小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

オリンピック選手村が「ダイヤモンド・プリンセス号」になる日

2021-07-26 04:13:09 | Weblog
いろいろな問題を抱えながら、東京オリンピックが始まった。
「延期」もしくは「中止」論が世論の過半を占めていた時期、「オリンピックが始まれば空気は変わる」といった人がいた。本当にそうか。
間違いなく変わったのはメディアだった。連日オリンピック報道で明け暮れだしたからだ。民放の場合は、まだ分かる。クライアントあっての放送局だからだ。が、NHKは何か勘違いしているようだ。NHKのクライアントは受信料を払っている視聴者なのだが、なぜか政府がクライアントだと思い込んでいるようだ。そういう状況が24日にあらわになった。

●『ニュース7』をすっ飛ばしたNHKの見識
私はスポーツが大好きだ。コロナ禍になるまでほぼ週1のペースでゴルフはしていたし、やりすぎで体を壊すまでの3年ほど前までは毎日フィットネスクラブで汗を流していた。ゴルフをした後フィットネスクラブに寄ってプールで泳いだりもした。
自分が運動するだけでなく、テレビでスポーツを見るのも大好きだった。相撲だけは貴花時代を最後にあまり見なくなったけど。
これは私の勝手な価値観なのだけど、相撲には勝負という要素とは別にスポーツの美しさが、昔はあったような気がする。
「横綱相撲」とは何なのか。白鵬のかちあげ(というよりひじうち)が「美しくない」と批判を浴びた、そういう相撲の世界の「美」が貴花時代を最後に失われたように思えたからだ。
そういうスポーツの世界の「美」が、今年の東京オリンピックから失われた、と私は思った。だから、今回のオリンピック中継はいっさい見ないと決めた。23日の開会式も見なかったし(NHK BSのサンデル氏のディベート番組を見た。素晴らしい内容だった)、天皇の開会宣言での菅総理の不遜な態度は翌日、ネットで知った。
衝撃を受けたのは24日だ。TBSの『報道特集』を見た後チャンネルをNHKに切り替えた。土曜日のNHK総合テレビは午後6時から『土曜ドラマ』(見たことがないのでくだらないか面白いかはわからない)のあと6:45から首都圏ニュース・気象情報に続いて『ニュース7』が始まる。が、この日はNHKに切り替えたらオリンピックの柔道の中継をしていた。気象情報もせずに7時になってもニュースが始まらない。
どうしたことかと、NHKのふれあいセンターに電話で聞いた。なかなか電話がつながらなかったが、ようやくつながって事情を尋ねたが、電話に出たコミュニケーターも事情がつかめず責任者のスーパーバイザーに代わった。スーパーバイザーによれば、「いま柔道の決勝戦中なので、終わり次第ニュースに変わることになっています。その後のオリンピック中継はサブ・チャンネルで中継することになっています」とのことだった。
ようやく7:13に『ニュース7』が始まったが、いきなりオリンピックのニュ―スで、直前に終わった決勝戦の録画報道の後、ライブの中継に移った。
えっ、なに? と、おもってサブ・チャンネルに切り替えたらまったく同じ映像を流していた(アナウンサーは別かもしれない)。
実は『ニュース7』に入る前、NHKはサブ・チャンネルでオリンピック中継を見るためのリモコン操作を少なくとも3回ていねいに画像付きで案内していた。が、『ニュース7』は結局引き続いてオリンピック柔道の中継をした。念のためサブ・チャンネルも見たが、同じ放送を流していた。はっきり言えば、堂々たる詐欺行為だ。
「オリンピックが始まれば、空気が変わる」。
なるほど、そういうことか。メディア、とくにNHKが空気を変えてくれるという約束があったかどうかは知らないが、メディアを動かせば空気は変わるかもしれない。メディアというものの実態を国民がどう受け止めるか、国民の良識が問われている。
ただ、さすがにNHKには抗議の電話が殺到したようだ。翌25日、BSテレ朝の『激論クロスファイアー』の後NHKにチャンネルを切り替えたら7時から『ニュース7』を放送した。ただ、始まってから20分ほどはオリンピック関係の報道ばかりで、台風関東接近のニュースはその後だった。異常豪雨が続くなか、台風接近の方がニュース・バリューは大きいと思うのだが…。

