3月31日、ようやく横浜市から以下のような回答があった。3月6日に私が『横浜IRはギャンブル依存症を増やすだけ。IR(カジノを含む総合型リゾート)の詐欺を見抜いた』というタイトルでブログをアップし、同日、横浜市IR推進室にFAXした文書に対する回答である。私はこの文書でIR誘致の目的や経済効果に対する疑問は一切提起していない。IR誘致の是非については多くの専門家や政治家が問題視しているからだ。私はただギャンブル依存症対策についての疑問しか書いていない。なのに、回答書はいきなりIR誘致の目的や経済効果について非常に熱心に書かれ、その後ギャンブル依存症対策については私がすでに熟知していることを繰り返し述べているだけだった。念のため横浜市に問い合わせたところ、ほとんどが統一パターンで回答しているということだった。つまり市民の素朴な疑問に対してまともに向き合おうとしていないことが明らかになった。まず私が提起した疑問に対する市の回答書を添付し、昨4月1日に返信した文書を添付する。
Message body
小林 紀興 様
3月16日にいただいたご意見について、次のとおりお答えします。
本市では今後、生産年齢人口の減少等による、消費や税収の減少、社会保障費の増加など、経済活力の低下や厳しい財政状況が見込まれています。
このような状況にあっても、横浜が都市の活力を維持し、福祉、子育て、医療、教育など、市民の皆様の安全・安心な生活をしっかり維持していくための方策の一つとして、IR(統合型リゾート「特定複合観光施設」)について検討を重ねてきました。
「IR推進法」の基本理念では、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるもの」とされています。
本市が行った調査におけるIRの効果としては、IR区域内での消費に加え、建設時、運営時における経済波及効果、市財政への増収効果など、これまでにない経済的社会的効果が示され、横浜が抱える諸問題に有効な対応策になりうることが確認できました。
市民の皆様の不安要素である、カジノに起因した依存症や治安悪化などへの対策については「IR整備法」において「免許によるIR事業者の参入規制」、「日本人等の入場料6,000円」、「7日間で3回、28日間で10回とする入場回数の制限」、「20歳未満の者や暴力団員の入場禁止」など世界最高水準のカジノ規制が定められています。これらに加え、カジノを行う区域の面積上限をIR施設の床面積合計の3%とすることなどが示された「IR整備法施行令」や、既存のギャンブル等の依存症に対し国や自治体、関係機関・団体、事業者等による総合的な取組を講じる「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」が昨年4月に示されました。これらのことにより、あらゆる関係者が協力し、依存症の方を増やさないように取り組む環境や治安悪化などへの対策を強化する環境が整ってきました。
このような状況を総合的に勘案し、横浜の20年、30年先を見据え、将来にわたり成長・発展を続けていくためには、横浜においてIRを実現する必要がるという結論にいたりました。
また、本市がIRの導入に向けた本格的な検討・準備を進めていく中で、説明会を開催する等、丁寧にご説明を行うとともに、市民の皆様のご意見を伺い、ご理解を深めていただけるように進めていきます。
なお、IR整備法における入場回数制限については、「1回」とする単位については、シンガポールにおいて、1度の入場から24時間以内を「1回」と数えることとしていることを参考として、同様に数えることとしています。
なお、IR整備法では、回数制限のほか、本人・家族申告による利用制限措置を義務付けているほか、事業者からも、海外での経験に基づき、顔認証による入場管理や、トレーニングを受けたスタッフによる徹底した対応や相談窓口の設置など、さまざまな対策が示されています。
令和2年3月31日
横浜市都市整備局IR推進課担当課長 村上 一徳
(IR推進課 電話:045-671-4135 FAX:045-550-3869)
(広聴 第2019-230488号)
この回答書に対する私の返信を添付する。
