つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ほほぅ

2006-03-26 16:21:38 | ファンタジー(異世界)
さて、二日酔いで頭痛がしてるなぁの第481回は、

タイトル:彩雲国物語 黄金の約束
著者:雪乃紗衣
出版社:角川書店 角川ビーンズ文庫

であります。

目録探してみたら12月25日に1巻「はじまりの風は紅く」を読んでいて、その続きの2巻。
1巻では、主人公の秀麗が昏君の王をたたき直してくれと依頼され、後宮へ行き、そこで起きる事件などを経て、めでたしめでたしな話だった。
評価は甘々の及第点ではあったが、この2巻、なかなか好みとしてはいい感じになってきている。

さて、後宮を辞して、約束通りの報酬金500両ももらい、これで前の貧乏生活も改善された……はずの秀麗の住まう紅家は、家の修繕だの何だのとやっているうちに、あっさりといままでと変わらない生活に戻っていた。
雨漏りがしなくなったことと、麦飯が米飯になったことを除いて。

あと、匿名希望とありながら誰かがバレバレな王の劉輝から、傍目には嫌がらせとしか思えない非常識な贈り物が来ることが変わったことか。

そんな秀麗のところへ、ふたつの出来事が起きる。
ひとつは、伸び放題の髪と髭面の男が家の前で行き倒れていたこと。
もうひとつは、夏の暑さに次々とダウンした王宮で働くこと。

ストーリー的にはこのふたつが、同時並行的に進んでいく。
行き倒れの男のほうは、家人である静蘭や茶州という地方での権謀術数に絡んで。王宮で働くことは、男子専制の国試に女性も受験可能にするための話に。

まぁ、このふたつに関してはまぁいいだろう。
実際、ラストには秀麗は実験的に導入された国試に合格したことも書かれているし、むしろこういう話になるほうが個人的には好きだね。
べたべたに甘くなるよりは、こういうストーリー展開のほうがいい。

しかし、前の1巻のときも思ったけど、この作者、エピソード詰め込みすぎ。
メインの話は上記のふたつなのだが、この他にも、1巻で出てきた霄太師絡みのネタや、秀麗の父である邵可のネタなど、いろいろと取り混ぜてはいる。
……いるのだが、おかげで流れの悪いところが多々出てくる。

こういうスタイルが好きなひともいるとは思うが、そういうネタをやりたいなら短編集でもなんでもいいから、そういうところでじっくりやってくれ、と言いたくなる。
ムダにたくさん入れて、本来の話の流れを阻害するようであればなしにして、本編をじっくり書いてくれ。

文章的には、場面場面の変化や繋がりが悪いところがちらほら目につく。
最低でも、誰が喋っているのかわかるように地の文を入れるとか、口調の特徴をもう少し出すとかしといてもらいたいもの。

まぁでも、個人的には秀麗の今後が気になるところなので続きは買ってみるかなぁ。
男性キャラの新キャラも増えて、どんどん秀麗の周囲が逆ハーレム状態=や○いの匂いがしまくりなのがちときついかもしれんが。