★ Serena ★

カナダ暮らしのエスペランチスト、自然愛好家。
エスペラントやカナダの野草、ネーチャークラブの活動など思いつくままに。

マーガレット

2005-06-08 02:54:03 | Weblog

6月に入ってまだ一週間ですが、暑い日が続いています。
天気予報は雷雨の予報を出しているにも拘らず、雨も降っていません。二三度にわか雨があっただけ。
そして、ガーデン・ショップの店先には賑やかに花々が飾られています。ハンギング・バスケットやその変身ともいえるハンギング袋(正しい名前は知りません)など。これは土を入れた縦長のプラスチックの袋の片面だけ所々に穴を開け、その穴に花を植え込むもので、天井から吊るす代わりに壁に掛けるのです。
大自然にはバターカップやミヤコ草、アカシヤなども咲きだし、空き地や郊外の路傍にはマーガレットが満開です。
この花の正しい名前はOxeye Daisy(Leucanthemum vulgare)、雛菊なのですが、我が家ではマーガレットと呼び続けてきました。ヨーロッパ原産のこの花をマーガレットと呼ぶ国があるのでしょう。
この質素な花が咲き始めると完全に夏が来たことを感じるのですが、同時に思い出すのは一昨年喉頭癌で亡くなった友人マルゴのことです。この花をマーガレットだと教えてくれたのは彼女でした。
マルゴ(マーガレット)はチェーン・スモーカーで、出会った当初からガラガラ声だったので、元来どんな美声だったのかは知る由もありません。カナダに来て最初に知り合った友人でした。
タバコ止めなよ、肺癌になるよ。
といつも忠告していたのに聞き入れようとはしませんでした。
何年間かエドモントンに住み着いて、そこで亡くなりました。ある夜突然見知らぬ人から電話があって彼女の死を知らされたのです。彼女の所持品の中に私達の電話番号を見つけたからと掛けてくれたのでした。数年前亡くなった電話の主のお母さんがマルゴと親しかったので、同じ墓地に並んで入るのだとも。
喉頭癌って苦しかったでしょうね。
電話の主は末期は苦しみも無く安らかだったと付け加えましたけど。
身寄りの無いマルゴの最後の面倒を見てくれたこの人に感謝しました。
私はエドモントンにはマルゴが元気だった頃一度遊びに行ったことがありますが、それ以来行く機会も無く、また、今となっては行く気にもなりません。
寂しくなると良く電話を掛けてきたマルゴでした。英語を書くのが苦手なので滅多に手紙はくれませんでしたが、それだけに私の書いた便りに返信が無くてもあまり不思議に思わなかったのです。こちらから電話しても留守だったのは既に病院に入っていたからだったのかもしれません。病気のことを私たちに知らせなかったのは、こう遠く離れていると何かをしてあげることも出来ないのですから、「知らせてもしょうがない心配させるだけだ」と言う思いが有ったかも知れません。
六月十八日はマルゴの誕生日です。お祝いのカードを送る宛先も無くなりました。せめて彼女の冥福を祈りながらマーガレットの花を楽しみたいと思っています。




写真は雛菊

フォーム・フラワー

2005-06-06 02:23:16 | 野の花 - 春から夏へ
この花を始めて見たのは昨年スプーキー・ホーローに行った時。
「何々?オームフラワー?」
「フォーム。あぶくョ。」
ナルホドねェ。細い棒に纏わりついた泡に見立てるなんて。。。
と甚く感心してしまった花でした。

それから数ヵ月後ガナラスカの森へ行った時、花の終わってしまったこの草を見て直ぐフォーム・フラワーだとわかった時は嬉しかったです。我ながら、もう覚えた、偉い偉いと自分の肩を叩きました。


4月頃から夏に掛けて咲く結構長持ちする花のようです。地下茎によって繁殖し、群生します。遠くから見るとほんのりとピンクがかって見えるのはその葯(雄蕊の先)の色のせいです。葉はギザギザのある楓の葉の形で、鮮やかな緑色。花はあまりに小さくて虫眼鏡でも良く判りませんが、花弁は五枚で星の形に開き、大きさの違う雌蕊が二本あるという面白い花で、700種もあるというユキノシタ科の一つです。

タンニンを非常に多く含むので、天然の収斂剤となり、原住民は葉を煎じて口内の痛みや眼の病気に使ったそうですが、根を煎じたお茶は下痢に効いたし、ハップ剤として傷の治療に使われたということです。

学名はTiarella cordifoliaです。Tiarellaは雌蕊の形が過去に古代ペルシャ人が使ったターバン(Tiara)に似ているからなのだそうです。日本名は判りません。エスペラント名も判りません。直訳すれば「S^aumofloro」なのですけど。

グミの花

2005-06-05 05:09:48 | Weblog
毎日の様に歩き回っているこのダッファリン島にグミの木が生えていることに気付いたのはつい昨秋のことです。それまで何故気付かなかったのかは単なる不注意と言う以外理由はありません。
赤いふっくらしたグミの実は銀色の斑点が付いていて実に可愛らしい物です。

