前回のブログの後編を書く。本稿のテーマはキャッシュレス決済に伴うポイント還元に、なぜ差をつけたのか、そしてただでさえ軽減税率の適用でスーパーやコンビニが混乱することがわかりきっている消費税増税時に、さらにややこしいポイント還元制度を導入したのか。この二つの問題に食らいついてみる。
まず経産省が開設している「ポイント還元 窓口(消費者向け)」の電話番号【0120-010975】に何度も電話して聞いたが、この二つの疑問に対する明確な答えはなかった。この問い合わせ窓口は経産省のホームページに記載されており(経産省の代表電話【03‐3501‐1511】に電話をして「ポイント還元についてお聞きしたいことがある」と言えば、必ず上記のフリーダイヤルの番号にかけなおすよう案内される)、だれでも経産省が臨時に設置した問合せ部署だと思う。が、あまりにも対応がめちゃくちゃなので、「おたく、本当に経産省の方?」と聞いたら、びっくりした返事が返ってきた。「違います。経産省から委託を受けた民間会社の者です」だと。「では会社の名前を教えてくれ」と何回か聞いたが、絶対に教えてくれなかった。そうなると、その人ですら経産省から委託を受けた企業の正社員か派遣社員か否かも疑問が生じるので、「あなたはその民間企業の正社員?それとも派遣社員?」と聞いてみたが、「個人的なことはお答えできません」と、そっけない。
そうしたやり取りは実は10月3日、朝日新聞に情報提供したが、記事にするほどの意味はないと思ったのか、無視された。それはともかく、なぜポイント還元に差をつけたのか、いまだに理由がわからない。一応何度か問合せ先の窓口に電話をしたが、少しわかったのは2%還元はコンビニだけでなく(新聞だけでなくテレビも含めてコンビニのフランチャイズ店だけが対象であるかのような報道をしている)、回転すしやファーストフード、100円ショップなど大企業のフランチャイズ店もポイント還元の対象になってはいるようだ(実際にポイント還元している店はコンビニ以外見たことがないが)。それはともかくフランチャイズ店なら中小小売店だ。なぜ5%還元の対象にしなかったのか。その説明は、いくら聞いてもわからなかった。
実は私が電話した相手は本当にポイント還元に差をつけた理由についてわからなかったのだろうが(私があまりにしつこく聞いたので)、「そういう声は多く寄せられていますので、担当部門に伝えます」と逃げられた。はっきり言えば、経産省のポイント還元の本当の狙いは「益税業者」のあぶり出しである。だからキャッシュレス対応をすでに行っている大手企業のフランチャイズ店は対象から外したかったのだ。フランチャイズ店は仕入れと売り上げを本部が正確にキャッチするため、本部のサーバーとオンラインでつながったキャッシュレス対応のレジスターが供与されている。それでも小ずるい店はあり、私が経験したケースではファーストフードの店で会計を現金で済ませた時、「領収書はいりますか?」と聞かれ、「いらない」と答えたらレジを通さずに会計を済ませてしまった。
経産省が中小小売業者に対して、これからキャッシュレス対応するという場合、レジスター購入費の大半を援助してまで中小小売業者を優遇するのは、これまで税務署に「ざる申告」をしてきた益税小売業者を一網打尽にしようというのが、本当の狙いなのだ。それならそれで、ポイント還元店は大中小を問わず(実際には大企業でキャッシュレス決済していない小売業者はないが)、始めてキャッシュレス対応をするという店(つまりキャッシュレス対応のレジスターを新規に購入する小売業者)に限定してポイント還元すればいいはずだ。経産省も本音はそうしたいのだろうが、あまりにもやり方があからさまなので気が引けた結果、フランチャイズ店にもちょっぴりお裾分けすることにしたというのが真実ではないかと思う。そうとでも考えなければ、同じ中小小売業者にポイント還元の差をつけた理由がわからないし、経産省も差をつけた理由について明確な説明ができない理由もそこにある。
ポイント還元についての最後の疑問は、なぜ消費税増税に合わせて同時に実施したのかという問題だ。そのために小売業者も大混乱したし、第一、小売業者が申請しても審査が間に合わなかったり、審査に通っても肝心のレジスターが品不足状態で入手できないため客にポイント還元できないというケースが続出した。そもそも、これまで明らかにしたように消費税増税の目的とキャッシュレス対応を進める目的は全く別である(このことは経産省も認めている)。準備も整っていないのに、なぜ無理やり実施のタイミングを合わせたのか。すでにキャッシュレス対応が進んでいるデパートやスーパー、コンビニなどでも消費税税率が2種類になったためレジスターの改良などで小売業界もレジスター業界も天手古舞になった。そこに現金オンリーの商売をしていた小売店が「じゃあ、この機会に」とキャッシュレス対応に踏み切ったらどうなるか、予測がつかなかったのか。こうした不満や疑問が殺到したため、経産省は慌てて11月1日になってポイント還元制を消費税増税と同時に行ったのかの説明をホームページに載せた。すでに前回のブログに全文は掲載したので要点だけ述べる。
