さて、十二国記シリーズの正当な続編の第102回は
タイトル:風の万里 黎明の空(上) 十二国記
著者:小野不由美
出版社:講談社X文庫ホワイトハート
であります。
正当な続編、と言うわけで最初の「月の影 影の海」の主人公の陽子が景王になってからの話。
でも、この話は陽子だけの話ではない。
いつもの通りの成長話。
でも、今回は陽子に加え、おなじ海客の鈴、討たれた芳王の元公主の祥瓊。
まず本当の主人公、陽子。
玉座につくことを選び、晴れて景王となったけど、王になってももとは海客。
違う世界から来たからこの世界のことなど何もわからない。
どうすればいいのかわからない。
そんな苦悩の中、民の暮らしを見るために身分を隠してある里に厄介になる。
そこで経験する数多の出来事。もちろん、それは下巻に続く話の中のひとつ。
てか、上巻は陽子の話より、鈴、祥瓊の話のほうが多い。
では鈴。
だいたい、十二国記ではこういうメインキャラにはたいていそのキャラの考え方とかを変えるべく、ひとりのキャラクターが用意されている。
鈴の場合、旅の途中で出会った少年の清秀。
この少年の言動や態度で成長し、そしてその死で決定的になる……わけだけど、仙になって百年も経つのに成長しろよ……と言いたくなる。
まぁ、いろいろと過去がある。
海客でいきなり流されて、言葉も通じない、常識はわからない、などなど。
でも、何の努力もしないで人に哀れんでほしい、ってのはどういう了見だ? と言いたくなる。
さておき、鈴の場合は、こうだけど、祥瓊の場合は「月の影 影の海」で陽子を救う巡り合わせになった楽俊。
まぁ、鈴も祥瓊も、何考えてんだ、おまえら、的なキャラだな。
もともとは、公主でその責任を果たさなかったから憎まれ、恨まれた。
でも、それをまったく理解せず、自分勝手に恨まれるのは自分のせいではない、と言い張るところは鈴とよく似ている。
挙げ句の果てには自分が失ったものをすべて手に入れたと勘違いして陽子を、同じ年頃で王になったと言うだけで恨み、憎み、弑逆すら考える。
だけど、祥瓊のほうはまだ楽俊のおかげでまだマシかな。
だいたい、さんざんなどん底から陽子を引き上げるだけの器のでかさがあるネズミだけにね。
まぁ、鈴と祥瓊をあえて較べるなら、ってとこだろうけど。
ともあれ、このふたり……鈴は清秀、祥瓊は楽俊と旅をして、心や考え方に僅かながら変化が起きる。
こういうところの流れはやはりうまい。
それに、元々の理由はどうあれ、慶へ向かうことになったふたりが、出会うべくして清秀、楽俊と出会い、そして慶へ辿り着く。
陽子も何が起きているのか見えないまま、和州止水郷へ向かい、ふたりと出会う。
まったく別の原因、旅路、目的がある3人がごくごく自然に集まってくるストーリーの流れのなめらかさはやはり感服する。
しかも上巻はうまいところで切っている。
華軒にひかれ、命を落としてしまう清秀。
それを抱いて鈴に渡すのは陽子。
ようやく3人が集い、ひとつの目的に向かって話が進んでいく際のところで終わらせている。
くそぅ、下巻が気になるじゃねぇかよっ!
(下巻に続く)
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タイトル:風の万里 黎明の空(上) 十二国記
著者:小野不由美
出版社:講談社X文庫ホワイトハート
であります。
正当な続編、と言うわけで最初の「月の影 影の海」の主人公の陽子が景王になってからの話。
でも、この話は陽子だけの話ではない。
いつもの通りの成長話。
でも、今回は陽子に加え、おなじ海客の鈴、討たれた芳王の元公主の祥瓊。
まず本当の主人公、陽子。
玉座につくことを選び、晴れて景王となったけど、王になってももとは海客。
違う世界から来たからこの世界のことなど何もわからない。
どうすればいいのかわからない。
そんな苦悩の中、民の暮らしを見るために身分を隠してある里に厄介になる。
そこで経験する数多の出来事。もちろん、それは下巻に続く話の中のひとつ。
てか、上巻は陽子の話より、鈴、祥瓊の話のほうが多い。
では鈴。
だいたい、十二国記ではこういうメインキャラにはたいていそのキャラの考え方とかを変えるべく、ひとりのキャラクターが用意されている。
鈴の場合、旅の途中で出会った少年の清秀。
この少年の言動や態度で成長し、そしてその死で決定的になる……わけだけど、仙になって百年も経つのに成長しろよ……と言いたくなる。
まぁ、いろいろと過去がある。
海客でいきなり流されて、言葉も通じない、常識はわからない、などなど。
でも、何の努力もしないで人に哀れんでほしい、ってのはどういう了見だ? と言いたくなる。
さておき、鈴の場合は、こうだけど、祥瓊の場合は「月の影 影の海」で陽子を救う巡り合わせになった楽俊。
まぁ、鈴も祥瓊も、何考えてんだ、おまえら、的なキャラだな。
もともとは、公主でその責任を果たさなかったから憎まれ、恨まれた。
でも、それをまったく理解せず、自分勝手に恨まれるのは自分のせいではない、と言い張るところは鈴とよく似ている。
挙げ句の果てには自分が失ったものをすべて手に入れたと勘違いして陽子を、同じ年頃で王になったと言うだけで恨み、憎み、弑逆すら考える。
だけど、祥瓊のほうはまだ楽俊のおかげでまだマシかな。
だいたい、さんざんなどん底から陽子を引き上げるだけの器のでかさがあるネズミだけにね。
まぁ、鈴と祥瓊をあえて較べるなら、ってとこだろうけど。
ともあれ、このふたり……鈴は清秀、祥瓊は楽俊と旅をして、心や考え方に僅かながら変化が起きる。
こういうところの流れはやはりうまい。
それに、元々の理由はどうあれ、慶へ向かうことになったふたりが、出会うべくして清秀、楽俊と出会い、そして慶へ辿り着く。
陽子も何が起きているのか見えないまま、和州止水郷へ向かい、ふたりと出会う。
まったく別の原因、旅路、目的がある3人がごくごく自然に集まってくるストーリーの流れのなめらかさはやはり感服する。
しかも上巻はうまいところで切っている。
華軒にひかれ、命を落としてしまう清秀。
それを抱いて鈴に渡すのは陽子。
ようやく3人が集い、ひとつの目的に向かって話が進んでいく際のところで終わらせている。
くそぅ、下巻が気になるじゃねぇかよっ!
(下巻に続く)
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