小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

厚労省が無断で「ワクチン効果」の説明を変えた

2021-07-20 04:05:22 | Weblog
卑劣にも、厚労省はホームページにおけるコロナワクチンの「効果(有効性)」についての説明を19日、無断で変えた。それまでの効果についての説明は14日にアップしたブログで紹介したとおりである。
その説明文も、これから紹介する「新説明文」も私が書き写したのではなく、コピーして貼り付けたものであり、私自身は一切手を加えていない。

●厚労省のワクチン効果についての旧説明と新説明の相違
まず旧説明文はかなり長いが、重要な個所だけ抜粋する(全文は14日のブログに掲載している)。
「日本で接種が行われている新型コロナワクチンは、いずれも、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています。効果の持続期間や、感染を予防する効果についても、時間の経過や接種者数の増加に伴い、研究が進んでいます。(中略)
感染を予防する効果については、ファイザー社、武田/モデルナ社、いずれも承認前の臨床試験では確認されていませんが、現在、多くの国又は地域でこれらのワクチンの接種が進められることでデータが蓄積されつつあります。一部の国で実施された研究では、ワクチンを接種した人の方が、接種していない人よりも感染者(有症者・無症候性感染者のいずれも)の発生が少ないことを示唆する結果が報告されています。なお、これらのデータは臨床試験と異なり、同じ条件の対照群を置くことが困難なこと等から、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことに注意して解釈し、今後の様々な研究結果を見ていく必要があります。また、ワクチンの発症予防効果は100%ではないことを踏まえると、接種後も引き続き、感染対策を継続することが重要です」

19日に改ざんされた新説明文はかなり簡略化されている。
 「新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。
 ワクチンを受けた人が受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。(発症予防効果は約95%と報告されています。)
 なお、本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります」

 旧説明文では「感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています」と明記されているのに対して、新説明文では「感染症の発症を予防します」と発症予防効果については断定的に明記している。いっぽう重症化については「予防する効果が期待されています」(旧)と記載していたが、新説明では重症化予防についての明記が削除されている。
 もっとも新説明文では発症予防効果について「感染症の発症を予防します」と断定しているのだから、発症しなければ重症化することもありえないので、発症予防効果は100%と、厚労省は認定したことになる。
本当に感染しても100%、発症を防げるのか、変異型はこれからも出てくる可能性があり、そう言い切れるのか。私は医学についてはまったくの素人だが、疑問を抱かざるを得ない。

●ワクチンで免疫は本当にできるのか?

14日のブログではイスラエルの治験結果として極めて高い「感染予防効果」があるとした忽部賢志氏が厚労省のホームページに掲載したデータについて、出処、治験方法が明らかにされていないため、あえて表示しなかったが、インチキ・データの証明として転載することにした。それが上記表である。

このデータ通りなら、ファイザー社(イスラエルのワクチンはファイザー社製)の感染予防効果は素晴らしいことになる。インフルエンザワクチンの感染予防効果は約60%といわれていることからも、日本ではコロナワクチン接種後もマスク着用、手洗い・うがい、ソーシャルディスタンスなどの感染予防対策を取る必要があるのか。

さてコロナワクチンの感染予防効果について旧説明文では「研究が進んでいます」としか記載していないが、新説明文では「本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります」と、かなり踏み込んだ説明をしている。しかも誤解を生じかねない文章になっている。
 「十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降」と、読み方によっては「2回目の接種を受けた7日経てば『十分な免疫』ができる」と解釈できる表現だ。それでいて、「現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません」と前言を翻すような文を付け加えている。どういうことか。

 なお、18日のTBS『サンデーモーニング』が、イスラエル保健省の発表としてファイザー社製ワクチンの感染予防率は64%と報道したことはすでに前回ブログの「追記」で紹介したが、日本経済新聞が7月6日に詳細を報道しているので、転記する。
 「米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンについて、イスラエル保健省がインド型(デルタ株)などの変異ウイルスへの有効性が低下したと分析していることがわかった。イスラエルのウェブメディアなどが報じた。イスラエルでは6月に感染減少を受け行動規制の大半を解除していたが、7月に入って新規感染者数が増えている。
イスラエル保健省はデルタ株がイスラエル全土に広がるにつれ、ワクチンの感染予防効果が大幅に低下し、有効性が94%から64%に下がったとみているという。一方で、重症化を防ぐ効果の低下は小さく、重症患者の増加は緩やかだという。
ロイター通信によれば、ファイザーの担当者は保健省のデータについてコメントを控えたものの「ワクチンによって、デルタ株を含むすべての変異ウイルスに対する中和抗体が確認されている」との研究結果を示した」
 厚労省はワクチン接種による本当の効果とリスクを現時点での治験をもとに、国民に正確に伝えるべでであろう。

●メディアが果たすべき使命とは…
 18日、NHKは『日曜討論』で河野ワクチン担当大臣を生出演させ、今後のワクチン接種計画について1時間に及ぶ討論を行った。が、いま国民の最大の関心事は東京オリンピックが「コロナ・オリンピック」になってしまうのではないかということだ。IOCのバッハ会長は「選手団を含むオリンピック関係者がコロナを日本に持ち込むことはない」と断言したが、すでにウガンダの選手団や南アフリカのサッカーチームから感染者が出ている。私は選手村が「ダイヤモンド・プリンセス号」になる日はそう遠くないと思っているが、少なくとも日本の「水際対策」は後手後手に回っている。そういう時期にワクチン接種時期や方法を討論している場合ではないだろうという抗議がNHKには殺到した。当たり前だ。

