後手番升田先生の手を考えます。
第1問
前例があるので定番の手筋になりました。
A 44歩 B 44銀 C 95歩
第2問
これで後手有利です。
A 74銀 B 67歩 C 88歩
第3問
強引に見えますが、最短でしょう。
A 35歩 B 59銀 C 35銀打
第4問
後手玉が詰むかどうか。
A 37馬 B 26金 C 46馬
後手番升田先生の手を考えます。
第1問
前例があるので定番の手筋になりました。
A 44歩 B 44銀 C 95歩
第2問
これで後手有利です。
A 74銀 B 67歩 C 88歩
第3問
強引に見えますが、最短でしょう。
A 35歩 B 59銀 C 35銀打
第4問
後手玉が詰むかどうか。
A 37馬 B 26金 C 46馬
今日の棋譜20211214
昭和37年12月、升田幸三先生と第1期十段戦第6局です。
大山先生の先手で矢倉です。
46歩と64歩の対抗ですが、まだ升田先生は陽動振り飛車の可能性もあります。
どうやら相矢倉に決まりました。
6筋の位を取って
7筋の歩を交換すれば、後手のペースでしょう。
角の働きは後手のほうが良いです。
37桂に44銀というのが、「生涯最高の一手」に近いですが、その将棋は後手の雀刺しで先手の銀は97でした。ここでは形勢互角です。
大山先生は76歩を打たなかったので、升田先生から76歩を打ちます。
76同銀には端で1歩を得て
75歩で銀が死ぬのですが、成香を作られましたし、
飛先も止められます。何とも言えない形勢でしょう。
大山先生はは成香で攻めるだけです。
86歩に58玉とかわしておきます。
85桂86歩77銀、ここは79金と引いて、後手は86角か66歩か86銀成くらいでちょっと得ではないかと思うのですが。
79歩78銀不成同歩86角。59金から飛を取って29飛がありますから
56銀に66歩同歩67歩、これは取りにくいです。
47玉68歩成で後手がリード。
83成香寄に74銀、升田先生は飛が使えそうです。
87歩42角65銀打、6筋を守るためですが、これはありがたいでしょう。
65同歩銀同歩35銀打、これは升田先生が有利になったか。
35同歩同銀27銀、銀2枚と角の交換ということになり
駒損なのですが、42にいた角も使えました。26角同飛35銀からの攻めが見えています。
72成香寄に26角、有利と見て踏み込んだのですが、一度飛を逃げておく方が安全でした。
61成香59銀。69角の攻めを見ています。
26飛にも69角、合駒は取られるので
38玉48銀成28玉。先手玉にどうやって詰めろをかけるか。先手の持ち駒が豊富なので、後手玉の詰みも考えねばなりません。38金17玉37金では詰めろになっていないようで、
38成銀同玉36金、AIによると、36同飛同角成のところで後手玉が詰むと。
大山先生は45桂で詰めろになっているのかな。升田先生は47角成から
飛を取って詰めろ。26馬は攻防で、詰めろ逃れの詰めろということになります。
51飛同金同成香31玉まで。42銀などから王手がいっぱいかかるのですが、詰みはないようです(26馬が無ければ詰み)。ここまで。
最終盤の詰む詰まないで勝敗が入れ替わっています。残り持ち時間や詰み筋の認識を聞いてみたいところです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/12/25
手合割:平手
先手:大山名人
後手:升田幸三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 7七銀(78)
6 4二銀(31)
7 4八銀(39)
8 6二銀(71)
9 2六歩(27)
10 3二金(41)
11 4六歩(47)
12 6四歩(63)
13 4七銀(48)
14 6三銀(62)
15 3六歩(37)
16 7四歩(73)
17 2五歩(26)
18 3三銀(42)
19 7八金(69)
20 5二金(61)
21 6九玉(59)
22 4一玉(51)
23 5八金(49)
24 9四歩(93)
25 9六歩(97)
26 3一角(22)
27 7九角(88)
28 6五歩(64)
29 6八角(79)
30 5四歩(53)
31 5九角(68)
32 7三桂(81)
33 1六歩(17)
34 8一飛(82)
35 1五歩(16)
36 7五歩(74)
37 同 歩(76)
38 同 角(31)
39 2六角(59)
40 6四角(75)
41 3七桂(29)
42 4四銀(33)
43 2九飛(28)
44 8五歩(84)
45 4八金(58)
46 7六歩打
