つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

電波な人々

2006-03-30 21:46:32 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、実務者って大変よね、と思う第485回は、

タイトル:夢みる惑星(文庫版全3巻)
著者:佐藤史生
出版社:小学館文庫

であります。

鈴:「ふみお」じゃなくて「しお」だと聞いて「ん?」と思ったLINNで~す。

扇:『砂糖・塩』から来てるらしいぞ、とツッコムSENでーす。

鈴:なんか、安直だがいま聞くといいかもしれないペンネームだな。
読みにくいのとか多いから。

扇:そうだな、割と響きもいい。
ところで、このタイトルは何よ?

鈴:タイトル? 『夢みる惑星だろ』?

扇:違うっ!
この記事のタイトルだっ!

鈴:あぁ、電波ね。
葉っぱの名前の会社のゲームに出てきた人気キャラだろ。

扇:知らん。
電波って隠語の意味なら知ってるがな。

鈴:まぁ、知らんほうがいいけどな、葉っぱだし。
電波……隠語だったのか……。

扇:隠語じゃなかったのか?
要するに、アレなモノを感じるアレな――。

鈴:やめろっ!
それ以上言うと、ガ○タとかネット上では怖いひとたちにケンカを売ることになるぞ!
たたでさえ、ケンカ売りまくりなのにこれ以上敵を作ってどうするっ!

扇:そこまで人心を掴んでいるとは……電波って偉大だったんたな。
つか、特定するのはやめなさいよ、電波って言っても色々いるんだから。
まー、どれを指そうと、敵が増えるのに変わりはないがね。

鈴:偉大なのか!?
まぁ、いろいろいるのは確かだが、まぁあんまり関わり合いになりたくない方々な気はしないでもないが……。
はっ、またケンカ売ってる!?(笑)

扇:穿った見方をすれば、単に神(作者)の意思を代弁してるだけなんだがね。
妙に説明的だったり、説得的だったりする台詞を吐き出したら要注意だな。
前者は次回の伏線、後者は洗脳光線だ。

鈴:うわ、近寄りたくないな、それ……。
遠巻きに眺めて、「うわぁ、すごいなぁ」と見物するのが吉だな、そういうのは。

扇:お前、それ現実の話だろ。

鈴:あれ? 現実にいたらそう言う行動を取るって話じゃないのか?(笑)

扇:三千世界のどこに作者がおるとゆーのだっ!
まぁ、この世にシナリオと作者が存在するってのは、物語のネタとしてはよくあるがね。
ところで、って電波じゃなかったっけ?

鈴:んなわけあるかっ!
ったく、超電波の君に言われたくはないな。

扇:私が電波だと?
私は私という神の言葉を衆愚に伝えているに過ぎないよ。

鈴:そういうセリフが、超電波だと言うんだっ!

扇:やれやれ、凡愚に理解できる話ではなかったか……。
二億光年譲って私が電波だとしたら、君はだな。

鈴:……(さぶいぼ)
さて、作品の夢みる惑星であります。
どっかの王子さま(生まれのみ)が大神官になって、天災から逃れようと人民を洗脳……もとい、煽動する話であります。

扇:おのれ、人の会心の一撃を……。
ふむ、大筋はそんなとこだな。
電波と学者の境を泳いでいく主人公と、それに魅せられてあたふたする人々を描いた群像劇、と言ってもいいかも知れません。

鈴:じゃ、ストーリー紹介も終わったことだし、そろそろキャラ紹介だね。
と、その前にCM~~~~。

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鈴:では、主人公のイリス。
策略家。
以上。

扇:をい
やがて来る天変地異を予言した幻視者エル・ライジアの弟子(?)。
外界と接触を断ち、古代の知識を保存してきた神殿に祭り上げられ、大神官として王国救済のために四苦八苦する苦労人……楽しがってるフシもあるが。
悪知恵と見てくれは一級だが、幻視能力はほとんどなかったりする、与えられた役割のでかさにくらべて結構非力な人。
周囲が電波な人々ばっかりだったので、最後は諦めモードで役目をこなしていたが、シリンによって救い出された――良かったねぇ。(しみじみ)

