つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

納得

2006-03-18 14:22:36 | その他
さて、名前からはわからないかもの第473回は、

タイトル:はじめてわかる国語
著者:清水義範 え:西原理恵子
出版社:講談社文庫

であります。

ハウツー本?
と思えるタイトルだけど、そうではなく国語を扱ったエッセイ。
もっとも、表紙の西原理恵子の絵から至極まじめな日本語の本ではないだろうことは一目瞭然だろうけど。

最初っから「国語って正体不明の学科だった」というタイトルで始まり、国語って学科はこんな妙なものだと言うようなことを語っている。
以下、
国語入試問題必敗法
たまには生々しい話を
悩ましきかな漢字
どう書きゃいいのだ日本語
感じと日本人のなやましい関係(高島俊男との対談)
話すこと、聞くこと
あの歌はこんな意味だった
挨拶は丁重に
谷崎『文章読本』の功罪
文章読本の真相(斎藤美奈子との対談)
日本語は滅んでしまうのか
と続く。

全部の紹介はさておき、興味深く、おもしろかったのは、最初の「国語入試問題必敗法」、「たまには生々しい話を」「あの歌はこんな意味だった」かな。

「国語入試問題必敗法」は、国語の問題がいかにややこしく、けっこう納得いかなかったりすることがある、と言うことが実感としてわかるのでおもしろかった。
確かに、問題なのだから解答はひとつなければならないが、感じ方なんてひとそれぞれなんだし、ってのはよくわかる。

「たまには生々しい話を」は、ホントに生々しい出来事とかではなく、「生」という言葉の話題。
生傷の「生」から、生ビール、生足、生放送、生兵法などの単語で使われる「生」の持つ意味から最後に「なまじ」「なまめかしい」の語源など、こういう語源とかと言うのはもともと好きなので興味深く読めた。

「あの歌はこんな意味だった」のほうは、童謡や唱歌の歌詞についてのこと。
初っぱなの「巨人の星」の「思い込んだら試練の道を」の部分を「重いコンダーラ」だと思っていた著者の暴露話から掴みはOK(笑)
でも、童謡や唱歌の歌詞となると、これが意外と知らない。
著者自身も、このエッセイのために調べて初めて知った、と言うようなことも書いてあったりして、くすっとさせられる。

ただ、日本語と漢字の関係を述べた「悩ましきかな漢字」など、感覚的にそうかぁ? と思えるところがあったり、対談部分はいまいち……と言うか、あんまりおもしろくなかったり……。
だから、各章ごとに楽しめるものとそうでないものがある。

お堅い本ではないし、おもしろい話、興味深い話、ちょっとしたうんちく、学習指導要領などの制度の話などなど、話題は多岐に渡っている。
だから、逆にひとによっては対談がおもしろいと思うかもしれない。
そう言う意味では、大きく当たりとは言えないまでも、誰でも、少なくともおもしろいと思えるところがあるのではないか、と思える。

ただ、やっぱり国語とか日本語の話なので、そういうのに興味がなければ魅力も半減かもしれない。