「増税後の需要平準化対策として、キャッシュレス化による小売業者の生産性向上や消費者の利便性向上のため、一定期間(※来年6月末まで)に限り、ポイント還元を行い、中小・小規模事業者での消費喚起を後押しする」
さてキャッシュレスを導入した中小小売業者では消費税増税による打撃を受けずにすんだのか。実は消費は増税後、地域によってばらばらなようなのだ。理由は簡単。キャッシュレスによるポイント還元の申請は個々の小売業者が行うが、実際には地域の商店連合会の加盟店が話し合い、地域ぐるみで商店連合会の小売業者が申請している(そのことは経産省から委託されたと称する「問い合わせ窓口」で確認済み)。どの地域でも都市部の商店連合会に加盟している小売業者の大半は食料品店が主体。だからキャッシュレス導入を決めた商店街では、食料品は増税後の方が安くなるため(税率は8%で変わらず、増税後は5%のポイント還元があるため)、むしろ増税前の変え控え現象が生じていた。もちろん対象は食料品だけでなく、トイレットペーパーなどの日用品や小規模家電店の商品などでも同じ現象が生じている。一方、量販店や大規模スーパー、デパートなどでは賞味期限が短い食料品を除いて増税前の駆け込み需要が生じたため、10月以降の売り上げはかなり減少しているようだ。そのため全体でみれば、前回の増税時ほど駆け込み需要の反動は生じていないようだ。
が、実は政府はそれほど喜んではいないはずだ。ポイント還元は来年6月末までだから、その直前2度目の駆け込み需要が発生する可能性がある。都市部の量販店や大規模スーパー、デパートなどではあまり関係ないとみられがちだが、ポイント還元性が終了した7月以降の消費動向がどうなるかは読みにくいが、中小規模の小売業者が多い地方では確実に駆け込み需要の反動が生じる。つまり10月の消費税増税時の駆け込み需要の反動が抑えられた分だけ、来年7月以降、一気に消費が冷え込む可能性が高いと考えられる。
単に消費が冷え込むだけではない。すでにブログで書いたことだが、キャッシュレスを導入した小売店に大きな負担が一気にのしかかる。日本ではクレジットカードで決済した場合の手数料は、消費者ではなく小売店側が負担するシステムが確立している。その手数料がカード会社によって多少異なるようだが、大体3%台と言われている。そのためキャッシュレス決済を導入している店でも、手数料率が高いカードは使えないという店も少なくない。私が知る限りほぼオールマイティなのはVISAだが、JCBやマスターは利用できない店もある。たとえば回転すしNO.1のスシローはJCBカードでは支払うことができない。いずれにせよ、それまで現金決済オンリーだった店は消費者がカード決済した場合、実質的に3%値引きしたことになる。5ポイント還元されている来年6月末までは客が増えて売り上げが伸びたかもしれないが、来年7月以降は消費の冷え込みという反動だけでなく、それまでは不要だったカード決済に伴う手数料がもろに負担としてかかってくる。中小小売業者にとっては死活の問題になりかねない。
結果的には、いったい誰のためのキャッシュレス化だったのか、ということがいずれ問われる。キャッシュレス化を導入したところで、私が見るかぎりカード決済する消費者より、現金決済する客の方がはるかに多い。現金決済の場合は支払い能力を超えて買うことはありえないが、カード決済の場合はそのカードの利用限度額まで自分の支払い能力を超えて買ってしまいかねない。キャッシュカードならばATMで自分の預貯金額を超えて引き出すことは不可能だが、カードの場合は決済不能で延滞金が発生することもある。税務署も消費者がカード決済した分については売り上げを把握できるが、ポイント還元店でも現金決済する消費者の方が多い状態だから、どのみち小売店の売り上げをすべて把握することは不可能だ。
また外国人観光客対策というなら、もっと別の方法を考えたほうがいい。仮想通貨(暗号資産 込め「架空通貨」と言い方を変えたほうがいい)を、金融庁は外国人観光客の買い物利便性のため実体通貨と同様、決済手段として使用できるようにしようと試みたことがあるが、「机上の空論」に終わった。一時は大手量販店も金融庁の口車に乗ったが、いまは完全に手を引いてしまった。キャッシュレス化も同じ運命をたどるかもー。