47 同 銀(77)
48 9五歩(94)
49 同 歩(96)
50 同 香(91)
51 同 香(99)
52 7五歩打
53 9三香成(95)
54 7六歩(75)
55 8三香打
56 9一飛(81)
57 9二歩打
58 6一飛(91)
59 8二香成(83)
60 8六歩(85)
61 5八玉(69)
62 8五桂(73)
63 8六歩(87)
64 7七銀打
65 7九歩打
66 7八銀(77)
67 同 歩(79)
68 8六角(64)
69 5六銀(47)
70 6六歩(65)
71 同 歩(67)
72 6七歩打
73 4七玉(58)
74 6八歩成(67)
75 8三成香(93)
76 7四銀(63)
77 8七歩打
78 4二角(86)
79 6五銀打
80 同 銀(74)
81 同 銀(56)
82 3五銀打
83 同 歩(36)
84 同 銀(44)
85 2七銀打
86 2六銀(35)
87 同 銀(27)
88 5三角(42)
89 7二成香(82)
90 2六角(53)
91 6一成香(72)
92 5九銀打
93 2六飛(29)
94 6九角打
95 3八玉(47)
96 4八銀成(59)
97 2八玉(38)
98 3八成銀(48)
99 同 玉(28)
100 3六金打
101 4五桂(37)
102 4七角成(69)
103 2八玉(38)
104 3七馬(47)
105 2九玉(28)
106 2六馬(37)
107 5一飛打
108 同 金(52)
109 同 成香(61)
110 3一玉(41)
111 投了
まで110手で後手の勝ち
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
後で利いてきます。
A 52銀 B 54同銀 C 18馬
第2問
これで後手優勢なのです。
A 77同馬 B 67桂成 C 38飛
今日の棋譜20211213
昭和37年12月、塚田正夫先生と第1期棋聖戦第1局です。予選は大山升田塚田の3人で6番ずつ戦って、大山1位塚田2位の5番勝負でした。(僅差なので一昨日並べた将棋の結果が大きかったです。)
大山先生は少し珍しく向い飛車に。
塚田先生は中央位取りです。
大山先生は4筋に備えて飛を移動します。
対して塚田先生は箱入り娘(加藤治郎先生の命名だったはず)から右四間飛車へ。
4筋の歩を交換して
28飛41飛を入れてから
38飛51角35歩、という手順は1手損ですが3筋の歩を交換します。
大山先生は84角でけん制。今ならば流行で58金上とするかもしれませんが、
38飛37歩、同桂は31飛~36飛なので
37同飛48歩成。これは1歩損で馬を作ったことになります。歩得のほうが大きい(と分かったのは現代になってからですが)ので先手の駒得。
36飛49馬32歩、と金作りが受からないので先手のペースです。
27馬36飛28馬、これは37桂も一考ですが、
塚田先生は31歩成51飛32と
52飛33と
桂を取り合って銀香取りがちょっと痛いかな。
47歩19馬は仕方ないとして、33歩では他にも何かあったところでしょう。大山先生は銀を助けるために香を打ちます。
34竜43銀
23竜54歩21竜、後手の香得ですが、41香は守りに役立っているような、負担なような。なので形勢は互角です。
55歩45銀42飛
54歩18馬
46歩44歩34桂、これは塚田先生がうまく指した感じです。
34同銀32歩成62飛34銀54馬、桂銀交換で と金と馬ができている、少し先手の駒得です。33銀成あるいは33歩としておくか、41竜32馬44竜とあっさり指すか。
52歩41竜32馬。52歩は手筋のようでもちょっとおかしかったようです、44竜に56歩とか54飛とかは後手ペースでしょう。
52竜同金12飛、まあまあ厳しいのですが、後手の飛をさばかせています。
22歩33香(もったいない)76馬、これはピンチでは。玉頭の味が悪すぎます。
22竜75桂77金、これで馬を逃げてもらえれば良いのですが、
あっさり67桂成から切り込まれました。飛の王手にどう応じてもだめなようで、
57歩75桂76玉57竜で詰めろ。
78金87桂成も詰めろ。受けが無くてここまで。
ずっと良い勝負、やや先手もちくらいだったのですが、大山先生の馬が活躍しました。箱入り娘は横の攻めにはちょっと堅いですが、玉頭を攻められると逃げるところがないのですね。金無双のほうが良いのでしょう。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/12/19
手合割:平手
