創業30周年に思うこと 一冊の経営書

2015年07月28日 | 日記

 さて、ビジョンを現実させるのには、ヒト・モノ・カネが必要だ。 売り物は欧米の歴史有るブランドの製品だから申し分ない。 まだまだ保有台数も少なく、一部のマニアしか所有してないから、これらを所有することにオーナーは誇りを持てる。

 展示車や魅力的なショウルームにするには金がかかり、会計上は黒字でも「勘定合って金足りず」が常で、かなりの運転資金が必要だ。

当時はBMWモトラッドのディーラー権を取得するのに、試乗車二台、展示車五台、什器、工具や用品、消耗品の在庫をしても保証金を除けば、建物があれば、二千万もあれば開業が出来た。現在は、新規開業には建物、用地取得、在庫で二億五千万以上は必要だから、最近は資金力に乏しいバイク販売店からの出店は少なく、主に自動車ディーラーからの参入が多い。

また、急な中古車の仕入れ資金も必要になるから、銀行融資の方法としては当座貸越が良いと思うが、これは実績が無いとなかなか銀行の決済が取れず、最初のうちは資金がないので、中古車は一日も早く換金しなければならなかった。中古車は換金性が高いが、数ヶ月自社で持ちこたえれば利益になるのだが。

当時は、仕入れの支払いは銀行振り込みか小切手、大きな支払いは期日の数日前に振り込むが、文章振込みが手数料が安いのだが、数日前に資金を手配しなければならず、千葉興行銀行の窓口に振り込み一覧と小切手を持参すると、窓口の女性に「電信振込みでなくていいいんですか?」って毎月聞かれるのが、どうにも恥ずかしかった。

でも、この数日のゆとりを持って資金計画しておくことが結果的には良かった訳だ。小さな会社の場合、買掛金をあてにして、無計画に仕入れると資金繰りが行き詰まる。小さな会社には担保がないと、短期の運転資金すら融資を渋られるのだ。

創業時、たまたまバブル時期だったから、社屋や家を担保に入れると、担当者は「社長、金に色はついてませんから、外車を買うなり、名目は異なっても遣ってください」なんて、浮かれた時代だったから、少し儲かりだした1990年くらいには借り入れでポルシェを買った。小さな会社の経営者は、好きなことを励みに頑張るのだ。

10億20億と売り上げが多くなり、自己資本も積み重ねられ、業歴も長くなり、返済の実績を積み重ねると、銀行の融資はこちらに有利な条件で調達できるようになり、他行との競争原理も働くから、尚更低金利で調達できる。でもなかなか10億を越えるオートバイ販売店は少なく、三億ちょいも売れば、現状維持に満足してしまうケースが殆どだ。

こんな、小さな会社を大きな会社にしたいと悩む経営者に良く売れた本で、学者や評論家が書いた本でなく、ある日、本屋の棚から手に取った経営書があった。著者自身が、出版社を起業した体験を書籍にした「11人までの小さな会社の社長業」を読んだ。※初版は1990年、後に「社員パート30人までの小さな会社の社長業」も出版された。この二冊の本は今でも私のデスクに置いてある。

 書き出しに、家業、生業から会社運営に変わるのが、11人からだと書いてあった。そして、法人税を払い社会的認知度を上げると資金と人が集まるものだと、説いてくれた。

数年前、著者の石野誠一さんと電話でお話しする機会があった。現在は出版社をご子息に譲られたようで、「この本に勇気付けられました」と伝えると、喜んでいただき「既得権体質の二輪輸入車業で、若手だった関口さんの会社の成長は伝え聞き気になっていましたが、私の読者だったとは知りませんでしたが、大変嬉しいです」と言っていただいた。

さて、経営者としての考え方は理解できた。でも、問題は小さな会社には集まらない人材、この葛藤については次回。続く・・・・


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