●ノーテンキな小林よしのり氏の「コロナなんか風邪の一種」論
もちろん、オリンピックを目指して並々ならぬ努力を重ねてきた選手たちに責任があるわけではない。むしろ、コロナ禍が生じたせいでもあるが、オリンピック開催を巡る汚い駆け引きの様々が表面化し、選手たちが精神的にも練習に集中できない時期もあったと思う。むしろ最大の被害者は選手たちだったかもしれない。
また今から考えれば、結果論といえば結果論だが、感染爆発の状況下でオリンピックを強行開催するくらいだったら、むしろ去年開催していた方がよかった。安倍前総理のもとで最初の緊急事態宣言は5月末の予定を前倒しで5月25日に全面解除し、Go Toトラベルも8月1日スタート予定を7月22日に前倒ししていたくらいだった。去年、当初の予定通り開催していれば、無観客にする必要もなかっただろうし、仮にオリンピック開催によって感染が拡大したとしても、医療体制も今日ほどひっ迫はしていなかった。天皇の開催宣言も、去年だったら祝意が含まれていた可能性が高い。
それをあえて1年延期した。1年後にはコロナ禍も終息しているだろうという甘い見通しが背景にあった。そこには一切科学的知見による裏付けはなかった。
ノーテンキな漫画家兼評論家の小林よしのり氏は「コロナなんか風邪の一種に過ぎない」と非科学的主張をして、テレ朝の玉川徹コメンテーターや専門医の岡田晴恵氏を「いたずらに国民の不安を煽り立てた張本人」と非難している。が、実際は玉川氏や岡田氏(最近テレビではすっかり見なくなったが)の予測をはるかに上回る勢いで感染は拡大しつつあり、緊急事態宣言による規制も回を重ねるたびに厳しさを増している。
小林氏が「風邪の一種」とコロナを軽視するのは勝手だが、有名人だけに、何の根拠もなく妄言をまき散らす権利まであるわけではない。まず自ら感染予防対策を一切取らない生活をして実証してからにしてほしい。誰も小林氏を相手にしなくなるから、かえって孤独な「巣ごもり生活」を余儀なくされ、感染防止対策を取らなくても感染を免れるかもしれないが…。

 いずれにせよ、政府の最初の大きな政策ミスは「感染対策と経済活動再生の両立は可能」と考えたことによる。そのため、内閣府に感染対策と経済再生という相容れない政策担当の大臣を西村康稔氏に兼任させるというサーカスのような人事を行った。私は「ひとりシーソー大臣」と勝手に命名しているが、本来感染対策は厚労省の担当であり、経済政策は経産省の担当である。その実在する担当省の大臣に君臨する形で内閣府に特命大臣を置くことによって「二重行政」状態が定着した。
 本来「ひとりシーソー」を取るべき立場にあるのが総理大臣なのだ。それぞれの担当省庁が相容れない政策を要求してきたとき、いまどちらに軸足を置くべきかを決めなければならない重い責任を負っているのが、総理大臣という地位にあるものの宿命である。その重い責任を、西村氏がいかに優秀か否かは別にして、丸投げしてしまったのが安倍前総理であり、菅現総理である。
 はっきり言って、この時期は「ひとりシーソー」は不可能だった。そのことはブログで何度も指摘してきた。ようやくワクチン接種が始まって、感染対策と経済再生の両立政策が可能な条件が整ったのに、西村氏は軸足をまるで真逆に置きだした。
 高齢者の場合、感染したら重症化しやすいため、ワクチン接種も医療関係者等に次いで優先的に摂取するという方法を取った。このやり方ではせっかくワクチン接種が始まっても、経済再生との両立は不可能だ。
 これも何度も書いてきたが、コロナ禍が発生しやすい地域から年代を問わず重点接種すべきだった。たとえば都心のビジネス街とか飲食店が密集する繁華街で重点的な接種をすべきだった。
 そうしていれば、ワクチン接種開始後の感染拡大はかなり抑え込むことができたはずだし、飲食業者を狙い撃ちするような感染対策を取らずに済んだと思う。経済を回すということは、国民の消費活動を活発化することを意味する。そして消費活動活発化の担い手は高齢者ではなく現役世代の20~65歳くらいの方たちだ。感染拡大を防ぎ、かつ経済再生にもつながる重点的なワクチン接種をなぜしなかったのか。頭は生きているうちに使え。

