さて、笛吹いたの何年前だっけ? な第224回は、
タイトル:ハーメルンの笛吹き男
著者:阿部謹也
文庫名:ちくま文庫
であります。
(打! 打! 打~! 打! 打! 打~!)
警部「なんでいきなり130人も消えるんだ!」
(打打、打打。打打、打打)
探偵「これはれっきとした誘拐事件ですよ」
(打打、打打。打打、打打)
――夜霧の中、ぬうっと現れる笛吹き男。
(打打ッ!)
助手「先生、コッペンでまだら男を見たという証言が!」
(打ッ打ッ打ッ打打)
大量の鼠に襲われ、「うわーっ!」と悲鳴をあげる探偵。
(打ッ打ッ打ッ打打)
血まみれの槍、真っ二つに折られた笛、闇の中で沼へと落ちていく子供達。
(打ッ! 打ッ! 打ッ!)
ハーメルンの東門に立つ探偵と助手。
(打~~~、打~~~~~!)
『時の探偵シリーズ(3)――子供達が消える日』
1284年、六月二十六日放映。
なんで火サスやねん。
まさかご存じない方はいないと思いますが、笛吹き男伝説とは――
ハーメルンの町を一人の旅人が訪れた。
彼は報酬をもらえるなら鼠を追い払ってやると言う。
町の人々は男と取引するが、鼠がいなくなった後、報酬を渋った。
1284年6月26日、再びハーメルンの町に男が現れた。
彼が笛を吹きながら歩くと、鼠の代わりに子供達が集まってきた。
笛吹き男と130人の子供達は町を出ると、そのまま山の中に消えた。
おおむねこんな話です。
足の不自由な子供は連れて行ってもらえなかったんじゃないか?
連れて行かれた子供達は子供の国を作ったんじゃないか?
などという、異伝や童話にある枝葉は敢えて削除しました。
本書は笛吹き男伝説を題材に、西洋の黒歴史にメスを入れていく好著です。
笛吹き男伝説の原型となった資料集めに始まり、現実の1284年6月26日に何があったかの調査、時代背景と移民の話、経済とそれに伴う貧富の格差、伝説の主人公である笛吹き男の地位など、非常に詳しく解説してくれてます。
どの異伝でも、日付、消える子供達、130人、の要素はほぼ共通している。
これがただの伝説ではなく、その背景に何かがあったと考えるのは自然です。
個人的には、飢饉による子殺し、もっと言えばカニバリズムが怪しいんじゃないかと思ってますが、これは飽くまで私の予想。
ともあれ、本書の主題は中世の暗黒にスポットを当てることです。
悪役に選ばれた笛吹き男――遍歴芸人の社会的地位。
鼠が人々にもたらした被害、飢饉、ペスト。
伝説が残される背景、宗教による支配、戦争の被害。
さらに、当時の人々の生活、宗教改革の波紋、魔女狩り等々。
笛吹き男伝説の形成および、その変遷を追いながら、作者は当時の社会構造を浮き彫りにしていきます……上手い。
いわゆる謎解き本ではありません。
笛吹き男伝説の真相! とかを期待した人は後半ちょっと辛いかな。
一応、既出の説がいくつか紹介されています、それだけでも充分面白いけど。
歴史ミステリー好き、西洋史好きにオススメ。
かなり気合い入れる必要はありますが、読んで損はないです。
タイトル:ハーメルンの笛吹き男
著者:阿部謹也
文庫名:ちくま文庫
であります。
(打! 打! 打~! 打! 打! 打~!)
警部「なんでいきなり130人も消えるんだ!」
(打打、打打。打打、打打)
探偵「これはれっきとした誘拐事件ですよ」
(打打、打打。打打、打打)
――夜霧の中、ぬうっと現れる笛吹き男。
(打打ッ!)
助手「先生、コッペンでまだら男を見たという証言が!」
(打ッ打ッ打ッ打打)
大量の鼠に襲われ、「うわーっ!」と悲鳴をあげる探偵。
(打ッ打ッ打ッ打打)
血まみれの槍、真っ二つに折られた笛、闇の中で沼へと落ちていく子供達。
(打ッ! 打ッ! 打ッ!)
ハーメルンの東門に立つ探偵と助手。
(打~~~、打~~~~~!)
『時の探偵シリーズ(3)――子供達が消える日』
1284年、六月二十六日放映。
なんで火サスやねん。
まさかご存じない方はいないと思いますが、笛吹き男伝説とは――
ハーメルンの町を一人の旅人が訪れた。
彼は報酬をもらえるなら鼠を追い払ってやると言う。
町の人々は男と取引するが、鼠がいなくなった後、報酬を渋った。
1284年6月26日、再びハーメルンの町に男が現れた。
彼が笛を吹きながら歩くと、鼠の代わりに子供達が集まってきた。
笛吹き男と130人の子供達は町を出ると、そのまま山の中に消えた。
おおむねこんな話です。
足の不自由な子供は連れて行ってもらえなかったんじゃないか?
連れて行かれた子供達は子供の国を作ったんじゃないか?
などという、異伝や童話にある枝葉は敢えて削除しました。
本書は笛吹き男伝説を題材に、西洋の黒歴史にメスを入れていく好著です。
笛吹き男伝説の原型となった資料集めに始まり、現実の1284年6月26日に何があったかの調査、時代背景と移民の話、経済とそれに伴う貧富の格差、伝説の主人公である笛吹き男の地位など、非常に詳しく解説してくれてます。
どの異伝でも、日付、消える子供達、130人、の要素はほぼ共通している。
これがただの伝説ではなく、その背景に何かがあったと考えるのは自然です。
個人的には、飢饉による子殺し、もっと言えばカニバリズムが怪しいんじゃないかと思ってますが、これは飽くまで私の予想。
ともあれ、本書の主題は中世の暗黒にスポットを当てることです。
悪役に選ばれた笛吹き男――遍歴芸人の社会的地位。
鼠が人々にもたらした被害、飢饉、ペスト。
伝説が残される背景、宗教による支配、戦争の被害。
さらに、当時の人々の生活、宗教改革の波紋、魔女狩り等々。
笛吹き男伝説の形成および、その変遷を追いながら、作者は当時の社会構造を浮き彫りにしていきます……上手い。
いわゆる謎解き本ではありません。
笛吹き男伝説の真相! とかを期待した人は後半ちょっと辛いかな。
一応、既出の説がいくつか紹介されています、それだけでも充分面白いけど。
歴史ミステリー好き、西洋史好きにオススメ。
かなり気合い入れる必要はありますが、読んで損はないです。