昨日ご回答をいただきましたが、私の疑問にはまったくお答えいただいていません。そそもそも私はIR事業の誘致や経済効果については疑問を呈してはいません。大体が公共工事の採算見通しについては、最高にうまくいったケースを前提にしていて、成功したケースはほとんどないと私は考えています。たとえば、横浜市の事業ではありませんでしたが、東京湾アクアラインの採算はどうなっているでしょうか。そもそも人口減少は世界の先進国共通の現象であり、横浜市が人口減少を食い止めたいなら、ばくち打ちを集めるのではなく、日本人にとって住みたい街、魅力ある街づくりを心掛けるべきではありませんか。ディズニーランドを作ったら浦安市がすみたい街、魅力ある街になったでしょうか。ユニバーサル・スタジオを作ったら大阪市がすみたい街、魅力ある街になったでしょうか。横浜市がこれまで住みたい街、魅力ある街づくりをやってきた結果はどうなのですか。効果がありましたか。横浜市をばくち打ちの街にしたら、住みたい街、魅力ある街になるのでしょうか。そうだとおっしゃるなら、その根拠をお示しください。
実際、私は経済的効果についての専門的知識を持っているわけではないので、経済的効果についても何も書いていません。しかし、的外れな回答でしたので、なぜカジノを作ったら経済的効果が大きいのか、その理由を明らかにしてください。少なくともカジノだらけにした韓国はどうなっているか、その検証をお願いします。さらに横浜市が税金を使って経済効果を上げるためにこれまで行ってきた政策について、検証結果をすべて明らかにしていただきたい。ほとんど(ひょっとしたらすべて)が失敗に終わっているのではないかという疑問がぬぐい切れません。「机上の空論」というのは、あらかじめ公共事業をやるために根拠のないデータをでっちあげる方法のことです。成功事例を一つでも二つでもあげて、なぜ成功したのかの検証を行い、そのうえでIR事業が間違いなく成功するという根拠を示していただきたい。IR事業をやるという結論が先にあって。成功するための条件を「机上の空論」ででっちあげるような愚は避けていただきたい。
どのみち経済効果はふたを開けてみなければわからないことなので、これ以上は触れません。問題はギャンブル依存症対策です。「7日で3回、28日で10回、入出場ができる」ということですが、この規制が世界最高水準の対策と言えるのでしょうか。シンガポールの規制を参考にしたということですが、日本は世界でもずば抜けたギャンブル依存症大国です。シンガポールが日本並みのギャンブル大国であれば、シンガポールのカジノ規制を参考にできるでしょうが、その根拠は一切示されていません。しかも「1回」というのは24時間を意味していますから、事実上1回の入場で2日間入出場ができます。カジノ施設にはATM機を設置しないということですが(これは法律で規制されたことではありません。横浜市独自の対策です)、IR施設には家族連れなども多く訪れるはずです(「机上の空論」ですが…)。カジノ目的ではない人たちにとってATM機がないと極めて不便です。しかし、カジノ目的で来た客が負けが込んでATM機で現金を下ろそうとした場合、カジノ施設にATM機が設置されていなければ、あきらめて帰ると思いますか? いったんカジノ施設から出て施設外のATM機を利用しようとすることは考えなかったのですか。もし、そういうケースを考えた人が林市長をはじめ横浜市のIR担当職員の中に誰もいなかったとしたら、あなたたちは税金ドロボーです。
ま、いまさら引っ込みはつかないでしょうから、せめて最後の手段として1回の入場についてチップを購入できる金額の上限を1万円にすることです。このことは官公庁のIR担当職員に確認しましたが、市条例で規制することができます。この方法が最後で唯一のギャンブル依存症対策になり、かつこの規制をかけてもそれなりの経済効果が生じれば、これからIR誘致の取り組もうとしている地方自治体にとって「横浜モデル」として大いに参考になるでしょう。なお観光庁のIR担当職員からは「上限金額規制については決めたほうがいいかもしれないと思います」との回答を得ています。
【追記】これまでブログで何度も書いてきましたが、国であれ地方自治体であれ、政治の要諦は「入るを図りて出ずるを制す」にあります。少子高齢化は世界の先進国共通の問題であり、この流れに横浜市が竿を指して止めることは不可能です。出ずるを制することを考えずにいるを図ろうとすることは愚策上の愚策です。少子高齢化により労働人口(生産人口)が減少する社会的現象は横浜市だけの問題ではありません。また林市長が招いたことでもありません。入るを図ることも大切ですが、出ずるを制することに林市長はどれだけ身を削る大ナタを振るってきたのでしょうか。他の大都市に比べて多すぎると指摘されている市職員の削減、給与も高すぎると指摘されてきた歳出の削減、赤字公共事業の整理縮小に大ナタを振るってきたのですか。私たち市民は入るの中でどうやって生活を維持するかで精一杯です。出ずるを制することに必死です。入るを図る前に、まず出ずるを制することに全力を挙げてください。