【別件】「N国党」の立花党首が24日投開票の奈良市長選の選挙活動を18日、なぜか選挙区ではない場所(多分東京都)のNHK上田会長の自宅付近で「NHKは反社会勢力とつながっている」というビラを配布し、さらに上田会長自宅前でマイクを使用して自論を演説したという。19日には渋谷のNHK本部でも「選挙演説」を行うようだ。
選挙活動は選挙区でしか行ってはいけないという規定は公職選挙法にはないようだから、立花氏が奈良ではなく東京で選挙活動を行おうと、そのこと自体は法に触れる話ではないようだ。しかし、奈良市民をこんなにバカにした話はない。もし立花氏が万が一にでも選挙で買った場合、彼はどんな奈良市政を行うというのか。立花氏にとっては、とんでもない場所で選挙活動をすればメディアが話題にしてくれるだろうという計算があってのことかもしれないが、「そんなのありか」と思うのは私だけではないだろう。
さらに、18日の演説の際、メディアの記者に「沢尻エリカに選挙出馬をオファーする」と明言したという。呆れてものが言えない。沢尻は麻薬取締法違反で逮捕されている犯罪容疑者だ。起訴されることは間違いないし、仮に執行猶予がついたとしても実刑判決が下されることも疑問の余地がない。肝心の沢尻容疑者が10年ほど前から薬物を使用していたと、警察の取り調べで供述しているから、裁判で無罪になることは考えられない。そういう人に、選挙での出馬を要請するというなら、いっそのこと、山口組(関連団体を含む)や稲川組、工藤組など暴力団の会長に選挙出馬要請したらどうか。彼らの方が筋金入りの反権力団体だから、「N国党」の公認になれば、堂々と社会的市民権が得られることになり、喜んでNHKつぶしに協力してくれるだろう。
私はNHKに対してこれまでも様々言いたいことを言ってきたし、そうした行為について私は誇りを持っている。が、立花氏のような犯罪者まで巻き込んでNHK批判の輪を広げようとする行動には絶対に容認できない。本当に国民のための公共放送にするため、NHKの体質改善を訴えている方たちにとって、「N国党」は百害あって一利ない存在でしかない。ホリエモンがなぜ立花氏を持ち上げるのか、私には理解できない。
まず経産省が開設している「ポイント還元 窓口(消費者向け)」の電話番号【0120-010975】に何度も電話して聞いたが、この二つの疑問に対する明確な答えはなかった。この問い合わせ窓口は経産省のホームページに記載されており(経産省の代表電話【03‐3501‐1511】に電話をして「ポイント還元についてお聞きしたいことがある」と言えば、必ず上記のフリーダイヤルの番号にかけなおすよう案内される)、だれでも経産省が臨時に設置した問合せ部署だと思う。が、あまりにも対応がめちゃくちゃなので、「おたく、本当に経産省の方?」と聞いたら、びっくりした返事が返ってきた。「違います。経産省から委託を受けた民間会社の者です」だと。「では会社の名前を教えてくれ」と何回か聞いたが、絶対に教えてくれなかった。そうなると、その人ですら経産省から委託を受けた企業の正社員か派遣社員か否かも疑問が生じるので、「あなたはその民間企業の正社員?それとも派遣社員?」と聞いてみたが、「個人的なことはお答えできません」と、そっけない。
そうしたやり取りは実は10月3日、朝日新聞に情報提供したが、記事にするほどの意味はないと思ったのか、無視された。それはともかく、なぜポイント還元に差をつけたのか、いまだに理由がわからない。一応何度か問合せ先の窓口に電話をしたが、少しわかったのは2%還元はコンビニだけでなく(新聞だけでなくテレビも含めてコンビニのフランチャイズ店だけが対象であるかのような報道をしている)、回転すしやファーストフード、100円ショップなど大企業のフランチャイズ店もポイント還元の対象になってはいるようだ(実際にポイント還元している店はコンビニ以外見たことがないが)。それはともかくフランチャイズ店なら中小小売店だ。なぜ5%還元の対象にしなかったのか。その説明は、いくら聞いてもわからなかった。