 さらに19日の『ミヤネ屋』では河野氏がリモート出演し、今後のワクチン接種計画についてとうとうと持論を述べたが、その中でとんでもない発言をした。
 「ワクチンを2回接種すれば、確実に免疫ができる」
 河野氏は感染症の専門家ではないが、すでに述べたようにイスラエルの最新の知見結果として感染予防率h64%というのが現時点では最も信頼できるデータだ。つまりワクチン接種によって免疫ができる人は3人に2人の割合でしかない。何を根拠にど素人が「ワクチンを2回接種すれば確実に免疫ができる」とほざいたのか。
 だから前にもブログで感染者や濃厚接触者を完全隔離するためには休業中の観光クルーズ船をチャーターして収容し、感染拡大を完全に防止するしかないと書いてきたが、組織委もIOCもサラサラそんな気はないらしい。

●国内ではワクチン・パスポートを発行できないわけ
 今月26日から海外渡航者にはワクチンを2回接種した証明書として「ワクチン・パスポート」を発行するという。
 日本人と外国人の多くは基本的な考え方が異なる。「和」の精神の一つとして日本人には「郷に入れば、郷に従え」という現地化の知恵を身につけてきた。が、欧米人の多くは個人主義である。「個人の生き方、考え方をできるだけ尊重しよう」という代わりに「自己責任」の思想も強い。日本人のように比較的単一宗教観の民族と異なり、多種多様な宗教観を抱く人たちの集団では、そうした非干渉主義が日本で言う「和」を維持するための方法なのだろう。
 個人主義は「個」の自由を最大限に尊重する。とくに報道関係者は「自由」を最大の権利と考える傾向が強い。
 つまり日本人が渡航する場合、ワクチン・パスポートを持参していれば、海外では「感染者ではない」というみなす考え方が強いからだと思う。つまり、パスポートさえ持っていれば、行動の自由を束縛されないことを意味する。
 そういう考え方が強く、しかも何よりも「自由」を最大の価値と考える報道陣(そのこと自体は、あながち間違いとは言えないが)が約5万人も来日するという。彼らに日本的な感染防止策をどこまで要求できるか。おそらく、「外出時はマスクを着用してください」とお願いするのが精いっぱいではないか。でも、外国人報道陣が、その「お願い」を聞いてくれるかはかなり疑わしい。
 ワクチン・パスポートを所有する外国の報道陣が日本の感染防止策を無視した行動を続けたら、当然ワクチン2回接種済みの日本人は怒る。まさか、そんな程度のことで暴動が生じるとは思わないが、政府や組織委、IOCなどに対する反感がどういう形で現れるか。
 少なくともマスクを着用しないで街中を闊歩する外人のオリンピック関係者は、直ちにかつ無条件に帰国させる。そのくらいの厳しい処置を取らなければオリンピックは「平和の祭典」どころか「コロナの祭典」になる。


【追記】 南アフリカのサッカーチームと男子7人制ラクビーチームから陽性者が出た。サッカーは選手2人、ラクビーは監督。とくにサッカーは22日に日本と予選リーグの1回戦を行う予定だ。IOCはどうするのか。
 私はこういう事態が生じることは必至だとブログで何度も警告してきた。とくにリスクが高いのは個人競技では柔道、ボクシング、レスリング、集団競技ではサッカー、ラクビー、バスケットボールなどの格闘系競技。とくに選手村で感染者が発生したら、その選手が入居している棟が「ダイヤモンド・プリンセス号」になる。バブル方式とやらで感染者を封じ込めるわけがない。
 これまで組織委も政府も東京都も「IOCが」「IOCが」と自己責任を放棄してきた付けだ。政治家が不祥事を追及されると「秘書が」「秘書が」と責任回避してきた構造と瓜二つ。腐りきったオリンピックなんか見たくもない。


【追記2】サッカー予選の日本対南ア戦が明日に迫った。濃厚接触者の南ア選手も試合開始6時間前にPCR検査をして、陰性であれば試合に出場させるという。理由は6時間ではウイルスはあまり増殖しないからだという。
 しかし、それは安静状態での治験ではないか? サッカーのように1選手が前半・後半をフル出場することも困難なくらいの格闘競技だ。そういう激しい運動中のウイルスの増殖についての治験があっての判断か。
 はっきり言って南アとの試合が行われるということになった場合、南ア選手には「日本選手とのソーシャルディスタンス1メートルの距離を取ること」を臨時ルールにすべきだ。1メートル以内の距離まで接近した選手はイエローカード、ちょっとでも日本選手に接触した場合はレッドカードで即退場。そうでもしなければ、日本選手の「安全安心」は守れない。
 IOCバッハ会長は、こういう事態も当然想定したうえで「安全安心」なオリンピックを約束したのだろう。日本の組織委やJOCもバッハの前に膝まずくだけでなく、少しは言うべきことは言え。(21日)