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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

将棋の上達法則(14)

2015-05-11 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力について、復習です。

1 パワー 読み
2 スピード 直感
3 テクニック 知識(=直感を言語化したもの)
4 コントロール 形勢判断、大局観(=形勢判断の未来要素)
5 スタミナ 集中力
6 メンタル 心理(=欲望と恐怖)

6つの能力について、訓練法を考えていきましょう。しかし、

これからなにか素晴らしい訓練方法を提案してくれて、それを行えば簡単にすぐに強くなる。

なんて思わないでくださいね。そうできればすごいことなのですが、あなたには個性があり、どの能力を伸ばすかについては戦略も必要です。

正しい目標を設定すること。これは最初の方で書きました。また後でもふれます。それから

行動計画 Plan
実践 Do
評価 Check
改善 Act

を繰り返すこと(PDCAサイクル)で達成していきます。難しく感じるかもしれません。けれど堅苦しく考えなくてもいいです。できることをやればいいだけです。それはあなたの設定した楽しい目標を実現させるための方法です。いやだなあと思うなら目標を変えればいいだけです。多分、訓練も楽しく感じられます。だって上達する自分を感じられるのですから。

将棋の上達法則(13)

2015-05-10 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力、最後はメンタルです。心理的側面ですね。

だいたいの勝負事やスポーツあるいはビジネスでもそうかもしれませんが、相手は欲望と恐怖です。
大きな勝負になるほど、重要になってくるのですが、普段の対局でもあることです。

負けられない将棋で形勢が少し悪くなったら、負けたらどうしようと手が伸びなくなります。ただ受けるだけの手で長引かせようとするのが典型的ですね。秒を読まれて催促されてやっと指したけど悪い手を重ねて取り返しがつかなくなった、なんて想像をしただけで嫌ですよね。
少し苦しいかと思ったけれど、優勢になったら意識してしまい、決め手を指したつもりが、実は読みぬけて敗勢になるというのも思い当りませんか? あるいは相手の甘い手を見て、ラッキーと飛びついたら実は罠だったなんていうのもありますよね。

形勢がよくなれば、それを意識すると、勝ちたい、勝った、楽になろうと欲がでて、平常心ではなくなります。
形勢が悪くなれば、負けたくない、怖い、どう思われるだろう、で負けることから逃げようとして、外から見ればおかしな行動に出ます。

あるいは、どうせ将棋大会に出ても負けるからと(直接意識しないことが多いのですが)、天気が悪い、体調が悪い、次回でもいいじゃないかと敵前逃亡かもしれません。
さらにはどうせやっても才能がないから将棋なんて強くならない、ほかのことが楽しいよと、訓練をさぼる口実を探します。

特に恐怖は心理の底に隠れていることが多いので、無視しないでください。無視すること自体が恐怖から逃れようとしている行動なのです。

人間がやることですから欲望や恐怖には負けることが多く、私も考えてみれば(将棋に限らず)いろいろなことに覚えがあります。これらとうまく付き合っていくことが人間の成長なのかなあとも思います。
将棋をやって、欲望や恐怖にうまく対処できれば、実社会でも成功するのではないか?と単純な私は想像するのですが、それこそ欲望の甘い罠かもしれません。

将棋の上達法則(12)

2015-05-09 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力 続きです。

パワー(読み)に関連するのですが、スタミナを挙げます。集中力です。生理的要因も含みます。名南将棋大会は1日4局、4,5時間かかります。県代表を決める大会なら6,7局は必要で、もっと時間がかかりますね。かなりの時間の集中を要求されます。

脳が働くにはブドウ糖が必要です。ほかにも脂肪酸、リン脂質、アミノ酸、ビタミン、ミネラルが必要なのだそうですが、大量に消費するのはブドウ糖ですからどこかで補わなくてはなりません。だからと言って甘いものをいつも食べて習慣化したら病気になりそうです。

あなたが対局中、特に大会で終わりのほうになって考えるのが嫌になってくるのならブドウ糖の補給を考えなければならないかもしれません。血行が悪くなって脳までブドウ糖や酸素が行き渡らないのなら、軽い運動やストレッチをしたらいいかもしれません。将棋を指すのもスポーツだと考えてみてください。明日運動会があるのなら、前日はどう過ごしますか? 深酒をせずに早く眠るほうがいいでしょうし、食事の内容や量も考えたほうがいいでしょう。当日の朝はいつ起きてどんなことをして準備しますか? 当日の部屋の気温はどうでしょうか、冷房がきついとか暖房が足りないとか、対策を取っておけば安心できますね。
多分若者なら体力があるのでこんなこと考えなくてもどうにかなるのかもしれませんが、ベテランになるほど考えておいた方がいいです。

あなたの集中力がどれだけ持続するかも意識したほうがいいでしょう。1局1時間で終わるとして、その間ずっと集中できますか? 対局中に余計なことを考えていませんか?

