名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(1739);角換わり腰掛銀(木村義雄)

2020-09-27 | 大山将棋研究

今日の棋譜20200927 その2

昭和27年9月、木村義雄先生と日経年代対抗棋戦の持将棋指し直し、2局挟み1か月あけての対戦です。

大山先生の先手で矢倉を選びます。

木村先生は対矢倉左美濃作戦のような駒組ですが、当時は飛車先を25まで伸ばすのが当然だったので、特に違いはありません。

大山先生は銀矢倉を目指すようです。

木村先生の73銀というのが当時は珍しい指し方です。

角で7筋の歩を交換するのですが、74銀64角73桂が理想形だという認識はありました。先手としてはそれを阻止するために、75同歩同角65銀とするのが手筋ではあります。

大山先生は67銀と引いて銀矢倉、44歩に48飛(64角を受けた)というのはおとなしい感じはします。

木村先生は45金右56歩76歩同銀右に64銀、74銀ではないのですね。善悪は判りませんがちょっと不思議です。

67銀に35歩というのは先手の36歩~37桂を避けたのですが方向が違うでしょう。75銀~86歩同歩同銀と攻めるのはまだ矢倉に囲っていないので指しにくいところ。74銀の形ならば64角~73桂で十分でしょうが。まあ42角から玉を囲っておくところです。

大山先生は45歩同歩65歩、64銀の影響がここにも出ました。

65同銀45飛55歩、これで先手が良いかと言えば、飛だけ前に出ているので、指し過ぎだと思います。

55同歩では44銀~55銀とされるかもしれませんから、35角として44歩を打たせます。

49飛に木村先生は34銀、矢倉に囲う意思はないようです。

68角に56銀、これは後手の攻めに勢いがあります。銀交換は得でしょう。

66銀に54金は危ない感じですが

76銀43銀で落ち着いてきました。56銀が死ぬとだめですが、46歩64歩77桂65歩というのは先手が怖いでしょう。

74歩に64金、今度は後手から75歩を打てるので、やはり56銀を殺す筋はありません。

大山先生は65歩74金75歩、位を2つ取りましたが、歩切れになりました。悪い癖です。

角は77へもっていき

少し囲い合って

木村先生の84金は、74歩同歩75歩57銀同銀成同金76銀という攻めを見ています。

大山先生は24歩同歩64歩と突き捨てて

64同角に55銀とぶつけて十分、と見ていたかもしれません。でも75歩を金で取られて、角銀の取り合いは、銀取り角取りが残っています。

75同銀同角が仕方なく、勢いで44銀と突進しますが

48歩があるのでだめでした。

71角成に77歩というのが木村先生のそつのない利かしです。

飛を取り合って、駒の損得はほとんどありません。先手玉のほうが堅いから先手よしに見えますが、手番は木村先生です。

72飛の王手角取りあるいは52飛の王手銀取りがあるのですが、その前に59と というのが利かしです。59同金は57角成でした。大山先生はちょっとひねって23歩

23同玉に55馬と引けば、56銀を取れば王手になるという意図でした。木村先生は構わず金を取ります。

これで先手玉は詰めろ。

56馬34歩、また駒の損得はなくなります。先手玉は詰めろ、後手玉はせいぜい2手すきですから寄せ合いは後手有利です。

大山先生は89玉59飛79銀と受け

68銀88銀打79銀成同銀が入りましたが千日手にはならず69と、これが馬取りになるのが大きく、やはり後手有利です。

先手玉は詰めろではないので72飛32銀が入りました。45銀は詰めろではないけれど

56飛成同銀で後手玉が安全になってきます。角を逃げる57角がぴったりで、木村先生は有利から優勢へと進みます。

51飛に79と同金78歩、78同金は69銀で寄せられるので

78同玉に83角は両取りです。52飛寄成には41金でしょうか。

67銀と引けば馬取りなので同馬

67同玉72角、木村先生は銀2枚得です。先手玉も露出していますから勝勢といってよいでしょう。

31角に76歩、これくらいの手で間に合います。

22金14玉で持ち駒のない先手は後手玉を捕まえられません。78玉に64銀としばり

16歩に46飛、合駒の場所によって詰み筋に入ります。

67玉に66銀、あとは難しくなく

78玉48飛成に89玉とすれば詰まないですが、68歩は77銀成から詰みです。ここまで。

 

