つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

珍しい題材

2005-03-24 23:00:05 | マンガ(少年漫画)
さて、とうとうマンガにご登場願う第114回は、

タイトル:武神戯曲(1)(2)(3)
著者:上田宏
出版社:電撃コミックス

であります。

この作品、極めて珍しく「京劇」をテーマにした作品であります。

京劇と言うと耳慣れないかもしれないので、少し説明を。
と言っても、日本の歌舞伎にあたる中国の伝統音楽劇。ただし、歌舞伎と違って活劇がとても派手で見栄えがする。

派手な衣装やメイク、立ち回りなど、京劇は娯楽性の高い演劇としていまなお中国で愛されている大衆演劇。

そういう題材を扱う、と言うので中国文化好みの私としては手を出さずにはいられない(笑)

でも、変わったものを題材にしながらけっこう秀逸。

主人公はいわゆるタイムスリップをして、中国に行ってしまう。
頼りは中国で京劇の役者をしていたと言う祖父。
時代は日本が中国を植民地化していたころで、日本人への風当たりは強い。

そんな中、京劇の学校に通いながら祖父を捜す主人公。

たった3巻で終わったのが残念なくらい出来がよい。

京劇らしい立ち回りの練習や舞台、衣装、1話1話の合間に入る京劇の説明。
絵柄はすっきりしているし、日本人であるが故に何かと阻害されがちな主人公の前向きに生きていく姿もいい。

ただ、ほんとうに3巻で終わってしまったのだけが残念。
もっともっと京劇のおもしろさを伝える、と言うのを続けてもらいたかった。

そういう意味では、電撃の編集部には一言言いたいくらいだね。

でも、いままでの中国もの、と言うのとは毛色が違った作品でけっこうオススメ。

これ読んで、マジで京劇見に行きてぇ、とか思ったくらいだったしね。



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