つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

いざ、メルヘンの世界へ

2005-03-02 13:20:43 | 学術書/新書
さて、一部の人間以外は一度は耳にしたであろう第92回は、

タイトル:グリム童話
著者:鈴木晶
文庫名:講談社現代新書

であります。

グリム童話の解説本の一つ。
沢山ある中からこれを選んだ理由は……安いから。
いい加減にも程がありますね、ははははは(乾いた笑い)。

一時期流行った他の本のように、本書も冒頭でグリム童話の残酷性を語っています。
とにかく死のオンパレード。ただし、子供がそれを好むのもまた事実。
例として、今日は悲しいお葬式~、という雛祭りの替え歌が挙げられていますが、私もむか~し歌っていた記憶があります。

以下、グリム兄弟の伝記、童話の構成論、グリム童話成立の過程、グリムが行った改訂とそこに潜む意図の考察……等が続きます。原書からの引用がかなり多く、グリム童話本編を読んでいなくても楽しめるようになっています。

グリム童話そのものよりも、それを執筆したグリム兄弟(特に弟のヴィルヘルム)にスポットを当てており、初版とその後出たいくつかの改訂版を比較することで、グリムがどのような道徳観を持っていたかを明かしていくのが特徴。

現代新書らしく、さらっと読めます。
専門的な資料として使うには役不足でしょうが、肩の力を抜いて読むには最適。

ちなみに、原書二百話を読む気は今のところないです……。