先手:塚田正夫9段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 3二銀(31)
9 5六歩(57)
10 4三銀(32)
11 6八玉(59)
12 2二飛(82)
13 7八玉(68)
14 6二玉(51)
15 5八金(49)
16 7二玉(62)
17 3六歩(37)
18 8二玉(72)
19 9六歩(97)
20 9四歩(93)
21 5五歩(56)
22 7二銀(71)
23 5七銀(48)
24 5二金(41)
25 5六銀(57)
26 1四歩(13)
27 1六歩(17)
28 1三香(11)
29 4六歩(47)
30 4二飛(22)
31 6八金(58)
32 6四歩(63)
33 4八飛(28)
34 7四歩(73)
35 4五歩(46)
36 同 歩(44)
37 同 銀(56)
38 4四歩打
39 5六銀(45)
40 6三金(52)
41 2八飛(48)
42 4一飛(42)
43 3八飛(28)
44 5一角(33)
45 3五歩(36)
46 同 歩(34)
47 同 飛(38)
48 8四角(51)
49 3八飛(35)
50 3七歩打
51 同 飛(38)
52 4八角成(84)
53 3六飛(37)
54 4九馬(48)
55 3二歩打
56 2七馬(49)
57 3五飛(36)
58 2八馬(27)
59 3一歩成(32)
60 5一飛(41)
61 3二と(31)
62 5二飛(51)
63 3三と(32)
64 同 桂(21)
65 同 飛成(35)
66 3二銀(43)
67 4四龍(33)
68 2九馬(28)
69 4七歩打
70 1九馬(29)
71 3三歩打
72 4一香打
73 3四龍(44)
74 4三銀(32)
75 2三龍(34)
76 5四歩(53)
77 2一龍(23)
78 5五歩(54)
79 4五銀(56)
80 4二飛(52)
81 5四歩打
82 1八馬(19)
83 4六歩(47)
84 4四歩打
85 3四桂打
86 同 銀(43)
87 3二歩成(33)
88 6二飛(42)
89 3四銀(45)
90 5四馬(18)
91 5二歩打
92 同 飛(62)
93 4一龍(21)
94 3二馬(54)
95 5二龍(41)
96 同 金(61)
97 1二飛打
98 2二歩打
99 3三香打
100 7六馬(32)
101 2二飛成(12)
102 7五桂打
103 7七金(68)
104 6七桂成(75)
105 同 金(77)
106 同 馬(76)
107 同 玉(78)
108 3七飛打
109 5七歩打
110 7五桂打
111 7六玉(67)
112 5七飛成(37)
113 7八金(69)
114 8七桂成(75)
115 投了
まで114手で後手の勝ち
先手番升田先生の手を考えます。
第1問
手詰まりを打開します。
A 19飛 B 27金 C 55歩
第2問
これで駒得になりそうです。
A 25金 B 44桂 C 46桂
今日の棋譜20211212
昭和37年12月、升田幸三先生と第1期十段戦第5局です。先日の記事で大山先生が4連勝で・・・と書いてしまいましたが、升田先生は第2局で勝っていました。訂正します。
升田先生の先手で角換わりです。
腰掛銀は千日手になるから指されなくなっていた時期ですが。
大山先生は現在良く指されている62金81飛の形です。
でも腰掛銀ではなくて54歩を突いて
中飛車にします。中央の位を重視していた頃の名残ですが、角換わりでは得ではないでしょう。
升田先生は中央の位を取られても悪くはないですが、26角でけん制、大山先生は52金か72金とかわしておく方が無難だったのですが44角の合わせ。升田先生は44同角同歩と1手損しても争点ができるので構わないという指し方もあったでしょうが、
角を引きます。こうなれば駒組合戦ですが、
4筋の位を取り
46角の形を作れば、角の働きに差があるので先手の作戦勝ちです。
駒組はさらに続くのですが、雀刺しに26角のけん制、ここから29飛62角~19飛26角のような手待ちの手順がいろいろ入って
ここまでで90手。後手からは攻める手が無いですから、先手の作戦勝ちに変わりはありません。
升田先生は27金、棒金で攻める決断です。大山先生は44歩を突いて
4筋の歩を交換すれば、升田先生は2筋の歩を交換します。これは先手が攻めやすくなっただけです。
大山先生の反撃ですが、65同歩同桂66銀左84角と進んでも、まだ厳しくはありません。
26金に86歩同銀66歩
