今日の棋譜20210207
昭和31年4月、塚田正夫先生と名人九段五番勝負第2局です。

大山先生の先手で、5筋を突き合って

66歩を突いた、ということで振り飛車のようです。

大野流の三間飛車にしました。先手で振り飛車を採用するのは珍しいです。

端は受けないで美濃囲いを急ぎます。

65歩の急戦に備えて46銀、

65歩には55歩同歩65歩とさばくのかと思ったのですが、

75歩同歩65歩、かなり軽い指し方です。

塚田先生は角を交換して63金ですが、66角(74歩65桂67飛が嫌)、88角(74歩65桂75飛66角成は後手よしか)、86歩(75飛87歩成74歩72歩)など選択肢が多いところでした。

75飛に74歩76飛88角はおとなしい指し方です。収めて駒得になれば後手有利ですが。
後手の74歩では66角76飛99角成74歩75歩同飛66馬もあったか。

66角同角成同飛88角

77角同角成同桂88角

78歩99角成で後手の駒得です。55歩を突かれて、歩切れなので取るほうが良かったか。あるいは64歩を突かれる前に53金か。

塚田先生の88馬自体は働きが無いです。64歩53金54歩と手順に攻められて

54同金63歩成65歩、これが通ればよいのですが。

73と同銀68飛、これで後手の得は馬ができたくらいのものです。91香が遊んでいるのに比べて、先手は65桂があるので、玉の堅い先手有利と言ってよいでしょう。(攻め駒4対2と見る。)

65桂を避ける64銀に55歩、44金は56桂、53金は65桂、取れば73角の両取り筋があります。

塚田先生はとりあえず57歩を打ったら金を取られて

金を取り合って66歩の突き出しも仕方ないのでしょう。先手の攻めを防ぎきれません。

大山先生は53歩成から飛を切り

両取りの55角で決めてしまいました。92飛11角成と進めば飛と銀桂の二枚換え、玉は堅く、攻め駒は5枚もあります。ここまで。
塚田先生がおとなしく対応したのがいけなかったのでしょう。大山先生に好きなようにさばかれてしまいました。居飛車の急戦は玉が薄いので、序盤研究が進み、定跡が整備されてから力を発揮します。まだその定跡がない時代でした。
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# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1956/04/06
手合割:平手
先手:大山名人
後手:塚田正夫九段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 6八銀(79)
8 3四歩(33)
9 6六歩(67)
10 6二銀(71)
11 5七銀(68)
12 5二金(61)
13 7八飛(28)
14 4二玉(51)
15 4八玉(59)
16 3二玉(42)
17 3八玉(48)
18 1四歩(13)
19 2八玉(38)
20 1五歩(14)
21 3八銀(39)
22 4二銀(31)
23 5八金(69)
24 7四歩(73)
25 3六歩(37)
26 6四歩(63)
27 4六銀(57)
28 7三桂(81)
29 2六歩(27)
30 6五歩(64)
31 7五歩(76)
32 同 歩(74)
33 6五歩(66)
34 7七角成(22)
35 同 飛(78)
36 6三金(52)
37 7五飛(77)
38 7四歩打
39 7六飛(75)
40 8八角打
41 6六角打
42 同 角成(88)
43 同 飛(76)
44 8八角打
45 7七角打
46 同 角成(88)
47 同 桂(89)
48 8八角打
49 7八歩打
50 9九角成(88)
51 5五歩(56)
52 8八馬(99)
53 6四歩(65)
54 5三金(63)
55 5四歩(55)
56 同 金(53)
57 6三歩成(64)
58 6五歩打
59 7三と(63)
60 同 銀(62)
61 6八飛(66)
62 6四銀(73)
63 5五歩打
64 5七歩打
65 5四歩(55)
66 5八歩成(57)
67 同 飛(68)
68 6六歩(65)
69 5三歩成(54)
70 同 銀(42)
71 同 飛成(58)
72 同 銀(64)
73 5五角打
74 投了
まで73手で先手の勝ち