将棋の上達法則(11)

2015-05-08 | 将棋上達法則
さて、またベイビーステップに戻って、主人公はパワーテニスに進まないでコントロールを中心に据えます。相手の動きを見て、返球するボールをどの位置に落とすかをコントロールするわけですが、こういう返球をしたらこう返さざるを得なくなって、こうやって決められる、と考えてプレーします。ボールのコントロールだけでなく試合の流れをコントロールしようとしているわけですね。

将棋の能力でのコントロールは形勢判断です。この局面がどちらがどれだけよいのかということが判断できれば読みに一区切りできますね。直感で見える手に根拠も与えられます。悪い手を指さなくなるという意味でコントロールです。

そして、現在の形勢判断が未来のことにかかわりを持つと大局観に変わります。1歩取ったけれど手損になった、形勢判断は互角。1歩得を生かしてゆっくりした展開にもっていけば取った筋を攻めていけるから有利になる。これで大局観ができます。大局観で一局をコントロールしようとするわけです。

注意しておきますが、大局観は流動的です。時代で変わりますし、指す人の個性で変わります。「横歩3年の患い」は死語にされましたが、今でも局面が変われば例外はあります。

形勢判断ができて、大局観が優れているひとを「棋理に明るい」といいますね。憧れます。

将棋の上達法則(10)

2015-05-07 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力を分類していきます。続きです。

パワー(読み)、スピード(直感)は将棋に必要な能力の代表ですが、これだけではありません。
次はテクニックです。一言で代表させるのは難しいですが、セオリーとか手筋とか理論とか知識的なものですね。

テクニックはスピードと関連します。スピード(直感)とはひらめきの一種で、ひらめきとは自分の知識を結び付けて生じるものだからです。テクニック(知識)はひらめきを言語化したものと言えるでしょう。こういう局面は見たことがないけれど、部分的にでも似たようなことはあって、こう指したほうがいいのではないか、という直感あるいはひらめきができる。直感あるいはひらめきを積み重ねて言葉にしていくと、セオリーとか手筋とか理論とかができていく。セオリーなど意識することで、直感も磨かれてすぐに答えが出るようになる。という関係です。

こう書いてみると難しく見えますが、理解していただけるでしょうか。
例えば振り飛車穴熊を見て、どうやって攻略しようかと考える。相居飛車で24歩同歩25歩同歩24歩という手筋があったからとひらめいて、84歩同歩85歩同歩84歩とやったらうまくいった。これが直感による知識の結び付けです。
言語化して「3歩持ったら継歩に足れ歩」としたら将棋の格言ですね。「3歩持ったら継歩に足れ歩」を思い出して、相振り飛車で金無双に64歩同歩65歩同歩64歩とやってみたらうまくいった。これがテクニック。何度も出てくるので玉の近くに位があればまず位をつき捨てて合わせるというのがすぐに思い浮かぶようになると直感がどんどん強化されていきます。


将棋の上達法則(9)

2015-05-06 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力の続きです。

パワー=「読み」という話を書きましたが、次はスピードです。「直感、感覚」が該当します。読まない能力ですね。パワーとスピードあわせてふつう使う意味での才能と言っていいでしょう。
読みの力に優れていれば、ある程度有力だと思う手を組み合わせて先を読めばいいのです。

スポーツの初心者なら、筋力がついたら早く動けるようになったということはあるでしょう。でも筋力を鍛えたら体の動きが鈍くなったということもありそうです。体重も増えるのですから。
直感がまったくないと必要ない手を考えるし、直感だけで読めなければすぐ後の相手の良い手を見逃しそうです。
直感が優れていれば読みの必要がなくてすぐに結論を出してしまうでしょう。読みに自信があれば、変な手に見えるけれど実は素晴らしい手だということが多くなるかもしれません。一方を鍛えれば他方が弱くなる気がします。あちらが弱ければこちらでカバーしようということもでてくるでしょう。

最初は読みと直感は相補的に成長するけれど、あるレベルを超えると干渉して片方が伸びにくくなるということかもしれませんね。
将棋で「筋がよい」というのは直感に優れていることで、「筋が悪い」というのは読みが優れていること、とも言えます。どちらがいいというのではなく、どちらの才能が目立つかということです。