グミの実の思い出はまだ5才くらいの可愛い盛りだった頃にさかのぼります。
私達が住んでいた村の村外れに住んでいた或るおじいさんは私のファンでした。植え込みのあるお庭にグミの木があったらしく、そのお庭を眺めながら縁側に腰掛けて湯呑一杯に摘んでもらったグミの実を食べている光景は今でも鮮明に記憶しています。グミの実が美味しかったかどうか、その辺の記憶は全くありませんがその赤い実の銀色の斑点は美しく、暖かな陽射しの中で輝いていました。
このおじいさんには18-9才の孫娘がいました。おじいさんが私に会いたくなるとこのお姉さんが私を迎えに来るのです。この人の背中に負んぶされて、村外れの豪邸までの道のことも何となく記憶があります。

その頃我が家では弟が生まれたばかりで、まだ3歳の妹も居たことだし母としては育児に大変な時期だったのでしょう。だから、ファンの誰かが一人を受け持ってくれることには異議が無かったのでしょう。反対の方向にあった床屋のおばさんも私のファンでした。おばさんが床屋の仕事をしている店先で、まるで自分の城のような顔をして威張っていた記憶もあります。

ずっと後になって知ったことですが、このおじいさんはとある誰かに不愉快極まりない中傷を受けカッとなって、持っていた仕込杖でその人を殺してしまったことがあるのでした。お金があったので、お金で罰を免れたとのことですが、そのため非難の眼で見る人も多かったでしょうし、恐らく孤独だったのでしょう。

実家の前庭にも妹が植えたグミの木があるのですが、私は花がどんな色や形をしていたのかまるで記憶が無く、この春はどうしても見てやろうと、待ち続けていたのです。それがついに咲きました。
蕾のうちから観察していたのですが、うっすらと銀色の産毛が生えて細長いホオズキの様な形をしていました。花弁は4枚(後で判ったのですが、これは花弁ではなくガクの先端の延長なのだそう)です。枝一杯についた花を遠くから見ると霞が掛かったようにボーッと白っぽく目立ちます。これ程目立つのに何年も見逃していたなんて。
私は一本のグミの木に気付いていたのですが花が咲いてみると、有るわあるわ。直ぐ隣に若いのが一本。少しはなれてもっと大きいのが4-5本あります。太いのは幹の直径が15センチ位もあるのです。

グミは英語では何ていうのでしょう。辞書にはSilverberryと出ています。
検索してみてあまりにも情報が少なく驚きました。Silverberryで探したら、葉の色が黒っぽい写真が出て来ました。これでは全く違う植物です。Silverberryを日本語で探したら、たった一つ「ギンヨウグミ」と言うのが有りました。恐らく「銀葉グミ」のことで、ダッファリン島のグミはこれに当たるのではないかと思いますが、まだまだリサーチが必要なようです。

学名は「Elaeagnus multiflora」で、Elaeagnusはギリシャ語のelaia(オリーヴ) と agnos(純粋)から、multifloraはラテン語の沢山の花の意味。と言うところまでは漕ぎつけましたが。

Cherry Silverberry-Gumi-と言う名の潅木を売っている苗木屋さんのサイトを見つけました。
「Gumiって何のこっちゃ」と書いてあります。これから押してやはり原産は日本なのでしょうか。
それともグミという名に特別な意味があるとしたら。。。その名の出所が原産地なのでしょうね。

どなたか、グミに詳しい方からの情報を心待ちしながら。。。



みつばおうれん

2005-06-02 11:57:37 | 野の花 - 春から夏へ
五月から七月に掛けて湿っぽい森や湿地に咲く花です。白い花は直径が1.5センチくらいしかなく、高さもせいぜい15センチ。葉は3枚に分かれた常緑で5センチ足らずです。
黄色い糸の様な地下茎がその名の由来。原住民や開拓者達は口内の腫れ物(Canker)を治すのにこの根を齧ったそうで、別名がCanker root。各種の苔に混じって生えていることが多いようです。
ミクマク族の薬草についてローリー・レーシーと言う人が書いた本によると、この草は世界のいたるところで薬用に使われ中国では食欲増進剤とされていたそうです。彼は胃癌を治した人のことも書いています。
医者に見離され、病院から出された人が一月の冬の最中に森に行き、地面を掘ってゴールドスレッドを集め、煎じて茶匙一杯ほどを毎日飲んだら一ヶ月で胃癌が治ったというものです。
それほと効くのなら、栽培方法でも考えたら良いのになァと思うのは素人考えでしょうか。
この根から黄色い染料をとることも出来るそうです。それこそ大量に取らなければならないので栽培が必要でしょうね。

日本名は「みつばおうれん (三葉黄蓮)」、エスペラント名は見つかりません。従って勝手に「Orafadeno」と決めました。学名は「Coptis trifolia」
学名のCoptisはギリシャ語のKopto(切る)から来たもので「切れた葉」により、
Trifoliaはラテン語のTri(3)とFoliatus(葉を持っている)、つまり「3枚の葉を持っている」から来ています。