拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

「BSマンガ夜話」のこと

2006-09-27 23:28:44 | 漫画
「BSマンガ夜話」という番組をご存知だろうか。毎回一つの漫画作品をテーマに取り上げ、その作品についてレギュラー陣とゲストがとことん語り合うという奇妙ながらも漫画好きにとっては見逃せない番組。放送時期は不定期だが大体4ヶ月に一回、NHKBS2で3~4夜連続で放送される。1996年の夏からスタートしたこの番組だが、昨年の春の放送以降新シリーズが放送されておらず、「ついにマンガ夜話打ち切り!?」と番組ファンにはかなり心配されているが、いまだに次回の放送のめどは立っていない模様。私、この番組本当に好きで。自分の好きな漫画が取り上げられた回は録画して何度も見てた。この番組で取り上げられたのがきっかけで読んだ漫画も結構ある。知らない漫画がテーマになっていても、出演者たちの話を聞いているとついつい読みたくなってしまうものなのだ。レギュラー出演者は漫画家代表のいしかわじゅん、オタク代表の岡田斗司夫、漫画評論家代表の夏目房之介(漱石先生の孫)、大学教授代表で司会も担当するの大月隆寛。このメンバーが、テーマになった作品に対して時に辛口に、時に賞賛のまなざしで、時に斬新な視点で面白おかしく突っ込んでいく。決して漫画の感想を語り合うだけの単純なトーク番組にはならないのが魅力だ。生放送なので、「そんなことキツい言っちゃって、作者見てたら怒られるんじゃ?」というようなこともバンバン流れる。
過去テーマになった漫画は『Dr.スランプ』『スラムダンク』『稲中卓球部』等の少年漫画系、『エースをねらえ』『ベルサイユのばら』『動物のお医者さん』等の少女漫画系、『課長島耕作』『沈黙の艦隊』『ベルセルク』等の青年誌系、『ドラえもん』『あしたのジョー』『サイボーグ009』等のクラシック系などなど、節操なく幅広い。これまでに軽く100作を越える漫画作品について語りまくっている。一作家一作品が原則だが、手塚治虫作品は特別なのか3夜連続で放送された(『メトロポリス』『W3』『ブラックジャック』)。また、「完結している作品を扱う」というルールもあるようだが、『ちびまる子ちゃん』『魁!クロマティ高校』のような一話完結モノや、『ガラスの仮面』のようないつ終わるかわからない作品がテーマになることもあった。
これだけ幅広いジャンルの漫画が毎回扱われるため、殆どの漫画が自分が未読の漫画だった。で、先述のように放送を見たあと未読の漫画に興味を持ち、翌日本屋に走る、ということが中学・高校時代多々あった。『湘南爆走族』とか『TO-Y』とかその他いろいろ…。『沈黙の艦隊』も読んでみようと思ったんだけどその巻数の多さにビビって読破に至らなかった(全32巻。いつか読んでやる~)。それでも見ててやはり面白いのは自分が読破済みの作品でしょう。『幽遊白書』の時はジャンプ編集部によって圧迫されゆく冨樫を通して、かつて発行部数600万部を誇った少年ジャンプの功罪についてスポットが当たったり、『ガラスの仮面』を通して、「ご都合主義の快感」を再確認したり。自分が読み親しんでいた漫画作品の裏の仕掛けがパァーっと明るみに出てくる感じが新鮮でたまらなかった。もう、なんで次回の放送が未定なんだ!頼むよBS。
出演者たちが男ばかりということで、少女漫画がテーマのときは割と笑いのネタとして語られる場合が多い気がする。男が少女漫画を読む場合、「コマ運びが複雑」だとか「絵が華やかすぎて」だとかの理由でやはり漫画との間に一定の隔たりができてしまうのだろう。『ベルサイユのばら』や『ガラスの仮面』の回は特にその傾向が強く、「茶化しすぎ!」と一部の女性視聴者から反感を買ったらしいが、私は出演者たちと一緒にケラケラ笑いながら見ていたので、もしかしたら漫画を読む視点が男っぽいのかもしれない。『ガラスの仮面』とか作品としては大好きだけど、読んでる間中ずーっとつっこみまくりだったもんな。「『目の動きだけで鳥が…』って無茶だろ!」とか「『紅天女』ってストーリーとして面白いのか?」とか。でもつっこみつつ笑いつつも、一度読み始めたら止められない怪物漫画なんだよね、結局。凄いっす。