つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

こういうのもまたよし

2005-07-24 15:44:40 | 小説全般
さて、第236回は、

タイトル:楽園のつくりかた
著者:笹生陽子
出版社:角川文庫

であります。

第50回の産経児童出版文化賞というのを受賞した作品らしい。

話は、中学受験から一流大学、一流企業への就職というエリートコースまっしぐら、と言う計画を持つ中学2年生の星野優が、突然父親の故郷……田舎へ引っ越し、村立のしかも分校に転校するところから始まる。

エリートコースこそが人生という優が入ったクラスはたった3人。
裏表紙の紹介文が言い得て妙なので、それを。

1.バカ丸出しのサル男
2.いつもマスクの根暗女
3.アイドル並みの美少女(?)

こうしたクラスメイトたちとの学校生活とともに、エリートコースへの道に固執する優の行動がメインとなる。

とてもキャラクターがしっかりしていて、おもしろい。

優はとにかくエリートコースを進むことがすべて、と言ったキャラで、いたらけっこうイヤ~な感じのキャラになりそうだけど、けっこう突き抜けていて逆に潔いくらい。

その他の3人、1の山中、2の宮下、3の一ノ瀬ともに変わった特徴を持つキャラではあるけれど、こちらもきちんと深みのあるキャラクターになっている。

このメインキャラ以外にも、優の母親や祖父、近くの町の不良たちと言ったサブキャラもいい味を出している。

ただ、キャラのことを言えば、中盤以降に出てくる父親の友人である松島とおる、と言うのが薄い。

また、ストーリーもとりたてて特徴があると言うわけではないけれど、そのぶん、安心できる話ではある。
分量そのものも多くはないし、あっさりと読める作品ではある。

ラストもほっとするような感じの話ではあるので、誰にでもオススメしやすいと思う。
文庫で値段も手頃、角川文庫の「発見。夏の100冊」で、たいていの本屋に置いてあるだろうから、入手もしやすい。

買って損はないと思うよ。