実は私が電話した相手は本当にポイント還元に差をつけた理由についてわからなかったのだろうが(私があまりにしつこく聞いたので)、「そういう声は多く寄せられていますので、担当部門に伝えます」と逃げられた。はっきり言えば、経産省のポイント還元の本当の狙いは「益税業者」のあぶり出しである。だからキャッシュレス対応をすでに行っている大手企業のフランチャイズ店は対象から外したかったのだ。フランチャイズ店は仕入れと売り上げを本部が正確にキャッチするため、本部のサーバーとオンラインでつながったキャッシュレス対応のレジスターが供与されている。それでも小ずるい店はあり、私が経験したケースではファーストフードの店で会計を現金で済ませた時、「領収書はいりますか?」と聞かれ、「いらない」と答えたらレジを通さずに会計を済ませてしまった。
経産省が中小小売業者に対して、これからキャッシュレス対応するという場合、レジスター購入費の大半を援助してまで中小小売業者を優遇するのは、これまで税務署に「ざる申告」をしてきた益税小売業者を一網打尽にしようというのが、本当の狙いなのだ。それならそれで、ポイント還元店は大中小を問わず(実際には大企業でキャッシュレス決済していない小売業者はないが)、始めてキャッシュレス対応をするという店(つまりキャッシュレス対応のレジスターを新規に購入する小売業者)に限定してポイント還元すればいいはずだ。経産省も本音はそうしたいのだろうが、あまりにもやり方があからさまなので気が引けた結果、フランチャイズ店にもちょっぴりお裾分けすることにしたというのが真実ではないかと思う。そうとでも考えなければ、同じ中小小売業者にポイント還元の差をつけた理由がわからないし、経産省も差をつけた理由について明確な説明ができない理由もそこにある。
ポイント還元についての最後の疑問は、なぜ消費税増税に合わせて同時に実施したのかという問題だ。そのために小売業者も大混乱したし、第一、小売業者が申請しても審査が間に合わなかったり、審査に通っても肝心のレジスターが品不足状態で入手できないため客にポイント還元できないというケースが続出した。そもそも、これまで明らかにしたように消費税増税の目的とキャッシュレス対応を進める目的は全く別である(このことは経産省も認めている)。準備も整っていないのに、なぜ無理やり実施のタイミングを合わせたのか。すでにキャッシュレス対応が進んでいるデパートやスーパー、コンビニなどでも消費税税率が2種類になったためレジスターの改良などで小売業界もレジスター業界も天手古舞になった。そこに現金オンリーの商売をしていた小売店が「じゃあ、この機会に」とキャッシュレス対応に踏み切ったらどうなるか、予測がつかなかったのか。こうした不満や疑問が殺到したため、経産省は慌てて11月1日になってポイント還元制を消費税増税と同時に行ったのかの説明をホームページに載せた。すでに前回のブログに全文は掲載したので要点だけ述べる。
「増税後の需要平準化対策として、キャッシュレス化による小売業者の生産性向上や消費者の利便性向上のため、一定期間(※来年6月末まで)に限り、ポイント還元を行い、中小・小規模事業者での消費喚起を後押しする」
さてキャッシュレスを導入した中小小売業者では消費税増税による打撃を受けずにすんだのか。実は消費は増税後、地域によってばらばらなようなのだ。理由は簡単。キャッシュレスによるポイント還元の申請は個々の小売業者が行うが、実際には地域の商店連合会の加盟店が話し合い、地域ぐるみで商店連合会の小売業者が申請している(そのことは経産省から委託されたと称する「問い合わせ窓口」で確認済み)。どの地域でも都市部の商店連合会に加盟している小売業者の大半は食料品店が主体。だからキャッシュレス導入を決めた商店街では、食料品は増税後の方が安くなるため(税率は8%で変わらず、増税後は5%のポイント還元があるため)、むしろ増税前の変え控え現象が生じていた。もちろん対象は食料品だけでなく、トイレットペーパーなどの日用品や小規模家電店の商品などでも同じ現象が生じている。一方、量販店や大規模スーパー、デパートなどでは賞味期限が短い食料品を除いて増税前の駆け込み需要が生じたため、10月以降の売り上げはかなり減少しているようだ。そのため全体でみれば、前回の増税時ほど駆け込み需要の反動は生じていないようだ。
が、実は政府はそれほど喜んではいないはずだ。ポイント還元は来年6月末までだから、その直前2度目の駆け込み需要が発生する可能性がある。都市部の量販店や大規模スーパー、デパートなどではあまり関係ないとみられがちだが、ポイント還元性が終了した7月以降の消費動向がどうなるかは読みにくいが、中小規模の小売業者が多い地方では確実に駆け込み需要の反動が生じる。つまり10月の消費税増税時の駆け込み需要の反動が抑えられた分だけ、来年7月以降、一気に消費が冷え込む可能性が高いと考えられる。