鈴:じゃぁ、ちょうど出てきたので次、シリン。
このマンガのヒロインのくせに、途中から出てきた人気のある踊り子さん。
踊ることによって幻視能力を発揮するが、それがついぞ役に立ったシーンがなかったような気がする。
あ、イリスのハートをゲットしたときくらいかな。
ただし、気っぷのいい姐さんな感じで、キャラ的に好み(笑)

扇:そういえば、イリスと目と目で通じ合う以外、役に立たなかったな……。
踊りでアスカンタ中を動かしてみせると豪語し、実行してしまった恐るべきシャーマン……でも中身は恋に突っ走る粋な女性。
イリスを論破したり、カラの世話をしたり、幻視能力について穿った意見を述べたりと、かなり忙しいヒロインだった、ま、そこがいいのだが。

鈴:では次にカラ。
イリスが拾ってきたベニ・アスラ族の少年。
けっこう直情型の少年だが、物語にはいー感じで関わっている。

扇:笑顔で冷たい台詞を吐くイリスに、真っ向から立ち向かう少年。
奴隷として捕らわれていたが、イリスに助け出され、神殿の客人となる。
感覚一筋といった性格だが、言ってることはかなり正論なのでメインキャラの殆どに愛された、結構幸せな子。
大国に駆逐されたベニ・アスラ族の首長であり、後に一族再興のため旗揚げする。
責任を抱えることになって初めてイリスの苦労を思い知り、反省するところはなかなか可愛かった。

鈴:うわぁ……、木曜劇場に似合わない硬い解説……(笑)
じゃぁ、次、タジオン。アジアンではないよ。
典型的な直情系キャラ。子供のころから、女の子キャラのフェーベが好きだけど、フェーベはイリスに傾いてたりとか、電波なひとびとに囲まれて苦労したりとか、基本的に報われない子。
でも、このマンガ、タジオンいないとけっこう暗い重いだけの話になりそーな気がする。

扇:冗談のつもりだろうが、それ、イデオンに出てきた植民星の名前だぞ。
イリスの対極に位置する王子様、後に王様。
災害を避けるために遷都を行えと言うイリスと対立、実務者として俗世の苦労を一手に引き受ける……苦労人の鏡。
フェーベに全く興味を示さないイリスと、イリスに興味津々なフェーベの間に立って、真っ直ぐに自分の愛を貫いた凄い自制心の持ち主、でもある。
王様としてもかなり優秀だが、生まれる時代を間違えた……悲惨すぎ。

鈴:報われてないよなぁ、こいつ。
でも、フェーベも結局、現実的だよな。

扇:だな、イリスじゃなくタジオンを選んだのは賢い選択だと思う。
そういう意味では、シリンは本能の赴くままにイリスを選んだな。
どっちもいいカップルではあるんだが。

鈴:まぁ、そうだね。
じゃぁ、もういいころだし、そろそろ終わるかね。
しかし、いまから見ると絵柄が好き嫌いあるとは思うし、最初と最後がう~むなところがあるけど、途中けっこう読ませてくれた話ではある。
文庫で3巻完結だし、手に取るにはお手頃なところかもしれないね。
では、この辺で、さいならさいなら……さいならっ

扇:個人的にかなりオススメの作品。
この作者、非常に観念的な作品が多いのですが、本作はかなり解りやすいストーリーと人間ドラマがメインなので、普通に読めます。
イリスとタジオンに挟まれて苦労するズオー、神殿に対抗する科学者ラカン、寡黙な暗殺者ゲイル等、サブキャラも個性的。
絵は……ちょっとクセがあるので、苦手な人は苦手かも、私は結構好きだけど。
というわけで、今日のところはさようなら~。


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