66同銀65歩77銀右85桂、これで後手の駒得になるのですが、
85同銀同飛25金、34金や24歩同歩同金や15歩など、先手の攻め筋が多くて受けきりは不可能です。
52銀34金33銀23金、変わった手順で進みましたが、先手の棒金がさばけ、持ち歩の数もずいぶん違います。
27歩24歩
34銀46角。ここで23で清算しても24歩から攻められるだけ、
なので66歩同銀47銀は寝技です。
でも32金同玉91角成、空成ですが角に逃げられては47銀の効果は薄いです。
36銀成に45歩は44桂ねらい。
43銀上46桂、35銀34金では受けがなさそうなので、
37成銀34桂同銀37馬。銀桂交換マイナス馬では後手の駒損です。後手玉のほうが薄いから形勢は不利、よって攻めるしかなさそうですが。
84桂67銀45飛、この45飛は疑問手でしょうが、いまさら他の手も難しいところでした。
23銀同銀同歩成同玉27馬、飛の逃げ場所によっては王手飛車の筋になりますし、45馬の両王手から23飛成の攻めもあるのでどうしようもありません。ここまで。
角換わり腰掛け銀は先手から千日手打開が難しいとされていた時代ですから、後手の大山先生が変わったことをする必要はないのですが、新手新構想(同じような将棋を見た気もしますが)はうまくいきませんでした。升田先生の作戦勝ちで、でも打開がうまくいかないこともあるのですが、本譜の棒金は有効でした。快勝です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/12/14
手合割:平手
先手:升田幸三9段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 2六歩(27)
4 8五歩(84)
5 2五歩(26)
6 3二金(41)
7 7七角(88)
8 3四歩(33)
9 8八銀(79)
10 7七角成(22)
11 同 銀(88)
12 2二銀(31)
13 7八金(69)
14 3三銀(22)
15 3八銀(39)
16 6二銀(71)
17 4六歩(47)
18 6四歩(63)
19 4七銀(38)
20 6三銀(62)
21 3六歩(37)
22 7四歩(73)
23 6八玉(59)
24 7三桂(81)
25 5八金(49)
26 6二金(61)
27 5六銀(47)
28 8一飛(82)
29 9六歩(97)
30 9四歩(93)
31 1六歩(17)
32 1四歩(13)
33 6六歩(67)
34 4二玉(51)
35 7九玉(68)
36 5四歩(53)
37 8八玉(79)
38 5一飛(81)
39 2六角打
40 4四角打
41 4八角(26)
42 5二金(62)
43 4五歩(46)
44 5三角(44)
45 3七角(48)
46 3一玉(42)
47 4六角(37)
48 4二金(52)
49 3七桂(29)
50 8一飛(51)
51 2九飛(28)
52 9二香(91)
53 6九飛(29)
54 2二玉(31)
55 1八香(19)
56 5二金(42)
57 1九飛(69)
58 2六角(53)
59 4七金(58)
60 6一飛(81)
61 6七銀(56)
62 4二金(52)
63 5六歩(57)
64 3一玉(22)
65 4八金(47)
66 2二玉(31)
67 3八金(48)
68 3一玉(22)
69 2九飛(19)
70 6二角(26)
71 4八金(38)
72 9一飛(61)
73 1九飛(29)
74 2六角(62)
75 4七金(48)
76 6一飛(91)
77 5九飛(19)
78 6二角(26)
79 1九飛(59)
80 2六角(62)
81 4八金(47)
82 9一飛(61)
83 3八金(48)
84 8一飛(91)
85 5九飛(19)
86 6二角(26)
87 1九飛(59)
88 2六角(62)
89 2九飛(19)
90 6二角(26)
91 2七金(38)
92 4四歩(43)
93 同 歩(45)
94 同 銀(33)
95 2四歩(25)
96 同 歩(23)
97 同 角(46)
98 2三歩打
99 6八角(24)
100 6五歩(64)
101 2六金(27)
102 8六歩(85)
103 同 銀(77)
104 6六歩(65)
105 同 銀(67)
106 6五歩打
107 7七銀(66)
108 8五桂(73)
109 同 銀(86)
110 同 飛(81)
111 2五金(26)
112 5二銀(63)
113 3四金(25)
114 3三銀(44)
