大山将棋研究（88）; 中飛車に64金戦法

昭和48年3月、米長先生と第22回NHK杯決勝です。


大山先生の中飛車に米長先生は金立ち、64金戦法になりました。

中飛車のまま対抗するのもあるのですが、三間飛車に振りなおす棋譜ばかりですね。となれば戦いは7筋ではなく5筋からです。

1手で位置を直せるのが金で攻める時のいいところ。代わりに玉の囲いが薄いので今では指されません。

54の金で65歩の筋をけん制、64銀を見て7筋から攻めます。後手が55歩とするのは45銀が嫌なのでここから攻めるでしょう。

72飛に76から銀を引きました。88角は77歩同飛66角を嫌ったか。

米長先生は角の位置をずらして65歩を狙います。

これに対してどう受けるか。

指されてみると当たり前ですが、ピッタリした受けです。7筋と6筋を受け、角筋を避けます。

軽く銀をかわして金を追います。55同金同銀同角は57飛が嫌味。

65にぶつけられましたが、気持ちの良い桂跳ね。

さらに角の活用で、大山先生が好調です。

米長先生の抵抗。攻防の手になります。

さらに左に角を転回して好調のようですが、これがミスでしょう。6筋を連打してと金を払っておくほうがよかったのです。

角を切って

飛車を回った時に角を打たれました。勢いで金を捨てて飛車を成るのですが、角損です。

53同歩は52金31金で千日手。

銀桂交換に。今度は歩で取れば51銀から52金で寄ります。

金で取るしかなく、馬を追って金打。

これで攻め合いです。形勢は互角です。

前に打った銀が生きていますね。

ここからは玉の上部をどちらが制するかの勝負。

歩を突きだして、後手玉が少し広くなりました。

駒の損得を言っていられません。

馬は56に引きたかったのですが、43と で抜かれてしまいます。先に24玉はあったかもしれません。

馬を捨てて玉を上がり

角成に歩合で先手玉は詰みません。

詰めろをかけられて後手玉が詰むかどうかですが

追いかけてみれば難しくないようです。

米長先生の仕掛けが軽かったので、大山先生がうまくさばきました。大山先生が好調になったところで落とし穴があり、駒損で攻めが切れそうに見えましたが、千日手含みで食いつき、形勢互角での終盤戦は迫力がありました。難しい終盤戦ですが、やや米長先生がよかったでしょうか。敗着は67馬のあたりです。早指しでこれだけ面白い攻防があれば視聴者は満足でしょう。並べるといろいろなところが勉強になります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割：平手　　
先手：大山9段
後手：米長8段
手数----指手--
1 ７六歩(77)
2 ８四歩(83)
3 ５六歩(57)
4 ５四歩(53)
5 ６八銀(79)
6 ６二銀(71)
7 ５八飛(28)
8 ４二玉(51)
9 ４八玉(59)
10 ３二玉(42)
11 ３八玉(48)
12 ３四歩(33)
13 ６六歩(67)
14 ５二金(61)
15 ２八玉(38)
16 １四歩(13)
17 １六歩(17)
18 ４二銀(31)
19 ３八銀(39)
20 ８五歩(84)
21 ７七角(88)
22 ７四歩(73)
23 ６七銀(68)
24 ５三金(52)
25 ７八飛(58)
26 ６四金(53)
27 ５八金(69)
28 ５三銀(62)
29 ４六歩(47)
30 ５五歩(54)
31 ４七金(58)
32 ５六歩(55)
33 同　銀(67)
34 ５四金(64)
35 ３六歩(37)
36 ７五歩(74)
37 ６七銀(56)
38 ７六歩(75)
39 同　銀(67)
40 ７二飛(82)
41 ６七銀(76)
42 ６四歩(63)
43 ８八角(77)
44 ７五歩打
45 ３七桂(29)
46 ８六歩(85)
47 同　歩(87)
48 ８七歩打
49 ７七角(88)
50 ７六歩(75)
51 ５九角(77)
52 ８八歩成(87)
53 同　飛(78)
54 ６五歩(64)
55 ８七飛(88)
56 ６六歩(65)
57 ５六銀(67)
58 ６二飛(72)
59 ５五歩打
60 ６五金(54)
61 ４五桂(37)
62 ４四銀(53)
63 ５四歩(55)
64 ５二歩打
65 ２六角(59)
66 ５六金(65)
67 同　金(47)
68 ２五銀打
69 ４八角(26)
70 ６七歩成(66)
71 ８四角(48)
72 ６四飛(62)
73 ７五角(84)
74 ７四飛(64)
75 ４二角成(75)
76 同　金(41)
77 ６七飛(87)
78 ７八角打
79 ６二飛成(67)
80 ５六角成(78)
81 ５三歩成(54)
82 同　銀(44)
83 同　桂成(45)
84 同　金(42)
85 ４七銀打
86 ８九馬(56)
87 ６五金打
88 ５五桂打
89 ５四歩打
90 ４七桂成(55)
91 同　銀(38)
92 ２四桂打
93 ５三歩成(54)
94 ３六桂(24)
95 同　銀(47)
96 同　銀(25)
97 ５二龍(62)
98 ３三玉(32)
99 ３七歩打
100 ２六銀打
101 ３八金打
102 ３七銀成(36)
103 同　金(38)
104 同　銀成(26)
105 同　玉(28)
106 ３五歩(34)
107 ２八玉(37)
108 ３六歩(35)
109 ３八歩打
110 ３七銀打
111 同　歩(38)
112 同　歩成(36)
113 同　玉(28)
114 ３六歩打
115 同　玉(37)
116 ３五歩打
117 ４七玉(36)
118 ３六金打
119 ４八玉(47)
120 ６七馬(89)
121 ５八銀打
122 ３七金打
123 ５九玉(48)
124 ２四玉(33)
125 ６七銀(58)
126 ７七角成(22)
127 ６八歩打
128 ６七馬(77)
129 同　歩(68)
130 ７七歩成(76)
131 ２五銀打
132 同　玉(24)
133 ２六銀打
134 同　金(36)
135 同　歩(27)
136 同　玉(25)
137 １七角打
138 投了
まで137手で先手の勝ち