単に消費が冷え込むだけではない。すでにブログで書いたことだが、キャッシュレスを導入した小売店に大きな負担が一気にのしかかる。日本ではクレジットカードで決済した場合の手数料は、消費者ではなく小売店側が負担するシステムが確立している。その手数料がカード会社によって多少異なるようだが、大体3%台と言われている。そのためキャッシュレス決済を導入している店でも、手数料率が高いカードは使えないという店も少なくない。私が知る限りほぼオールマイティなのはVISAだが、JCBやマスターは利用できない店もある。たとえば回転すしNO.1のスシローはJCBカードでは支払うことができない。いずれにせよ、それまで現金決済オンリーだった店は消費者がカード決済した場合、実質的に3%値引きしたことになる。5ポイント還元されている来年6月末までは客が増えて売り上げが伸びたかもしれないが、来年7月以降は消費の冷え込みという反動だけでなく、それまでは不要だったカード決済に伴う手数料がもろに負担としてかかってくる。中小小売業者にとっては死活の問題になりかねない。
結果的には、いったい誰のためのキャッシュレス化だったのか、ということがいずれ問われる。キャッシュレス化を導入したところで、私が見るかぎりカード決済する消費者より、現金決済する客の方がはるかに多い。現金決済の場合は支払い能力を超えて買うことはありえないが、カード決済の場合はそのカードの利用限度額まで自分の支払い能力を超えて買ってしまいかねない。キャッシュカードならばATMで自分の預貯金額を超えて引き出すことは不可能だが、カードの場合は決済不能で延滞金が発生することもある。税務署も消費者がカード決済した分については売り上げを把握できるが、ポイント還元店でも現金決済する消費者の方が多い状態だから、どのみち小売店の売り上げをすべて把握することは不可能だ。
また外国人観光客対策というなら、もっと別の方法を考えたほうがいい。仮想通貨(暗号資産 込め「架空通貨」と言い方を変えたほうがいい)を、金融庁は外国人観光客の買い物利便性のため実体通貨と同様、決済手段として使用できるようにしようと試みたことがあるが、「机上の空論」に終わった。一時は大手量販店も金融庁の口車に乗ったが、いまは完全に手を引いてしまった。キャッシュレス化も同じ運命をたどるかもー。
【別件】「N国党」の立花党首が24日投開票の奈良市長選の選挙活動を18日、なぜか選挙区ではない場所(多分東京都)のNHK上田会長の自宅付近で「NHKは反社会勢力とつながっている」というビラを配布し、さらに上田会長自宅前でマイクを使用して自論を演説したという。19日には渋谷のNHK本部でも「選挙演説」を行うようだ。
選挙活動は選挙区でしか行ってはいけないという規定は公職選挙法にはないようだから、立花氏が奈良ではなく東京で選挙活動を行おうと、そのこと自体は法に触れる話ではないようだ。しかし、奈良市民をこんなにバカにした話はない。もし立花氏が万が一にでも選挙で買った場合、彼はどんな奈良市政を行うというのか。立花氏にとっては、とんでもない場所で選挙活動をすればメディアが話題にしてくれるだろうという計算があってのことかもしれないが、「そんなのありか」と思うのは私だけではないだろう。
さらに、18日の演説の際、メディアの記者に「沢尻エリカに選挙出馬をオファーする」と明言したという。呆れてものが言えない。沢尻は麻薬取締法違反で逮捕されている犯罪容疑者だ。起訴されることは間違いないし、仮に執行猶予がついたとしても実刑判決が下されることも疑問の余地がない。肝心の沢尻容疑者が10年ほど前から薬物を使用していたと、警察の取り調べで供述しているから、裁判で無罪になることは考えられない。そういう人に、選挙での出馬を要請するというなら、いっそのこと、山口組(関連団体を含む)や稲川組、工藤組など暴力団の会長に選挙出馬要請したらどうか。彼らの方が筋金入りの反権力団体だから、「N国党」の公認になれば、堂々と社会的市民権が得られることになり、喜んでNHKつぶしに協力してくれるだろう。
私はNHKに対してこれまでも様々言いたいことを言ってきたし、そうした行為について私は誇りを持っている。が、立花氏のような犯罪者まで巻き込んでNHK批判の輪を広げようとする行動には絶対に容認できない。本当に国民のための公共放送にするため、NHKの体質改善を訴えている方たちにとって、「N国党」は百害あって一利ない存在でしかない。ホリエモンがなぜ立花氏を持ち上げるのか、私には理解できない。
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