●Go Toトラベルを実施できたのに、なぜオリンピックを1年延期した?
 「ひとりシーソー大臣」西村氏の最初の失敗はGo Toトラベル・キャンペーンの前倒し実施に踏み切ったことだ。昨年春の1回目の緊急事態宣言でかなり感染拡大を抑え込んだことは事実である。この経験でコロナという厄介なウイルスを甘く見てしまった。
 私も専門家ではないので、感染症についてのうんちくを傾けるほどの見識を持っているわけではないが、ネットで調べた限りでは様々なタイプがあるようだ。インフルエンザのような季節性が極めて高いウイルスもあれば、ノロウイルスのような一過性のものもある。最初に専門家たちが見誤ったのは発症した時の症状がインフルエンザに酷似していることから、コロナウイルスも季節性が高いウイルスと思い込んでしまったことだ。
だが、そういう前提で真夏にGo Toトラベル・キャンペーンを開始するくらいだったら、オリンピック延期をそんなに早く決める必要はなかった。この夏のコロナ禍の状況を考えると、オリンピックは予定通り昨年開催していればよかった。これは結果論ではない。

昨年のオリンピック延期が決まった経緯を時系列で検証する。
日本でコロナ禍が問題になりだしたのは、昨年2月初めである。26日から安倍総理(当時)が全国の小・中・高校に休校を要請したのが最初の動き。が、翌27日にはIOCバッハ会長がオリンピックについて予定通り開催を表明。
ところが3月に入って事態が急変する。まず1日の東京マラソンで一般参加を禁止、サッカーJリーグも15日以降の公式戦をすべて延期、無観客で開催予定だった選抜高校野球も急遽中止した。さらに13日にはトランプ大統領(当時)が世界の首脳としては初めてオリンピックの1年延期を提言。これで空気が一変した。24日、安倍氏がバッハ氏と電話会談で1年延期を決定した。
その間、国内のコロナ禍は都市部を中心に広がり続け、4月1日、政府は最初の緊急事態宣言を発令、ゴールデンウィーク前には解除の予定だったが、5月末まで延長を発表。が、予定を早めて5月25日には緊急事態宣言を全面的に解除した。そして緊急事態宣言中に冷え込んだ経済活動を活性化するため、Go Toトラベルを前倒しして7月22日からスタートさせた。
去年の経緯をこう振り返ってみると、少なくとも去年はオリンピックを開催しても海外からの観客をどうするかは別にしても、国内の居住者に限定すれば有観客で開催できていたはずだし、延期によってさらに混乱を拡大する結果になったことは紛れもない事実である。