加藤一二三先生が「直感精読」と揮ごうされますね。実は深い意味があることだと思うのです。私の想像でいえば、加藤先生は「神武以来の天才」ですから、筋はよく、直感力に才能があります。だから多くの定跡も作り出してきたのです。ところが大山先生がはだかります。正しいと思う手だけでは勝たせてもらえません。加藤先生は悩んで長考派になってしまいました。外から見て長考の意味が分からないことが多いので、大山先生につぶされたという評価になります。こだわりができて、それが棋理に合わない順なのに繰り返して負けている時代がありました。でも長い目で評価してみれば、確かな実績を残しました。読みを意識して鍛えているので衰えが少なかったのだと思うのです。自分の進む道が正しいのだという姿勢に感動します。

将棋の上達法則(8)

2015-05-05 | 将棋上達法則
今回から将棋を指すのに必要な能力を考えていきます。

ベイビーステップをみていて、パワーに優れた少年少女を選抜して鍛えていくという話がありました。体格がよくて筋力に優れていれば、まずは才能ありとしてよいでしょう。将棋では「読み」ですね。この局面で何が最善かを決めるのに、考えられる手をつないでいって先の局面を考えます。はっきりどちらかがよしとなるまで考えるのです。
詰将棋ならば、可能性のある手は王手だけですから、すべての王手を考慮し、相手の王手回避を考慮し、またすべての王手を考慮するというような全幅探索するイメージです。もちろん詰将棋でなければ指し手の可能性は多く、組み合わせがとんでもない数になりますが、可能性をなるべく限定せずに順番に指し手を考える能力です。論理思考の能力ともいえます。
頭の中に将棋盤がイメージできて、指し手を追いかけられなくてはいけません。パソコンでいえばメモリの多さといえばいいでしょうか。前の局面を覚えて一手進めて次の局面に移り、時々は前の局面に戻って、ということが必要ですから、そういう一時記憶の領域が広くないといけません。

残念ながら若いころの私には「読み」の才能が有りませんでした。今でも詰将棋は苦手で、手筋物はまあ解けるのですが、盲点に入ると全幅探索しているつもりでもどこかで打ち切ってしまうので何日考えても解けません。解かないからできないという悪循環かもしれません。今日の一手を読んでいただければ、私が「両取り見えない病」であることがわかると思います。あなたはそんなことありませんか?


将棋の上達法則(7)

2015-05-04 | 将棋上達法則
私がこの頃気を付けていることは、自分のできることをする です。

子供のころからとあるプロ野球球団のファンですが、私が応援しようが試合の結果は変わらないのだと気が付きました。気が付けば当たり前ですが。応援する球団が試合に勝てば気分は良いですが、負けると気分は良くないですね。これと日常の少しついていないことがくっついて余計に落ち込むことがあり、やめたほうがいいのだと気が付いたのです。スポーツ観戦一般は興味を持たなくなってきました。プレイヤーが私より若いのだと気が付いたからかもしれません。
オリンピックとかの日本選手チームの活躍も応援しないようになりました。つい相手国選手のミスを願ったりするのは悪い感情だと思うのです。もちろんスポーツを応援するあなたの行動を非難してるつもりはありません。私が単純にひねくれ者だからと思っていただいてよいことです。(こんなこと書いただけであなたの行動を変えようなんて思いません。それは自分のできることではないのですから。)

どちらにも肩入れしなくて見られて、いいプレーに感心したり、心理の変化を想像したりで楽しめるスポーツはこの限りではありません。と理屈をつけてプロレスをTVなどで見るのは楽しみにしています。多分実際に試合を観戦したら殴り合いで気分が悪くなりそうで、映像を見るだけです。プロレスは、ごく一部の花形選手が勝つのを楽しむのではなく(昔はこの傾向が強かった)、複数の選手が勝ったり負けたりするようになって、選手の個性が評価される時代になり、見ていて面白くなってきました。ベビーフェイス(正統派)とヒール(悪役)で試合をしてもどちらかに肩入れしないで見て、派手な技や渋い技が応酬されるのを楽しみます。

選手は自分の体の特徴を生かした得意技を持っているのだなあと感心します。体が小さければ(と言っても体重100㎏近いのですが)スピードがあり、リングから場外へでも跳びます。跳躍力だけでなく空間認識能力が想像を超えています。恐怖心なんて無いようです。身長があれば、高い位置からの打撃技や投げ技が効果的になります。腕が長ければ関節技がうまかったり、足が長ければ蹴り技、腕の筋肉をつけて打撃を強化し、腹筋胸筋を鍛えて体ごとぶつかります。そして得意技決め技が各選手にあって、阻止したりあえて受けたりというやり取りを見るのはとても面白いです。

