さて、ネタバレ禁止を自分に課しつつ第119回は、
タイトル:ファウンデーションと地球(上)(下)
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫
であります。
前作、『ファウンデーションの彼方へ』の続編です。
主人公はまたもゴラン・トレヴァイズ。(響きがいいのでこっちでいきます)
前作のラストで、トレヴァイズはある重要な決断を下しました。
しかしその直後に、彼は自分の直感に疑問を抱き始めます。
飽くまで直感は直感でしかないため自分自身を納得させることのできない彼は、自分の出した結論をより明確なものにするべく、手がかりを求めて地球を目指します。
要するに前作では地球を発見できなかったってことですね。わっ、既にネタバレだよ。
この世界において、地球は忘れられた伝説上の星となっています。
各地に痕跡は残っているのですが、確固たる記録は旧帝国最大の知識の集積場である銀河図書館にすら存在していません。
トレヴァイズ達が探索の果てに見るものとは? 現在の地球とは? そして、最後に待ち受けるこの先の未来とは?
またも抽象的な書き方になって申し訳ありません。
第四部、第五部はアシモフが描いた未来史の最後尾であり、他の作品で提示されてきた様々な設定が収束されているため、ちょっとでも何かを明かすとすぐさまネタバレになってしまうのです。
単独でも読めないことはありませんが、少なくとも『ファウンデーションの彼方へ』だけは先に読んで下さい。アシモフ自身は冒頭で、『ファウンデーションと地球』は独立している、と書いていますが、深読みしようとするとやはり苦しいです。
この後もファウンデーション・シリーズは続きますが、時代的には過去に遡るため、事実上本作が最後の銀河帝国興亡史ということになります。
願わくば他界されてしまう前にこの先を書いて欲しかったところですが、それには長い月日が必要とされたかも知れません。
本作の最後で再びトレヴァイズはある予想をするのですが、展開を持て余した末にアシモフが出した苦しい結論、だと感じました。もちろん作品的には充分に面白いのですが、これに不満を覚えた方は少なからずいたようです。
私的には三重丸のオススメ。でも、初めて、もしくはつまみ食いでアシモフを読んでいる方にはオススメしない。
単独で作品が成立しにくくなるのがシリーズものの悲しいところだけど、このシリーズに限っては仕方がない、と言いたいなぁ。贔屓し過ぎかも知れないけど。
ちょっと話を変えて――トレヴァイズに限らず、アシモフの作品にはところどころで作者とダブって見えるキャラクターがよく登場します。他に挙げるとすれば、ハリ・セルダンとイライジャ・ベイリでしょうか。
彼らに共通しているのは、常に『完璧』を疑うところです。トレヴァイズは自分の直感を疑い、セルダンは自ら編み出した心理歴史学を疑い、ベイリは訪れた世界そのものを疑い、そしてアシモフは自分の作り出した設定を真っ向から疑います。
思えば後年のアシモフの作品は、前作に挑戦するような形で展開されていました。
『神々自身』は単発ですがテーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼの三部構成になっています。
自らが老いたる巨竜である旧帝国と同じような立場になりながら、それでも前進を続けようとしたアシモフに敬意を表しつつ……今回はこれまで。
――【つれづれナビ!】――
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タイトル:ファウンデーションと地球(上)(下)
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫
であります。
前作、『ファウンデーションの彼方へ』の続編です。
主人公はまたもゴラン・トレヴァイズ。(響きがいいのでこっちでいきます)
前作のラストで、トレヴァイズはある重要な決断を下しました。
しかしその直後に、彼は自分の直感に疑問を抱き始めます。
飽くまで直感は直感でしかないため自分自身を納得させることのできない彼は、自分の出した結論をより明確なものにするべく、手がかりを求めて地球を目指します。
要するに前作では地球を発見できなかったってことですね。わっ、既にネタバレだよ。
この世界において、地球は忘れられた伝説上の星となっています。
各地に痕跡は残っているのですが、確固たる記録は旧帝国最大の知識の集積場である銀河図書館にすら存在していません。
トレヴァイズ達が探索の果てに見るものとは? 現在の地球とは? そして、最後に待ち受けるこの先の未来とは?
またも抽象的な書き方になって申し訳ありません。
第四部、第五部はアシモフが描いた未来史の最後尾であり、他の作品で提示されてきた様々な設定が収束されているため、ちょっとでも何かを明かすとすぐさまネタバレになってしまうのです。
単独でも読めないことはありませんが、少なくとも『ファウンデーションの彼方へ』だけは先に読んで下さい。アシモフ自身は冒頭で、『ファウンデーションと地球』は独立している、と書いていますが、深読みしようとするとやはり苦しいです。
この後もファウンデーション・シリーズは続きますが、時代的には過去に遡るため、事実上本作が最後の銀河帝国興亡史ということになります。
願わくば他界されてしまう前にこの先を書いて欲しかったところですが、それには長い月日が必要とされたかも知れません。
本作の最後で再びトレヴァイズはある予想をするのですが、展開を持て余した末にアシモフが出した苦しい結論、だと感じました。もちろん作品的には充分に面白いのですが、これに不満を覚えた方は少なからずいたようです。
私的には三重丸のオススメ。でも、初めて、もしくはつまみ食いでアシモフを読んでいる方にはオススメしない。
単独で作品が成立しにくくなるのがシリーズものの悲しいところだけど、このシリーズに限っては仕方がない、と言いたいなぁ。贔屓し過ぎかも知れないけど。
ちょっと話を変えて――トレヴァイズに限らず、アシモフの作品にはところどころで作者とダブって見えるキャラクターがよく登場します。他に挙げるとすれば、ハリ・セルダンとイライジャ・ベイリでしょうか。
彼らに共通しているのは、常に『完璧』を疑うところです。トレヴァイズは自分の直感を疑い、セルダンは自ら編み出した心理歴史学を疑い、ベイリは訪れた世界そのものを疑い、そしてアシモフは自分の作り出した設定を真っ向から疑います。
思えば後年のアシモフの作品は、前作に挑戦するような形で展開されていました。
『神々自身』は単発ですがテーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼの三部構成になっています。
自らが老いたる巨竜である旧帝国と同じような立場になりながら、それでも前進を続けようとしたアシモフに敬意を表しつつ……今回はこれまで。
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