つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

夢~で、会いましょお~

2005-03-26 22:38:17 | ファンタジー(異世界)
さて、前回ベタ褒めしといて今度はこき下ろすかも、な第116回は、

タイトル:12月のベロニカ
著者:貴子潤一郎
文庫名:富士見ファンタジア文庫

であります。

第41回で紹介した貴子潤一郎のデビュー長編です。
女神ファウゼルに選ばれ、ベロニカの名を継ぐと共に眠りに落ちてしまうヒロイン。それを守る十三人の騎士の一人にして彼女の幼馴染みである主人公。そして、騎士達の危機を救った隻腕の剣士ハキュリーの物語。

本作の外伝『眠り姫』を読んだ時から嫌な予感はしていました。
この人、長編は向いていないんじゃないかなぁ、と。
舞台をファンタジー世界に移し、眠り姫を女神に選ばれた巫女とした本作。
一抹の不安を抱えたまま、私はページをめくっていきました。

予感が当たるのって痛い……。

ハズレ、とは言いません。
非常に綺麗な話で、すんなり読めます。
キャラの扱いがバランス取れてないような気がしましたが致命的ではないです。

でも、一章読んだ時点でネタと構成とラストが全部読めちゃうのはちょっとどころじゃなく痛かった……。仕掛けを使うなとは言いません。しかし、複線の張り方が余りにも素直すぎます。『眠り姫』は簡素だったけど、こちらは冗長な感じ。短編でおさまるネタを引き延ばしたという感が否めません。

短編作家としてはかなり好きなんだけどなぁ。
無論、次作で凄い長編を出してくれたらそれはそれで嬉しいんだけど。