえて、過年度生も使用したテストを使用しているものです。
 問題の変更は、予習シリーズの改訂ごとを基準にしていますが、社会科の統計資料等は、適宜更新しながら、実施しています。

 第三に、このテストの結果一覧表は、本人が決めたペンネームによる順位表となるのですが、個々の子どもが、このテストにより、具体的な到達度(順位)目標を設定できることです。
 ペンネームとはいえ、上位者には「優秀書」「最優秀賞」の、順位が十位以上上昇した場合には「努力賞」の表彰状が、それぞれ用意されていますので、子どもたちにとっては、外発的動機づけとはいえ、励みになるものです。優秀賞を目指すこともいいことですし、努力賞を目指すこともいいことです。
 「人は人、私は私」という基本姿勢は崩さないとしても、相対比較の面でも個別の目標は立てていいでしょう。「とりあえず、この位置だけど、ここからどれくらい頑張れるかな…」という様なものでしょうか。

 ところで、4年生第1回目の総合回テストでは、算国2教科の受験に止まる方が多く、4教科の受験生が少ない現状でした。
 もとよりエデュコでは、中学受験学習といえども、算数・国語・理科・社会の優先順位をもつべきであり、算数・国語がままならない状況での理科・社会の履修は意味を持たないという考えに立っています。実際エデュコは、これまで4年生時において、理科・社会のテストを実施したことがなく、エデュコ族の伝承事項としても、認識されているはずもありません。

 ただ、その基本的な考えは変わらないとしても、「予習シリーズ」改訂による学習カリキュラムの前倒しがあることを踏まえれば、通常のエデュコ授業の受講とは関係なく、現時点での総合的力量を把握する目的でのご利用はあってもいいのではと考える次第です。
 無理強いは出来ないものの、子どもが肯定する限りにおいて、理科・社会テストへの参加をお勧めいたします。
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進学情報誌の良識

2012-03-07 16:36:05 | 中学受験



 学研パブリッシングから、新刊『10歳までに決まる!頭のいい子の育て方』Vol.18(2012年1月1日)を、学研教育出版から、新刊『2012~2013年度 合格は塾選びできまる』(2012年2月)を、それぞれ頂戴していました。

 まず、前者『10歳までに決まる!頭のいい子の育て方』についてですが、少し大げさなタイトルと思いつつ、内容を確認しますと、「早期教育VSスロー教育」の枠組みで、10歳未満の子どもに施す個々の学習方法について触れています。
 内容は実践者の主張を紹介し、研究者の知見を加える構成になっています。研究者の指摘に共通してみて取れることは、能力(脳力)開発には「臨界期」があり、適切な施しは有益であること、ただし、その施しは強制的であってはならず、能力(脳力)の形成や蓄積も成長に伴って変化する(可塑性を持つ)ことから、子どもの意欲をどう喚起するかが重要と言うものに感じました。
 数多の学習論が渦巻くなか、個別の学習方法を検証することには意義があります。子育て最中の保護者に情報を提供し、自己判断を促すものになっており、頷けるものでした。子育てに関わる事項の検討は、「良識」に照らして妥当でなければなりません。
 
 ところで、驚いたのが本誌で「9歳の塾選び」として、6つの中学受験塾が紹介されており、エデュコもその一つとして取り上げられていることです。確かに、事前に紹介記事の内容確認を求められましたが、その際、こちらとすれば、中学受験塾が列挙された一覧表のようなものを想像していました。率直にいえば、「編集者が本誌のコンセプトに見合う塾として、『学習スキルの習得を目的とするエデュコ』を選定して下さった」と感じています。

 次に、後者『2012~2013年度 合格は塾選びできまる』は、毎年発行されているもので、その名の通り、「進学塾」及び[家庭教師]についてのガイドブックです。
 塾選びに関しては、合格実績や費用ほか、比較検討に必要な情報を示しています。客観的数値を並べることになりますので、大手塾に関する記述が多くなることは否定できませんが、エデュコのような拠点塾の存在価値も示してくれることは、保護者の塾選びに役立つと思われます。

 これまでも、エデュコは進学情報誌等において、広告料を伴う記事を依頼したことは一度もありません。大規模展開をしているわけではないですから、その必要もないのですが、きっちり、見逃さずに、取り上げてくれる情報誌には、「進学情報誌の良識」を見せてくれたと感謝する次第です。
 
 このような評価を頂戴しながら運営できていることは、エデュコを知る保護者・ジャーナリスト・学校関係者のご支持によるものであることは間違いありません。「エデュコにできること、できないこと」をわきまえ、信頼を裏切らないように努める所存です。

 
 尚、この1年以内で、エデュコを紹介して下さった主な情報誌は、以下になります。

『2012~2013年度 合格は塾選びで決まる!』学研教育出版(2012年2月)
http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/bookdisp.asp?code=1130358500

「受験に勝つ!学力が上がる! 最強の塾&予備校」『週刊ダイヤモンド 2012年2月25日号』株式会社ダイヤモンド社
http://dw.diamond.ne.jp/contents/2012/0225/index.html