●混乱に混乱を重ねたコロナ対策
政府の見通しが甘かったのは、コロナが季節性のウイルスと見誤ったことにすべての端を発していた。昨年春ごろに書いた私のブログ記事を読み返しても、専門家たちの大半が季節性のウイルスとみていたし、前倒しでGo Toトラベルをスタートさせたときも反対意見はほとんど出ていない。
が、皮肉なことにGo Toトラベルを始めたころから感染の第2波が生じ、8月中旬ころ第2波の最初のピークを迎えた。当然、Go Toトラベル中止を求める世論が沸騰したが、夏休みが終わりに近づくにつれ、いったん感染拡大は収まったかに見えた。
しかし秋の行楽シーズンに入り、第2波(第3波と位置付ける人もいるが、その間感染対策はまったく講じられていないので、私は第2波のぶり返しと位置付けている)が次のピークを迎え政府は年末年始の人流を抑え込むため12月28日、Go Toトラベルを一時中止とした。一方、感染拡大が進む中の10月末から11月初めにかけて政府はGo Toイートのキャンペーンを始めた。トラベルのほうは国交省、イートのほうは農水省が管轄し、ともに勝手に景気対策を始めたお粗末さが政策の混乱に現れている。
実はこの間、安倍前総理が持病の悪化を理由に辞任し、後継総理に安倍氏の「お小姓」を務めてきた菅氏が就任した。最初、西村氏は菅内閣の組閣で「ひとりシーソー大臣」を解任されたかに見え、実際、テレビでの露出度も一時はほとんど消滅した。
今年に入り、政府はようやく2回目の緊急事態宣言の発令に踏み切ったが(ただし適用地域を限定し、別途まん延防止等重点措置地域を指定した)、それまで無策だった間に新しい変異型のウイルスが続出し、しかも感染力が強いということもあって飲食業を中心にかなり強い規制をかけざるを得なくなっていた。
またオリンピック開催問題がなければ政府もある程度長期的視点から感染防止対策に取り組めたかもしれないが(買いかぶりか?)、緊急事態宣言も小出しに出しては引っ込め、出しては引っ込めの繰り返しになり、その間世論はオリンピックの「再延期」「中止」に大きく傾いていった。政府も組織委もこの間「決定権はIOCにある」と逃げ回り、開会式予定まであと2週間を残すという7月8日になって、ようやく5者会議(政府・東京都・組織委・IOC・IPC)を開いて(リモート会議)、無観客で予定通りの日程で行うことを決めるというドタバタ騒ぎ。すでに、この時期、来日している海外選手団もおり、いまさら「再延期」や「中止」という選択肢がない状況まできて最終決定をしたということになる。
そういう経緯を検証すると見えてくることは、去年、3月24日という早い時期に1年延期を決める必要があったのかという疑問だ。少なくとも去年であればGo Toトラベルのキャンペーンを実施していた時期でもあり、予定通り開催か延期かは6月に入って以降に5者会議を開いて決めてもよかったことを意味するからだ。まして今年の6月頃には国会でも「もしオリンピック開催中に緊急事態宣言を発令するような事態になったらオリンピックは中止するのか」との野党議員の質問に、菅総理は「そのときになったら考える」と逃げた。
そのときに、なっているのだけど~。

●「バブル方式」ではオリンピック・コロナ禍は防げない
政府はオリンピック開催による感染拡大を防ぐため「バブル方式」と称する感染防止策を行うことにした。
バブル方式とはコロナ禍以降、世界各地で行われる国際スポーツ大会で感染対策として最近、採用されつつある方法だが、選手や関係者を大きなバブル(泡)で包み込んでコロナウイルスの侵入を防ぐという方法。そのバブルのなかには選手や関係者以外は入れず、選手たちは外部の人との接触を遮断できる。考え方としては理解できるが、問題は二つある。
一つはバブルで閉じ込めた選手や関係者たちがウイルスに感染していないということが前提になる。わたしが住んでいる首都圏近郊の住宅街では、ほぼ100%の人が外出時にはマスクを着用しており、日本人は比較的ルールやマナーに従う傾向が強い。が、個人主義的傾向が強い欧米人や欧米の影響を強く受けている国の人は「個人の自由」を強く主張する。
だから、マスク着用とかワクチン接種についても「個人の自由」を強く主張する。その代わり、結果については「自己責任」という自覚も持っている。現にオリンピックに参加する選手のうちワクチン接種者は85%にとどまっている。ということは15%の選手がワクチン接種を拒否しており、彼らがコロナに感染していないという保証はない。もちろんワクチンを接種してもコロナに絶対に感染しないというわけではなく、各国の研究による免疫獲得率もまちまちである。つまりバブルの中に感染者が紛れ込むリスクは否定できず、現に大きなバブルで外部との接触を遮断しているはずの選手村で、すでにかなりの人数の陽性者が判明している。開会式の前日に行われたサッカー予選リーグで日本チームが対戦した南アは選手2人が選手村でのPCR検査で陽性が判明して試合に出場できなかった。
バブルは外部との接触を断っているため、バブルの中で感染者が出ると、いっきにクラスターが発生する可能性が生じる。クラスターという現象は老人ホームにしろ病院にしろ、居酒屋やカラオケ店なども規模は違うが一種のバブル空間で発生する。バブルの中にはウイルスは入れないという前提での感染防止策だから、バブルの中にウイルスが侵入してしまうとクラスターが発生するリスクがかえって高まる。