115 2三金(34)
116 2七歩打
117 2四歩打
118 3四銀(33)
119 4六角(68)
120 6六歩(65)
121 同 銀(77)
122 4七銀打
123 3二金(23)
124 同 玉(31)
125 9一角成(46)
126 3六銀成(47)
127 4五歩打
128 4三銀(52)
129 4六桂打
130 3七成銀(36)
131 3四桂(46)
132 同 銀(43)
133 3七馬(91)
134 8四桂打
135 6七銀打
136 4五飛(85)
137 2三銀打
138 同 銀(34)
139 同 歩成(24)
140 同 玉(32)
141 2七馬(37)
142 投了
まで141手で先手の勝ち
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
この端攻めはうるさいです。
A 26飛 B 37銀 C 45歩
第2問
後手のねらいが見えていますが。
A 29飛 B 26飛 C 12香成
第3問
読み切るのは大変そうですが即詰みです。
今日の棋譜20211211
昭和37年12月、升田幸三先生と第1期棋聖戦です。
升田先生の三間飛車です。
大山先生は57金戦法(金立ち戦法)、今では対中飛車だけ(にまれに指される)ですが、この当時は急戦定跡ができていないので、対三間飛車でも採用されることがありました。
三間飛車相手なので、55歩から攻めます。
56金の形を早く作れるのが良いところで、次は45歩をねらいます。
升田先生は端攻めでした。先手の金銀が離れているので仕掛けやすいわけですが、端だけでは手にならないのでは。
37銀35歩同歩15香、香の交換は後手の成功なので
17歩の受けに(18歩のほうがおとなしかったけれど)同香成同香16歩
16同香同飛18香で飛が死んでいますが36歩を打ちます。48銀は26香、26銀は27香ですから
16香37歩成同桂の時に持ち歩があれば36歩で後手よしなのでしょうが、歩切れなので36銀、これではだめです。
34歩同銀38歩、駒得の大山先生は我慢しても良いのです。
17歩12香成27香、飛が死にましたが、
27同飛同銀成21成香、この図は銀と桂香歩の交換で先手の駒得です。攻め駒も多く、玉の堅さだけ劣っていますから先手有利。
38成銀31飛、この角取りを受けるには42金か43金くらいですが、45桂や52歩が利くので金を移動しにくいのです。
15角34飛成
33歩44竜37角成、大山先生は香歩得だけですが、この差は案外に大きいです。
41竜47馬57金25馬44角、71銀のねらいがあるので
51飛同飛成同金引95歩、この歩は取れませんから
48成銀94歩92歩、升田先生は我慢するのですが、後手玉はかなり狭くなりました。
31飛43馬71銀
71同金同角成同玉51竜、後手玉は簡単に寄るのですね。
82玉に98香打、これが詰めろ。
61馬でも93金から超手数での詰みがありました。清算して95桂92玉93金91玉92歩81玉73桂不成・・・と追いかけます。
升田先生の端攻めがうまくいきそうな気もしましたが、無理でした。香交換しないでためておくところでしたかね。先手の37銀が間に合ってしまったのですから、もう1手待っておけば違ったのでしょう。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/12/10
手合割:平手
先手:大山名人
後手:升田幸三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 5四歩(53)
15 6八銀(79)
16 4二銀(31)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 5八金(49)
20 5二金(41)
21 3六歩(37)
22 8二玉(72)
23 1六歩(17)
24 1四歩(13)
25 5七金(58)
26 7二銀(71)
27 4六金(57)
28 4三銀(42)
29 5五歩(56)
30 同 歩(54)
31 同 金(46)
32 5四歩打
33 5六金(55)
34 1三香(11)
35 4六歩(47)
36 1五歩(14)
37 同 歩(16)
38 1二飛(32)
39 3七銀(48)
40 3五歩(34)
41 同 歩(36)
42 1五香(13)
43 1七歩打
44 同 香成(15)
45 同 香(19)
46 1六歩打
47 同 香(17)
48 同 飛(12)
49 1八香打
50 3六歩打
51 1六香(18)
