以前入手した古い英国のハックル。その中には当時ですら中々見ることの出来なかったダン系統の色のハックルが幾つかあります。その中で小箱に入ったハックルの中身を見てみたいと思います。Light Blue Dun Gold Tipped Henny Cock、Blue Dun Gold Tipped Cock、Blue Dun Pale Cock、Medium Honey Dun Cock、Brassy Dun Cock、Medium Rusty Dun Cockと書かれたハックルです。
1942年、1945年と第二次世界大戦の最中に以前の持ち主が購入したもののようです。
小箱には夫々のハックルが詰まっております。小箱に書かれたハックルの色と実際のハックルの色は権威あるハックル色の分類法には必ずしも沿ったものではありませんものの。
ハニーダンはブルーのリスト(ハックルの軸)にハニーのバーブの二色を持ったハックル。バーブのハニーはホワイトに近いものからレッドに近いものまで幅広く含みます。更にリストのブルーの濃さによりペイル(Pale)、ミディアム(Medium)、ダーク(Dark)と分類されます。
上段左から二つはハニーダン。右端はブルーダン。下段左はハニーダン、その右隣はラスティダン、右端はダン。
リストのブルーは白い背景に溶け込んで透明になります。
暗い背景ではレッドと言えるハニーとブルーが強く自己主張を行います。
これはPreston JenningsのA Book of Trout Fliesに出てくる見本のハニーダンと同じようなハックル。
暗い背景では金色が強く出ます。
これは透明感に溢れたブルー。上方には金も乗ります。
暗い背景ではブルーが出て来ます。
これは金色が強いハックル。
リストがブルーというのがハニーダンの定義ですが、そのブルーはハッキリした青色からスチールのような灰色までを含んでおり、Frank Elder氏のThe Book of the Hackleのハニーダンの見本絵は正にこのハックルと同様のもの。
白い背景ではラスティーを通過した光が色を運んでいるのが判ります。
ラスト:錆び色が暗い背景で浮かび上がります。
ダン色は褐灰色と言われますが、ピンク色を帯びたものもあります。
透明感のあるハックルは毛針に巻くとその存在を消して鱒に疑念を抱かせないのでしょうか。
ハックルの色と透明感は魚の眼にどのような効果をもたらすのでしょうか。私には判りませんが、古から灰色の斑のある蜂蜜色の羽を使うとか文献には書かれて来ておりますので、人々は経験から特定のハックルが魚に与える効果を実感して来たのは間違いないと思います。私の狭い経験からもドライフライのハックルにダン系を使うと魚の反応が良くなる例は幾つかあり、更に釣り人自身が釣られてしまって、釣れる、釣れると思うのかも知れません。
新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
Blue Dunの名称ですが、英国の闘鶏Old English Gameには様々な色の鶏があり、それらを例えばBlack Breasted Red、Silver and Gold Duckwing、Blue Dun等と名称を付けている次第ですが、毛針釣りの世界で使われるハックルの名称のBlue Dunは正にそこから採られたものと思います。その色は多分に青灰色であったのだろうと推測致しますが、昔のOEGの血統が絶えていく中、今では見ることの出来ない色になって行ったのではないかと推測致します。
日本では軍鶏に浅葱色という色があり、昔どこかで拝見した浅葱色の鶏の色は青灰色、正にBlue Dunでありました。その浅葱色も今では見ることが出来なくなっている様子です。幻の色なのでBlue Dunには釣り人が釣られてしまうのでしょうか。ただ、亜成虫の羽の色を表現するには最適な色と思います。
この連休は湯元の板屋に泊まりスキーをしておりました。。。
ブルー=青と思いがちですが、ブルーという言葉に対して抱くイメージは、欧米人と日本人とでは違うのかもしれませんね。
日本の昔ながらの繊細な色表現は次第に使われなくなっていますが、欧米にも似たようなものがあるのかもしれません。
釣りの世界だけに残る「雅」な表現なのだとしたら、大切にしていきたいものですね。
鮭介様、97年のHARDYのイベントにおいでいただきましたね。お懐かしゅうございます。
新年明けましておめでとうございます。今年も何卒宜しくお願い申し上げます。
コメントを頂き大変ありがとうございました。
フライフィッシングを始めたのは今年でもう40年となると空恐ろしいものがありますが、その当時は情報など無く、自転車で行ける近場の本屋で入手した沢田賢一郎氏の「フライドレッシング」に記載のやり方で、記載のハックルフライ、ちょっと後からはバンチウィングの米国式ドライフライを巻いて渓流に行ける機会を捉えて岩魚や山女魚を釣っておりました。ハックルもインド・レッドとグリズリーのみで何年間も賄ったものです。
余談になりますが、以前の記事だったかコメントでも触れました様に、沢田氏の「フライドレッシング」のマテリアル解説はインドハックル「?」からきちんとしたハックル色の見本を探し出して記載したもので今になって思えば非常に素晴らしいものでした。。。
私も鮭介様と同様にある日ダンを観察し、そのウィングのスモーキーな色を見、また欧州生活を経て見知った事柄、更に経済的にも余裕が出て来て趣味に散財出来る様になった事、更には幸運に恵まれた事、等で、古の釣り人が探求したハックルの世界に足を踏み入れて行ってしまったのですが、実際のハックルを見て触れて漸く理解出来る事も多く、より毛針釣りの愉しさを味わえているとただただ感謝しております。
小平高久氏がハックル目的で養鶏を始めた切掛が海外で入手したインド(或いは中国)ハックルの中に理由は何故か解らなかったが良く釣れるものがあったから、とどこかで大昔(前世紀)読んだ事があります。透明感も含めた色、ハックルのバーブの長さ、コシ、等のハックルの色々な要素の内、魚の捕食スウィッチを入れる何かがあるのではないかと考えておりまして、これからもそれが何なのか、道楽として追求して行きたいと思います。鮭介様にも何かありましたら種々ご教示を頂きたく引き続き宜しくお願い申し上げます。
さて、年初から貴重な試料の公開をいただきありがとうございます。
今のメジャーメーカーハックルが明示するカラー名称と、伝統的な色が全く違うのがわかりました。
当然、伝統的なカラー呼称それぞれの本来の色に近いのはヴィンテージの方でしょう。
だいたいは誰でもFFを始めた時から、Dunの色はブルーダンと学習しているので、きっとこの名称のケープが売れることになります。
私は多くのダン系のハックルを所有していますが、ある時、どうしてこれがブルーなのかと疑問を持つわけです。
ある時とは、フィールドで実際に亜成虫を観察した時です…。そう思ってからもう30年くらい経ってしまいました。
きっと世のFFマンはまだ気がついていない人もたくさんいらっしゃることでしょう。
ラスティにしても、レッドにしても本来のカラーを見せていただき本当に感動です。
そして蜻蛉の色にリアルに近いだけではなく、OEGCのハックルが放つ魅惑の輝きは余計に鱒を惹きつけることだと思います。
ましてやフライ人については、それ以上に惹きつけるでしょう(^○^)
これからも楽しみにしています。