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小林 紀興 様
3月16日にいただいたご意見について、次のとおりお答えします。
本市では今後、生産年齢人口の減少等による、消費や税収の減少、社会保障費の増加など、経済活力の低下や厳しい財政状況が見込まれています。
このような状況にあっても、横浜が都市の活力を維持し、福祉、子育て、医療、教育など、市民の皆様の安全・安心な生活をしっかり維持していくための方策の一つとして、IR(統合型リゾート「特定複合観光施設」)について検討を重ねてきました。
「IR推進法」の基本理念では、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるもの」とされています。
本市が行った調査におけるIRの効果としては、IR区域内での消費に加え、建設時、運営時における経済波及効果、市財政への増収効果など、これまでにない経済的社会的効果が示され、横浜が抱える諸問題に有効な対応策になりうることが確認できました。
市民の皆様の不安要素である、カジノに起因した依存症や治安悪化などへの対策については「IR整備法」において「免許によるIR事業者の参入規制」、「日本人等の入場料6,000円」、「7日間で3回、28日間で10回とする入場回数の制限」、「20歳未満の者や暴力団員の入場禁止」など世界最高水準のカジノ規制が定められています。これらに加え、カジノを行う区域の面積上限をIR施設の床面積合計の3%とすることなどが示された「IR整備法施行令」や、既存のギャンブル等の依存症に対し国や自治体、関係機関・団体、事業者等による総合的な取組を講じる「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」が昨年4月に示されました。これらのことにより、あらゆる関係者が協力し、依存症の方を増やさないように取り組む環境や治安悪化などへの対策を強化する環境が整ってきました。
このような状況を総合的に勘案し、横浜の20年、30年先を見据え、将来にわたり成長・発展を続けていくためには、横浜においてIRを実現する必要がるという結論にいたりました。
また、本市がIRの導入に向けた本格的な検討・準備を進めていく中で、説明会を開催する等、丁寧にご説明を行うとともに、市民の皆様のご意見を伺い、ご理解を深めていただけるように進めていきます。
なお、IR整備法における入場回数制限については、「1回」とする単位については、シンガポールにおいて、1度の入場から24時間以内を「1回」と数えることとしていることを参考として、同様に数えることとしています。
なお、IR整備法では、回数制限のほか、本人・家族申告による利用制限措置を義務付けているほか、事業者からも、海外での経験に基づき、顔認証による入場管理や、トレーニングを受けたスタッフによる徹底した対応や相談窓口の設置など、さまざまな対策が示されています。
令和2年3月31日
横浜市都市整備局IR推進課担当課長 村上 一徳
(IR推進課 電話:045-671-4135 FAX:045-550-3869)
(広聴 第2019-230488号)
この回答書に対する私の返信を添付する。
昨日ご回答をいただきましたが、私の疑問にはまったくお答えいただいていません。そそもそも私はIR事業の誘致や経済効果については疑問を呈してはいません。大体が公共工事の採算見通しについては、最高にうまくいったケースを前提にしていて、成功したケースはほとんどないと私は考えています。たとえば、横浜市の事業ではありませんでしたが、東京湾アクアラインの採算はどうなっているでしょうか。そもそも人口減少は世界の先進国共通の現象であり、横浜市が人口減少を食い止めたいなら、ばくち打ちを集めるのではなく、日本人にとって住みたい街、魅力ある街づくりを心掛けるべきではありませんか。ディズニーランドを作ったら浦安市がすみたい街、魅力ある街になったでしょうか。ユニバーサル・スタジオを作ったら大阪市がすみたい街、魅力ある街になったでしょうか。横浜市がこれまで住みたい街、魅力ある街づくりをやってきた結果はどうなのですか。効果がありましたか。横浜市をばくち打ちの街にしたら、住みたい街、魅力ある街になるのでしょうか。そうだとおっしゃるなら、その根拠をお示しください。