52 3七歩成(36)
53 同 桂(29)
54 3六銀打
55 3四歩(35)
56 同 銀(43)
57 3八歩打
58 1七歩打
59 1二香成(16)
60 2七香打
61 同 飛(28)
62 同 銀成(36)
63 2一成香(12)
64 3八成銀(27)
65 3一飛打
66 1五角(33)
67 3四飛成(31)
68 3三歩打
69 4四龍(34)
70 3七角成(15)
71 4一龍(44)
72 4七馬(37)
73 5七金(56)
74 2五馬(47)
75 4四角(88)
76 5一飛打
77 同 龍(41)
78 同 金(52)
79 9五歩(96)
80 4八成銀(38)
81 9四歩(95)
82 9二歩打
83 3一飛打
84 4三馬(25)
85 7一銀打
86 同 金(61)
87 同 角成(44)
88 同 玉(82)
89 5一飛成(31)
90 8二玉(71)
91 9八香打
92 6一馬(43)
93 9三金打
94 投了
まで93手で先手の勝ち
先手番灘先生の手を考えます。
第1問
危ないところでしたが持ち直しました。
A 27玉 B 27金 C 24歩
第2問
わかりにくい手ですが、とても利きました。
A 24歩 B 53歩 C 25銀
第3問
こういう手が良いのですね。
A 32と B 45金 C 56飛
今日の棋譜20211210
昭和37年12月、灘蓮照先生と第12回NHK杯です。
大山先生の四間飛車です。54歩が先なのは中央位取りを避けるため。
灘先生の様子が変ですね。
舟囲いはやめたようです。
45歩に66歩は仕方ないか。角交換すると先手のほうに隙が多いです。
向い飛車にしました。結果として珍しい大山先生の相振り飛車になりました。
55歩同歩44銀に58飛、こういう手損は先手の作戦負けになりやすいです。
大山先生の手順には無駄がないです。
灘先生も6筋に位を取って持ち直しました。
玉を38に移動したところで、大山先生は73桂ですか。危ないけれど先手の65歩を取れます。
75歩同歩67金
65桂88角64金、ちょっと後手ペースでしょうか。
灘先生は桂をぶつけてさばきます。
大山先生は桂を交換してから74金と寄って
65歩を見せ
56金に63桂ですか。でもまだ55桂同銀同銀同金同角同角と進めても数が足りません。あまり利いていないのでは。
灘先生の玉も堅くなってきたので、2歩損は気になりますがまだ互角でしょう。
大山先生は端桂で使います。ねらいは25歩なので
灘先生の46歩同歩同銀はピントはずれていたのではないでしょうか。25歩同歩27歩というのが悩ましいです。どうやっても先手玉の囲いが弱体化します。
18玉を選びましたが、この45歩は取れないでしょう。
37銀25桂26銀、これくらい利かしが入っていれば、大山先生は駒損でも55桂から攻めて駒を手に入れるのもありそうです。
21飛というのはおとなしい手で、27歩を払われて攻めにくくなりました。
54歩に86桂、これは利かされでも85金74歩82銀と逃げておくのかとも思いましたが、
55歩74桂同銀、これでもいいのでしょうか。57金に65歩64歩ではおかしいですから57金に65桂なのか。まあ駒損は取り返せるはずでしたが。
73歩同金32金、わらしべで駒損してしまうのは痛いです。飛を渡したくはないけれど、逃げるとさらに駒損になりそう。
56歩21金で、飛桂交換ということになりました。先手の21金に働きが無いですが、後手玉は飛に弱いのです。
65歩の銀取りは受からないですが、この24歩というのも嫌味な歩です。23歩成とされて、角が移動すると飛を打ち込まれます。取るわけにもいかないので
53銀32飛
42金31飛成66歩、二枚替えの駒得を主張します。
でも23歩成が痛かったから54歩は取れなかったのですね、銀を捨てて44角
53歩成同金42流62桂51竜、これで81銀82玉が入ったらだめでしょう。
55桂と上部脱出を図りましたが、この33銀くらいの手でもさらに駒損するので痛いのです。
33同角53竜
42銀~51銀打と固めてみましたが、竜が取れるわけでもないです。
67歩成88角78と65歩、先手の角を追って
46歩と突きだして勝負になるか。
23歩成44角45金
46歩成44金38と、先手玉も薄くなりましたが、後手の攻め駒は2枚しかありません。
38同玉46歩48歩、これで息切れです。
63銀~52銀引というのは怪しい手ですが、
32竜53銀左43と、これで駒損はさらに広がります。
後手玉は3手すきくらいでしょうか、受けはないと思いましたが
玉を上に逃げだして粘ります。
