ヨーロッパの制限速度は約日本の二倍(但し、皆が制限を守る)一般道が時速100キロ、ドイツの高速は130キロ~無制限(一部)だから、バイクやクルマが持てる性能を存分に活かして走れるからストレスが溜まらない。
そんな欧州ツーリングで私が迷わず選んだのがK1600GT、日本ではGTLが先行して発売され、約一年遅れてGTも導入された。
ミュンヘンで6気筒のマシンを引き渡され市内を走る。諸事情でW氏の奥方様を後席に乗せることになったので、安全の為に大型トップケースを追加した。
2010年にヒストリックカーレースのミッレ・ミリアを観戦に行った時、1200RTのトップケースに入りきれない程荷物を詰め込んむと、コーナリングの切り替えしがかなり辛かった。
このGTは更に小柄な女性を後席に乗せても、電子制御のESAを1人乗りプラス荷物に設定すれば、強大なトルクと強固なフレームで1人乗りと変わらないライディングが出来る。
一人乗りの時なら、同じGTを駆る現地の道を知り抜いたガイドに付いて行ける。彼から「いいライディングだね」って褒められた。
また、タンデムの苦手な超タイトな峠のコーナーで軽いリーンアウトポジションが取れるのも、GTのハンドル位置がいいからだ。
直後を走る方が、後ろに人を乗せて、深々とバンクする私のライディングに驚いていたが、正直に告白すれば、こんな芸当、GTでなければ同じことは出来ない。流石に7年新しい工業製品の進歩は著しい。
エンジンレスポンスがレイン・ロード・ダイナミックと3段階で選べるが、これもGTLと異なりロードがパワフルになっている。
一方、濃霧と横風、濡れた路面で慎重なアクセルワークが必要な時は早々とトラクションコントロールが介入するレインモードの穏やかさに救われた。
また、ハンドルとステップ位置が変更になり、バンク角も増えてスポーツモデルと対等に峠を走り回る。そして、BMW伝統のストレート6エンジンサウンドが快音を響かせた。
お互い100キロで走る対面通行のオーストリアの道路だから、非力なバイクでは追越が辛いが、170馬力のGTはタンデム走行でも前走車を楽々追い越し、完璧な制動が約束されるから何キロ乗っても疲れない。
これに、アクロボビッチの軽量なチタンマフラーを装備して乗れば理想的なスポーツツアラーだ。
こんな豪華なツアラーが285万円なら買い得に違いない!