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20180209今日の一手(その645);飛車を攻める

2018-02-09 | 今日の一手

20180209今日の一手

10月28日の名南将棋大会から、NさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けのところから見てみます。

相矢倉ですが互いに玉の移動が完了していません。後手Iさんは棒銀で端攻めです。ただ、端攻めをしても先手玉から遠いから駒損でうまくいかない、という大局観が普通なのですが。先手玉が88にあれば大成功ですね。後手玉を囲っておくほうが良いでしょう。
先手Kさんはこの銀を取らず、88銀96歩98歩

の穏健策です。これは後手Iさんがポイントを上げました。86歩同歩同角87歩68角成同玉

角交換はどちらの得かわからないですが、もう先手玉が堅くならないですから、やはり後手玉を囲っておけば十分なはず。
でも86歩同歩同銀87歩97歩成同歩同香成

無理矢理こじ開けて攻めましたがこれは無理筋です。97同桂同銀成同香86歩同歩98角

銀香と桂の交換では大失敗です。怪しく角を置いて、79玉に85歩

継ぎ歩ですが取ってもなんでもないです。先手Kさんは24歩同銀22歩と反撃に転じて86歩と取り込んだというのが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
桂歩と銀香の交換で持ち歩があります。先手の大きな駒得です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒角銀香で4枚。十分にあります。
後手の攻め駒は98角と持ち駒桂で2枚。82飛も加えてよさそうで3枚近いです。

総合すれば先手有利です。

☆ 大局観として

先手の足りないところは玉の堅さだけですが、後手玉と同じくらいの堅さです。攻めて後手玉を薄くする方がわかりやすいかも。
後手の攻めを受けてしまうのもあります。それならば問題図の少し前

この図で85同歩から受けるほうが良かったのです。これは先に受けるほうが手堅いという原則通り。
後手の攻め駒はほぼ3枚ですが86歩も攻め駒になる(と金として働く)ことになると受けが無くなっていきます。ちょっとテクニックが必要です。

いずれにせよ先手有利ですからいくつか良さそうな手を選ぶことができます。


△ 実戦は89香と数の受けでした。87桂と打ちこまれて

87同銀同歩成同金

これが敗着です。87同角成同香同飛成78銀88金

これで金銀を剥がされて寄せられてしまいました。

87歩成を同香と取って(こっちが普通の手)

87同角成に83歩同飛72角

と反撃すればまだ難しい将棋でした。(78金が89香だと69金の詰めろです。)

もう少し戻って87桂に68玉

とすれば89角成が厳しくないのでまだ先手が有利でした。83歩とかで反撃します。

形勢が有利でも2回疑問手を指せばひっくり返ります。疑問手を重ねないというのは大事です。


○ 21歩成は継続手で

(どこかで)こう指さないのなら前の22歩が緩手だったということになってしまいます。
87歩成に83歩同飛72角

78と同玉82飛63角成52金

金を取られて抵抗されるのですが、83歩同飛72馬84飛75銀

飛車を取りに行けば先手よしです。


○ 何度か出てくる83歩でもよく

攻め駒を責めるというテクニックです。83同飛72角82飛63角成(王手で歩を取り返せるという感触が良い)42玉85香

飛車を攻めていけば優勢になりそうです。


○ 84歩でも

後手は取るくらいしかなく、84同飛75銀82飛84香

飛車が逃げると攻め駒ではなくなります。


○ 85歩でもよく

85同飛には96角があります。


○ 61角もあって

83歩と52銀(角銀と飛の交換でも82飛から21歩成で先手よし)の両狙いです。87歩成同銀同角成同金同飛成に52銀

31玉に21歩成同玉43銀成が詰めろ。先手玉は詰みません。31金打など受けたら77金打

97竜には98香です。踏み込んだ変化ですが、一番勝ちが早いようです。


△ 他には71銀

は矢倉終盤の手筋ですが、84飛には85歩同飛96角

など角打ちを狙えます。

72飛には

21歩成71飛

後手の飛車が攻め駒ではなくなりましたが、次の手がパッとしません。11と、77金上(99歩87桂78玉の意味)とか、あまり厳しい手でもなさそうなんですよね。銀を渡したマイナスがあります。


○ ならば変な手ですが91銀か。

これなら銀を取られません。


☆ まとめ

先手Kさんは受けの方針でしたが手抜いてよいところの見極めを誤りました。問題図の前にもう少し受けておくのだったか、というところです。受けると決めたらはっきりするまで受けきっておくのが良いです。

攻め合いの方針で22歩を打ったのが問題図でしたが、それなら21歩成を実現できる手を探したかったです。
89香は足し算の受けですが、桂を打ちこまれて当てが外れ、慌てて清算してしまったら受けがありませんでした。

わかりやすいのはまだ先手陣に利きの届いていない82飛を責める順です。83歩から考えて、83同飛に72角~63角成というのが持ち歩を使い切ってまた補充できるというとても味の良い手順なのです。(昔芹沢先生が言っていました。)形勢が良いのでこの手のタイミングはいくつかあります。後手に少し攻められても合間を縫って打つことができます。

矢倉の手筋としては61角や71銀(場合によって71角)で、61角以下の手順を読んで勝ちまで読み切ることができるかもしれません。

先手有利が広がる手がいくつかありましたが、その後21歩成が実現できるような順を選びましょう。後手の攻めを鈍らせてしまえば実現しやすいです。後手玉を攻めた時に31玉に21歩成と王手で取れるという含みもあってかなり働いています。(最悪は31玉~22玉あるいは42玉~33玉~22玉と取られるルートですが、実現しにくそうです。)


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