でも62と も取れないのではだめでしょう。入玉も難しいです。
こういう王手で駒を取られるのも痛いのです。
詰み筋に入ったようで
ここまで。
73手目の27歩に18玉のところでは先手玉が薄いので後手有利、うまく攻めれば優勢なのでしょうが決め切れませんでした。時間が無いと決断は難しいでしょう。そのあとは駒損しても取り返せるつもりが、87手目の32金をうっかり。大山先生が不出来な将棋でした。こういうのがあって相振り飛車を避けるようになったのでしょうか。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/12/08
手合割:平手
先手:灘蓮照
後手:大山名人
先手省略名:灘
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 3六歩(37)
10 4二飛(82)
11 9六歩(97)
12 6二玉(51)
13 6八銀(79)
14 7二玉(62)
15 5七銀(68)
16 3三角(22)
17 7七角(88)
18 6二銀(71)
19 8六歩(87)
20 4五歩(44)
21 6六歩(67)
22 4三銀(32)
23 3七銀(48)
24 5二飛(42)
25 8八飛(28)
26 5五歩(54)
27 同 歩(56)
28 4四銀(43)
29 5八飛(88)
30 5五飛(52)
31 5六歩打
32 5一飛(55)
33 6八金(69)
34 7四歩(73)
35 6五歩(66)
36 4二金(41)
37 6六銀(57)
38 5三金(42)
39 4八玉(59)
40 5四金(53)
41 3八玉(48)
42 7三桂(81)
43 7五歩(76)
44 同 歩(74)
45 6七金(68)
46 6五桂(73)
47 8八角(77)
48 6四金(54)
49 4八金(49)
50 7三銀(62)
51 8五歩(86)
52 6二金(61)
53 7七桂(89)
54 同 桂成(65)
55 同 角(88)
56 7四金(64)
57 5五歩(56)
58 6四歩(63)
59 5六金(67)
60 6三桂打
61 2八玉(38)
62 1四歩(13)
63 3八金(48)
64 2四歩(23)
65 5九飛(58)
66 1三桂(21)
67 4六歩(47)
68 同 歩(45)
69 同 銀(37)
70 2五歩(24)
71 同 歩(26)
72 2七歩打
73 1八玉(28)
74 4五歩打
75 3七銀(46)
76 2五桂(13)
77 2六銀(37)
78 2一飛(51)
79 2七玉(18)
80 5四歩打
81 8六桂打
82 5五歩(54)
83 7四桂(86)
84 同 銀(73)
85 7三歩打
86 同 金(62)
87 3二金打
88 5六歩(55)
89 2一金(32)
90 6五歩(64)
91 2四歩打
92 5三銀(44)
93 3二飛打
94 4二金打
95 3一飛成(32)
96 6六歩(65)
97 5四歩打
98 4四角(33)
99 5三歩成(54)
100 同 金(42)
101 4二龍(31)
102 6二桂打
103 5一龍(42)
104 5五桂(63)
105 3三銀打
106 同 角(44)
107 5三龍(51)
108 4二銀打
109 5二龍(53)
110 5一銀打
111 4一龍(52)
112 6七歩成(66)
113 8八角(77)
114 7八と(67)
115 6六角(88)
116 6五歩打
117 3九角(66)
118 4六歩(45)
119 2三歩成(24)
120 4四角(33)
121 4五金打
122 4七歩成(46)
123 4四金(45)
124 3八と(47)
125 同 玉(27)
126 4六歩打
127 4八歩打
128 6三銀(74)
129 3三と(23)
130 5二銀(63)
131 3二龍(41)
132 5三銀(42)
133 4三と(33)
134 4四銀(53)
135 5二と(43)
136 6八と(78)
137 5六飛(59)
138 4五金打
139 8六飛(56)
140 6三玉(72)
141 6二と(52)
142 6四玉(63)
143 8二銀打
144 7四金(73)
145 5六桂打
146 同 金(45)
147 同 飛(86)
148 6六歩(65)
149 同 飛(56)
150 6五金(74)
151 5四金打
152 同 玉(64)
153 7二角打
154 投了
まで153手で先手の勝ち