つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

底から雷落としたりはしない

2005-07-20 11:27:15 | その他
さて、ピラミッドと言えばこの方な第232回は、

タイトル:ピラミッドの謎をハイテクで探る
著者:吉村作治
出版社:講談社

であります。

ピラミッドの魅力に取り憑かれた吉村作治氏によるピラミッド読本。
五章構成で、ピラミッドのみならず、エジプトの歴史についても解説されてます。

第一章、ピラミッドの謎。
ピラミッドとは何なのか、なぜあんな内部構造をしているのか?
今まで提出された様々な疑問の紹介と、過去の人々のアプローチ。
ちなみに、クフ王のピラミッドの一四分の一のミニチュアを作ってしまった(それでも高さ十メートルはある!)という話を初めて知った。

第二章、ピラミッド調査狂騒曲。
早稲田大学調査団が一九八七年に二度行ったピラミッド調査の記録。
最新兵器電磁波レーダーを使い、内部の空間を探る過程は面白い。
現地の人々、他国の調査団、ジャーナリズム等との協力、衝突の話が楽しく、一言で調査と言ってもピラミッド調べる以外の仕事が山ほどあることがよく解る。

第三章、早稲田大学ピラミッド調査の意義。
ピラミッドおよびスフィンクス調査のまとめ。
またそれらから導き出せる推論。

第四章、ピラミッドに関わった人々。
古代エジプト史からピラミッド研究者達の歴史までを語ります。
ピラミッドの建設と、その衰退、盗掘による発見、研究者による測量など。
歴史好きにとっては周知の事実かも知れませんが、入門者が読むには良いかも。

第五章、ピラミッド調査とハイテク技術。
ピラミッド調査に使われた機器の解説。
ちょっと難しかった……。

出版が九四年とかなり古いのですが、半可通の私にとっては有り難い本でした。
個人的には、新たに見つかった空洞(と思われる部分)の位置を書き込んだ図表が欲しかったところですが……やっぱり危険かな、定説化したりするから。

とまぁ、内容的には悪くないのですが、どこか引っかかる。
かな~り悪い意味で学者根性見える部分がそこかしこにあるのです。

今回の調査方法は遺跡を傷つけないのだと、ことさらに自己賛美してたりする。
過去の調査方法(火薬の使用等)を乱暴だと言うが、その時出来た穴使って調査してるんだから今のやり方を自慢するのは傲慢です。

地元、あるいはヨーロッパの宗教がらみで、ピラミッドをそっとしておいた方がいいという意見があることを、ナンセンスと言ってみたり。
つーか、筆者の言う知の欲求の方が地元民の心情よりも正しいのなら、彼が、調査中にやってくるジャーナリストを毛嫌いするのは矛盾してます。

なんか追加で毒吐いてるなぁ。
そろそろ時間が迫ってきたのでこのへんで。