20180907今日の一手
5月5日の名南将棋大会から、HさんとFさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
銀と金桂歩の交換で、竜を作り合っています。先手の駒得です。
玉の堅さは、後手玉は一路深いですが、先手玉のほうが堅いです。
先手の攻め駒は21竜54角と持ち駒桂で3枚。
後手の攻め駒は28竜24角と持ち駒銀で3枚。
総合すれば先手有利です。
☆ 大局観として
2手前はこの図で
49金28飛成
と進んだのが問題図です。49金は打ち得に見えましたが、問題図では57角成と19竜が残っていますね。どちらかを取られると先手の駒得はかなり減ってしまいます。つまり49金は疑問手ではないかというところです。多分対局者の先手Tさんもそう感じたでしょう。金を打つにしても他のところ、68金打が一番良いでしょうか、しっかり受けられました。金を打たないで57角成だけ防いでいても十分でした。
今は両取りがかかっているようなものですが、「両取り逃げるべからず」で攻められるかどうか。
両方防ぐ手はなさそうなので、常識的には57角成のほうを防ぎます。一番良い形はどれか、その時の形勢をどう見るか、というのが大局観です。先の形勢判断で、先手の駒得が消えても先手玉の堅さが残っていればまだ有利のはずです。だからおとなしく受けていても悪くはないのでしょう。
× 実戦は38歩と受けて19竜
香を取られた上に金取りです。59金右に53香
54角を取られて駒損になってしまいました。この後も戦いは続くのですが、すでに逆転しています。
△か○ 48金上と受ければ
こんなことなら最初から48金打のほうが良かったという手ですが、19竜43角成53銀11竜88香63香
こういう寄せ合いでも先手に分があります。
○ 48銀が一番堅くて
銀が先手玉から離れて行くのですが、後手の角筋を避けています。19竜39歩53香
43角成58香成同金右55銀63香
底歩が堅いのでほぼ自玉を心配せずに寄せに専念できます。
△か○68銀と引くと
19竜39歩53香43角成58香成同金左
68銀と48銀の違いがあって、58同金左と取らなければいけないのですが、これで悪くはないです。
△か○ 68金上
が普通の感覚の手で、19竜39歩53香43角成57香成同金左18竜
最後の18竜を受けなければいけない(後手は先手を取って竜の位置をよくできた)のが嫌味ではありますが、先手のほうが良いはず。どう受けるべきかは悩みますが。
○ 46歩は角筋を止めていて
19竜39歩53香43角成57香成同金18竜58歩
18竜と使われても歩で壁を作ります。竜角を歩で止めているのですから受けやすそうです。
○ 手筋を使えば29歩
29同竜でも19竜でもあまり違いません。29同竜39歩19竜43角成
後手に歩を渡しましたが53香を食らわずにすみます。一時的に駒得がほぼ消えましたが、銀か香を取れますから先手の有利は消えません。
△ 35歩は
35同角ならば46銀という「大駒は近づけて受けよ」の手筋です。19竜59金右53香43角成57香成
57同金に35角、後手の攻めが手順に続いてしまうので少し失敗です。まだ先手が指しやすいのでしょうけれど。
○ 43角成だと
「両取り逃げるべからず」です。57角成44馬
取り合った時には先の49金打が利いています。53銀11馬35馬
33桂成と逃げて、長くなっても駒得を主張できます。
後手としては馬を逃げる必要はないので79銀
が詰めろで厳しい筋です。79同金58馬同金同竜68香
金二枚の持ち駒では攻めが続かず、指しすぎでした。
○ 11竜も
「両取り逃げるべからず」です。57角成63香71金29歩
29同竜71竜同玉62金82玉57金
71角や72金同玉61角を見ての寄り筋です。
後手は11竜に53銀と受けると
少し安心できますが、43角成57角成63香79銀
の寄せ合いは、79同金58馬同金同竜68桂62銀打54歩
結局手が戻るけれど、駒を渡したので受けにくくなっているという状況です。
79銀を決行できなくて、単に受ける方が良いのでしょうが
これだと53馬がありますね。(先ほどは58竜の位置でしたから大丈夫でしたが。)
ならば71金
しかなくて、29歩同竜57金49竜
の時に、71竜同玉53馬とやっても後手玉は詰まず、飛角を渡すと先手玉が詰んでしまいます。(鳥刺しで76歩を突いていないのが災いします。)
単に52馬で詰めろ、63銀から粘られても先手有利、というところで妥協しておけば良いです。
☆ まとめ
問題図の2手前の49金を疑問手だと感じた場合は、疑問手を重ねないということが大事です。実戦では38歩が疑問手、精神的に動揺してしまったのでしょう、しっかり守れないと逆転してしまいます。
受け方としては角筋を避ける48銀というのが、39歩を支えているということもあって一番良いようです。46歩の受けは心細いようでも後手の戦力が少ないので有効でした。
手筋の受けは29歩、竜の利きが8段目からずれると57角成を防ぐことができます。
いや、49金は悪い手ではない、と主張するのが「両取り逃げるべからず」の43角成あるいは11竜です。57角成の時に受けなくても良いから49金が働いています。後手の79銀が怖い筋なので、あらかじめ読んでおかないと肝を冷やしますが。激しい戦いに自信があれば、早く勝てることになります。
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