「げんべい」と呼ばれる藁の靴と
「ふかぐつ」と呼ばれる藁の長靴です
喜多方市の郷土資料館に私の古里只見町から出展されていたのを見たのです。どちらも豪雪地帯の冬の履き物として昭和の中期まで使用されていました。
当時の子ども達は小学校の5~6年にもなると「よなべ」(夕食後の仕事)として藁で縄をない、「あしなか」と呼ばれる農作業用の藁草履を作っていました。「よなべのわっぱか」として縄ならなんひろ(ひろは両手いっぱい広げた長さ)「あしなか」なら何足と決められていました。
村の子どもは小学校高等科(今の中学2年)を卒業すると若者予備の者として集落の集会場に集まって先輩に教わりながらいろんな藁仕事を憶えるのです。わらじ・げんべい・ふかぐつ・蓑まで、競いあって早くそして美しく出来るように努力するのです。男だけでなく女の人も一緒します。そこで集落のいろんな掟も身につけ、また恋いだって 花咲いたんでしょうね。
当時一家の主人として横座(囲炉裏の廻りの主人の居場所)に座れる資格の一つに「げんべい」「ふかぐつ」「蓑」が作れることがあったようにおもいます。
お正月には家の主人が選りすぐった藁で作った美しく新しい「げんべい」をはいて鎮守様の初参りをするのがとても嬉しいことでした.
私は小学校高等科を終わると集落を離れましたので残念なことに「あしなか」しかできません。小学校の同級生が「ひろろ」という草を編んで蓑などつくるのを見るとうらやましくてたまりませんでした。当然ながらもう「げんべい」や蓑ばど作る人はいませんけど。その技術が廃れ消えてしまうのが寂しい気もするんです。