『10歳までに決まる!頭のいい子の育て方』Vol.18 学研パブリッシング(2012年1月1日)
http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/bookdisp.asp?code=1860653300

『中学受験合格ガイド2012』読売新聞東京本社(平成23年7月29日)
 http://info.yomiuri.co.jp/mag/book/12chugaku.html
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入試問題に映し出される私立学校(教師)の教育的見識

2012-03-01 16:31:20 | 中学受験


 2012年中学入試から1カ月が経過しようとしています。入試後、私を含むエデュコ・スタッフは、授業・面談・業務の合間を縫うように入試問題を確認しているところです。

 ところで、本欄においても2012年1月24日、時事問題への対応について、次のように述べました。

 定見を持つ専門家が出題する時事問題の狙いは、実際の出来事から、社会や理科の原理をどう考えるかということであり、瑣末な知識を問うものではありません。つまり、今の話題を切り口にして、「これまでに習得してきた知識や考え方」にどのように照合させるかということに他ならず、答えとすれば、「これまでに習得してきた知識や考え方」を問いただすものが圧倒的に多いといえます(瑣末な事案名や数値を答えさせる問題も散見されますが)。
 たとえば、昨年話題になった“TPP”は関税制度の問題であり、“TPP”を切り口にして、かつて国益保護のために行った「関税自主権の回復」や、現在直面する日本の「農業問題」(各産業の振興策)等を答えさせる問題として多く出題されるでしょう。
ようするに、時事問題を特殊なものとする必要はなく、これまでの学習に自信を持って、入試を迎えればよいわけです。
 (「エデュコ『時事問題特訓』の意義」 2012年1月24日)

 とりあえず、開成中学の例などで確認してみたいと思います。

<2012年開成中学社会>
 2011年3月11日に①東北地方の沖合の(1)海溝付近で起こった地震によって②大規模な津波が発生し、各地に大きな被害をもたらしました
(略)たとえば④八ッ場ダムは、巨額の(略)2011年夏の時点では、⑤ダム本体の建設工事が中断されています
 大きな議論になっている問題はほかにもあります。日本がTPPに加盟すべきかどうかも、そのひとつです。TPPは「(5)パートナーシップ協定」などと訳されています。加盟国間で⑦関税を撤廃したり、(略)⑨国内の農業関係者などからは加盟に反対する声が上がっています
 今、我々は、これからどのような社会を目指していくのかを決める、大きな別れ道に立っているのかもしれません。

問2下線部①に関連して、東北地方の沖合には、暖流と寒流が流れています。(略)海流を矢印(→)で書き込み、それぞれの海流の名称と、その海流が暖流か寒流かを(略)示しなさい。
問3下線部②に関連して、
(1)(略)この地図中に見られる海岸の地形は何と呼ばれるか、答えなさい。
(2)(略)この場所がわかめやかき等の養殖に適している理由を1つ答えなさい。
問5下線部④に関連して、八ッ場ダムの位置を次の地図中のア~カから選び記号で答えなさい。
問6下線部⑤に関連して、ダムの建設を管轄する官庁名を答えなさい。
問8下線部⑦に関連して、関税とはどのような税か、簡潔に答えなさい。
問10下線部⑨に関連して、農業関係者の団体がTPPに反対する理由を、説明しなさい。


 いかがでしょう。時事問題を切り口として、「日本の国土と自然」・「政治・行政」の基本的な知識や原理を問う作問意識は、社会科を「社会学」として位置づけ、入学してくる子どもたちを、今後、学問モードの学習に導いていく雰囲気を十分に感じさせてくれるものです。
 また、リード文の最後の件は、社会科教員としての定見がしっかりと伝わってくるようです。
 
 同様に、麻布中学は、「世界遺産」に登録された石見銀山に関連して、徳川家康による「朱印船」を用いた取引が行われていたこと、その希少性から「天領」とされたことなどや、世界遺産認定機関である「ユネスコ」を問う問題を出題しました。
 また、雙葉中学は、「昨年は、東北で大変な災害のあった年でした。」と、事実を述べたうえで、日本赤十字社等の救援活動の根拠規定である「災害対策基本法」を問う出題をしました。
このように、高く評価される私立学校の入試問題ほど、「教育」の見地に立ち作問されている傾向をかぎ取ることができます。

 これに対し、瑣末な事案名や固有名詞を答えさせる入試問題(学校)をみると、社会科を「あれを知っている、これを知っている」というような、「雑学知識」と変わらないものに貶めている気がしてなりません。
 いや、このような入試問題に見られる学校間の差異は、専門職としての見識・定見が映し出されたものと言って過言ではないでしょう。
 だとすれば、「あれが出るかも、これが出るかも」という不安に陥り、翻弄されるのではなく、受験する側が、自身の定見ともいえる学習観に合致する学校を選びとればよいわけです。
 
 本来、子どもたちに求められる学習は、雑学ではないはずです。社会科でいえば、自分の存在する現代社会を、「歴史」「地理」「政治」という、それぞれの側面から考察する訓練をしているといえます。
 真に「教育」的な見識(定見)をもって、子どもたちを施す学校を、受験する側が選別していきましょう。
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