実際、私は経済的効果についての専門的知識を持っているわけではないので、経済的効果についても何も書いていません。しかし、的外れな回答でしたので、なぜカジノを作ったら経済的効果が大きいのか、その理由を明らかにしてください。少なくともカジノだらけにした韓国はどうなっているか、その検証をお願いします。さらに横浜市が税金を使って経済効果を上げるためにこれまで行ってきた政策について、検証結果をすべて明らかにしていただきたい。ほとんど(ひょっとしたらすべて)が失敗に終わっているのではないかという疑問がぬぐい切れません。「机上の空論」というのは、あらかじめ公共事業をやるために根拠のないデータをでっちあげる方法のことです。成功事例を一つでも二つでもあげて、なぜ成功したのかの検証を行い、そのうえでIR事業が間違いなく成功するという根拠を示していただきたい。IR事業をやるという結論が先にあって。成功するための条件を「机上の空論」ででっちあげるような愚は避けていただきたい。
どのみち経済効果はふたを開けてみなければわからないことなので、これ以上は触れません。問題はギャンブル依存症対策です。「7日で3回、28日で10回、入出場ができる」ということですが、この規制が世界最高水準の対策と言えるのでしょうか。シンガポールの規制を参考にしたということですが、日本は世界でもずば抜けたギャンブル依存症大国です。シンガポールが日本並みのギャンブル大国であれば、シンガポールのカジノ規制を参考にできるでしょうが、その根拠は一切示されていません。しかも「1回」というのは24時間を意味していますから、事実上1回の入場で2日間入出場ができます。カジノ施設にはATM機を設置しないということですが(これは法律で規制されたことではありません。横浜市独自の対策です)、IR施設には家族連れなども多く訪れるはずです(「机上の空論」ですが…)。カジノ目的ではない人たちにとってATM機がないと極めて不便です。しかし、カジノ目的で来た客が負けが込んでATM機で現金を下ろそうとした場合、カジノ施設にATM機が設置されていなければ、あきらめて帰ると思いますか? いったんカジノ施設から出て施設外のATM機を利用しようとすることは考えなかったのですか。もし、そういうケースを考えた人が林市長をはじめ横浜市のIR担当職員の中に誰もいなかったとしたら、あなたたちは税金ドロボーです。
ま、いまさら引っ込みはつかないでしょうから、せめて最後の手段として1回の入場についてチップを購入できる金額の上限を1万円にすることです。このことは官公庁のIR担当職員に確認しましたが、市条例で規制することができます。この方法が最後で唯一のギャンブル依存症対策になり、かつこの規制をかけてもそれなりの経済効果が生じれば、これからIR誘致の取り組もうとしている地方自治体にとって「横浜モデル」として大いに参考になるでしょう。なお観光庁のIR担当職員からは「上限金額規制については決めたほうがいいかもしれないと思います」との回答を得ています。
【追記】これまでブログで何度も書いてきましたが、国であれ地方自治体であれ、政治の要諦は「入るを図りて出ずるを制す」にあります。少子高齢化は世界の先進国共通の問題であり、この流れに横浜市が竿を指して止めることは不可能です。出ずるを制することを考えずにいるを図ろうとすることは愚策上の愚策です。少子高齢化により労働人口(生産人口)が減少する社会的現象は横浜市だけの問題ではありません。また林市長が招いたことでもありません。入るを図ることも大切ですが、出ずるを制することに林市長はどれだけ身を削る大ナタを振るってきたのでしょうか。他の大都市に比べて多すぎると指摘されている市職員の削減、給与も高すぎると指摘されてきた歳出の削減、赤字公共事業の整理縮小に大ナタを振るってきたのですか。私たち市民は入るの中でどうやって生活を維持するかで精一杯です。出ずるを制することに必死です。入るを図る前に、まず出ずるを制することに全力を挙げてください。
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