何が言いたいのかわかってきました? 将棋を指すことでも私たちそれぞれに個性があります。思考のくせ、得意不得意があって、それを生かす訓練法があるのだと思うのです。もちろん初心者ならば画一された基礎練習でどの分野を鍛えても上達幅が大きいのですが、初心の域を抜けると自分の思考のくせが見えてきます。そこで長所を伸ばすほうが上達するのか、短所を補うほうがいいのかという問題もあって簡単ではないですが、まずは将棋に必要な能力を考えていきたいと思います。

将棋の上達法則(6)

2015-05-02 | 将棋上達法則
さて、目標とその注意点について話をしましたが、関連したお話です。

ここ何年か、幸せとは何だろうかと考えてきました。一人で考えてもよくわからなくていろいろ本を読んでみました。

幸せとは現在の自分に満足すること

なんかこれだけでは誤解されそうですが、一言でいえばこうではないかと理解しています。
まず過去にとらわれないこと。そして未来のことを心配しないこと。そして満足するためには感謝するとよいそうです。今起きていることを楽しむのです。
努力するなというのではありません。ただ未来にあせって不安を消そうとして努力しなきゃともがいているだけでは幸せには程遠いです。現在に満足して楽しめばもっと何かやってみようと思うものです。

名南将棋大会では、参加された多くの方が「ありがとうございました」と言って帰っていきます。私も嬉しくなります。だから10年も続けているのです。少しずつ運営を改善しながらすすめています。ありがとうございます。

あなたの目標は、ありがとうたのしいしあわせ、なイメージを描けますか?





将棋の上達法則(5)

2015-05-01 | 将棋上達法則
昨日は目標をもつことについて書きました。考えていただけましたか?
ここで注意点があります。大事なことです。
(外部要因のある)結果を目標にしない
です。

私は大学時代はイレギュラーでした。2年の時に団体戦地区大会での最終戦、勝てば優勝というところで抜擢され、これに負けてしまいました。チームも負けです。地区大会では常勝でしたから、何十年ぶりかの敗北で、それから負けていないとか、もう聞くのも嫌なので覚えていません。3年になってからは理系は実験が忙しいからといって部室に行く時間が少なくなり、部内リーグから外れたのでイレギュラーです。負けることの恐怖が強くなってしまい、逃げたかったのでしょうねえ。今思えばよくわかります。
それから10年くらいたって東海団体リーグに参加し、2005年からは社団戦にも参加するようになりました。けれど当然ながら今でも負けるととてもきついです。

言いたいことがわかるでしょうか。将棋での勝利を目標にすると、達成できないときにつらいのです。相手のいることですから、ノーミスで負けることもあるかもしれません。また、心のどこかで相手のミスを期待するでしょうし、それは自分の心が悪いほうを向いていくと思うのです。自分でコントロールできないことなので、ただただストレスがたまるのです。

とはいえ、プロなら結果を期待されます。将棋のプロの話だけでなく、なにか職業を持ったら仕事の成果を求められます。その成果が自分の努力だけで達成できるのならいいのですが、自分とは関係のないなにかに左右されることのほうが多いですね。これは大きな問題です。
・・・ここから書いていくととても長い脱線になりそうなので話を元に戻します。

あなたの目標はなるべく具体的な方がいいです。成功の姿をイメージできるもののほうが達成しやすいです。けれど、自分の力だけでできることにとどめる事が大事です。
初段になりたい、という目標が、将棋世界の初段コースで一定の成績を収めることならいい目標です。これは結果を目標にしてはいるのですが、自分の努力だけで達成できるのですから。
初段の免状獲得大会で優勝することなら悪い目標です。
初段がアマ連1400点ではないかと書きましたが、1400点達成を目標にするのはいい目標ではありません。
1400点の人と対局していい勝負ができるようになることならいい目標です。

名南将棋大会でも5割の勝率を目標にされる方がいて、どう言おうか困るのですが、勝率よりは勝ち数を目標にされるほうがまだいい方法です。今年は10勝する、20勝するというのは積み重ねでできますから。けれどできれば勝利や勝率を目標にされないことです。年に12回全部出場して48局をすべて楽しむ、毎回終わったら充実感を感じるというのが(私の希望も含めて)最高の目標設定です。

勝っても負けても単純に楽しいならいうことはありませんね。でもこれは自分が向上していることが前提なのではないかとも思うのです。だからこのシリーズは「上達法則」としています。必勝法ではありませんよ。

長くなってきたので今日はここまでとします。