もう一つの問題は、選手や関係者がバブルの中から外へは一切出ないという前提があるということだ。選手の場合はある程度管理できるだろうが、報道陣などの関係者は一般人も宿泊したり食事をしたりするホテルに宿泊する。事実上、彼らをバブルで外部との接触を遮断することは不可能である。そして報道陣は自国の選手とインタビューしたりもする。ということは、選手を包むバブルの中に、報道陣は自由に入り込めるのだ。選手たちに報道陣との接触も禁止するといったことができるわけがない。
つまり、「バブル方式」とは「安全安心」なオリンピックを装うためのカモフラージュに過ぎないのだ。バブルとは「泡」つまりシャボン玉のことだ。

シャボン玉飛んだ 屋根まで飛んだ 屋根まで飛んで こわれて消えた


 【追記】 びっくりこいた。7月31日のNHK『ニュース7』で東京の感染者がとうとう4000人を突破したことを報道した。その事実そのものはとっくにネットの速報で知っていたが、陽性率が18%になったことも報道した。厚労省が発表したデータをもとにNHKが計算したのだと思う。かつて厚労省が自ら陽性率を公表したことはなかったからだ。陽性率とは、PCR検査で見つかった感染者(厚労省は「患者」としている)の百分率である。一時、陽性率をメディアも重視していた時期もあったが、最近はほとんどのメディアが感染者数の増減だけで一喜一憂しており、メディアとしては久しぶりの陽性率報道だと思う。
 NHKは、陽性率の報道だけでなく、実際にPCR検査をした医師を登場させ、陽性者が急増していることまで明らかにした。「あり得ない」ことと、私は一瞬思った。すでに述べたように、厚労省がPCR検査の結果として陽性率を公表したことはかつてない。厚労省が発表する数字は全国と47都道府県ごとの毎日のPCR検査数と「患者」数だけである。陽性率は「患者」数をPCR検査数で割って百分率を計算するしかない。私も1年ほど前に「感染率」として計算していた(当時「陽性率」という言葉はなかったので)。
 NHKが、いまの感染状況をただならないとして、間違いなく政府が示すであろう不快感を無視して陽性率を計算して報道したのであれば、とうとうNHKも国民(視聴者でもいい)に寄り添う報道姿勢に転換したのか、と私は歓迎する。ただ、このことはものすごく勇気のいることだ。政府からの攻撃はすさまじいと思われるからだ。
 言うまでもないことだが、日本はPCR検査を受けるためのハードルが極めて高い。保健所の既得権益だからだ。
 PCR検査そのものに感染リスクはほとんどない。インフルエンザ検査と同様、街のクリニックで行ってもリスクはない。実際、アメリカのように人口密度が小さい国はドラックストアでPCR検査をしているくらいだ。だからアメリカなどは陽性率は日本に比べてかなり低い。分母(PCR検査数)に対して分子(感染判明者数)が、分母が大きいため低くなる。日本の場合、発症しなければPCR検査を受けることが事実上不可能だから、必然的に陽性率は高めになる。が、それにしても陽性率18%は異常な数字だ。検査を受けた人の5人に1人が感染者だったということを意味しているからだ。
 もう一度、考えてほしい。新型コロナは無症状期間がかなりある(個体差はある)。感染していても、無症状の人は検査を受けることができない(自費で唾液検査をしている「医療機関」もあるが)。その割合は不明だが、仮に無症状感染者が感染者全体の半分だとすると、東京都民の約4割が感染していることになる。そんな状況下で、いまオリンピックを行っていることになる。
オリンピックが終わったとき、日本の感染状況はどうなっているか。考えたくもない。(8月1日)



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