38手目木村先生の35歩が指し過ぎに見えるのですが、大山先生に攻めさせたという意味で成功したかもしれません。二人とも受けの棋風で、大山先生の攻めはうまくないですから。後手玉のほうが薄いので危なく見える終盤なのですが、きれいに寄せ合い勝ちにもっていく木村先生の往年の強い指し方がみられました。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.43 棋譜ファイル ----
開始日時:1952/09/25
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:木村義雄十四世名人
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 8四歩(83)  
   3 7八銀(79)  
   4 3四歩(33)  
   5 7七銀(78)  
   6 6二銀(71)  
   7 2六歩(27)  
   8 3二銀(31)  
   9 4八銀(39)  
  10 5二金(61)  
  11 7八金(69)  
  12 8五歩(84)  
  13 6九玉(59)  
  14 7四歩(73)  
  15 5八金(49)  
  16 5四歩(53)  
  17 2五歩(26)  
  18 3三銀(32)  
  19 4六歩(47)  
  20 3一角(22)  
  21 4七銀(48)  
  22 3二金(41)  
  23 5六銀(47)  
  24 4一玉(51)  
  25 7九角(88)  
  26 7三銀(62)  
  27 6六歩(67)  
  28 7五歩(74)  
  29 6七銀(56)  
  30 4四歩(43)  
  31 4八飛(28)  
  32 4三金(52)  
  33 5六歩(57)  
  34 7六歩(75)  
  35 同 銀(67)  
  36 6四銀(73)  
  37 6七銀(76)  
  38 3五歩(34)  
  39 4五歩(46)  
  40 同 歩(44)  
  41 6五歩(66)  
  42 同 銀(64)  
  43 4五飛(48)  
  44 5五歩(54)  
  45 3五角(79)  
  46 4四歩打    
  47 4九飛(45)  
  48 3四銀(33)  
  49 6八角(35)  
  50 5六銀(65)  
  51 6六銀(67)  
  52 5四金(43)  
  53 7六銀(77)  
  54 4三銀(34)  
  55 7四歩打    
  56 6四金(54)  
  57 6五歩打    
  58 7四金(64)  
  59 7五歩打    
  60 7三金(74)  
  61 7七角(68)  
  62 3三金(32)  
  63 7九玉(69)  
  64 3二玉(41)  
  65 3六歩(37)  
  66 8四金(73)  
  67 2四歩(25)  
  68 同 歩(23)  
  69 6四歩(65)  
  70 同 角(31)  
  71 5五銀(66)  
  72 7五金(84)  
  73 同 銀(76)  
  74 同 角(64)  
  75 4四銀(55)  
  76 同 銀(43)  
  77 同 角(77)  
  78 4八歩打    
  79 7一角成(44)
  80 7七歩打    
  81 同 桂(89)  
  82 4九歩成(48)
  83 8二馬(71)  
  84 5九と(49)  
  85 2三歩打    
  86 同 玉(32)  
  87 5五馬(82)  
  88 5八と(59)  
  89 5六馬(55)  
  90 3四歩打    
  91 8九玉(79)  
  92 5九飛打    
  93 7九銀打    
  94 6八銀打    
  95 8八銀打    
  96 7九銀成(68)
  97 同 銀(88)  
  98 6九と(58)  
  99 7二飛打    
 100 3二銀打    
 101 4五銀打    
 102 5六飛成(59)
 103 同 銀(45)  
 104 5七角成(75)
 105 5一飛打    
 106 7九と(69)  
 107 同 金(78)  
 108 7八歩打    
 109 同 玉(89)  
 110 8三角打    
 111 6七銀(56)  
 112 同 馬(57)  
 113 同 玉(78)  
 114 7二角(83)  
 115 3一角打    
 116 7六歩打    
 117 2二金打    
 118 1四玉(23)  
 119 7六玉(67)  
 120 6四銀打    
 121 1六歩(17)  
 122 4六飛打    
 123 6七玉(76)  
 124 6六銀打    
 125 7八玉(67)  
 126 4八飛成(46)
 127 6八歩打    
 128 7七銀成(66)
 129 投了        
まで128手で後手の勝ち


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