小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

参院選で大勝した自民の憲法改正への強い意欲に、惨敗した民進党はどう立ち向かうのか。

2016-07-16 05:45:55 | Weblog
 先の参院選以降、憲法改正問題が急浮上してきた。この参院選の争点は与野党で完全にすれ違っていた。与党(自公)は「道半ばのアベノミクスを前進させること」を公約として掲げていた。一方野党は「参院選で勝利して安保法制を葬ること」を公約に掲げていた。
 なぜ憲法問題がいっさい争点にならなかった選挙で与党が大勝したのか。
 はっきり言えば、共産党の「安保法制打倒」で野党4党が選挙協力しようというバカげた提案に、漁夫の利を求めて民進党が相乗りしたからだ。確かに、1人区32選挙区で共産党の支援を得て民進党は大躍進した。が、複数区や比例区では民進党は大惨敗した。ま、比例区での選挙協力は不可能だから仕方がないとしても、少なくとも1人区だけでなく複数区でも選挙協力して立候補者を絞って与党と競争すべきだと私は言っていた(ただし、このことはブログでは書いていない。民進党参議院議員の常任幹事にそうアドバイスして、その人はそうなるのではないかと楽観的な考えを述べていた。で、私は複数区でも選挙協力するのだろうと思い、あえてブログでは書かなかった)。
 が、野党は複数区では選挙協力をせず乱立状態で選挙戦に突入した。ただでさえ優勢な与党の自・公が複数区でも選挙協力をしているのに、政策合意も何もできていない烏合の衆の野党が、「安保法制打倒」だけを旗印にして選挙に勝てると思っていたのが甘かった。
 日本人は「のど元過ぎれば熱さ忘れる」という、世界人類の中で稀有な習性を持った民族である。それがいいか悪いかは別にして、日本民族の習性だから仕方あるまい。だが、安保法制は国会を通過した時点で、もはや日本人にとって重大な政治課題ではなくなっていた。私は先に述べた民進党参議院議員の常任幹部に選挙が始まる前から「安保法制は選挙の争点にならないよ」とアドバイスしてきたが、彼はいわば身内の論理にのめり込んでいた。「安保法制で勝利して、衆院を解散させる」の一点張りだった。
 仮に安保法制を争点にすることが出来て、野党が参院選で勝利したとしても、与党は絶対に衆院を解散しない。与党は衆院では3分の2を超えており、野党が参院選でよほどの大差をつけて勝たない限り、世論も衆院解散を要求したりはしないことは分かりきった話だ。まして参院選挙で不利な状態になった与党が自ら国民の信を改めて問う衆院解散などに踏み切るわけがない。

 そのことはともかく、与党は「憲法改正」の「け」の字も出さずに「道半ばのアベノミクスをさらに前進させる」という1点に選挙の争点を絞った。民進党は1人区では共産党の全面的支援を得て2議席から11議席へと飛躍的に議席を増やすことが出来た。が、民進党が議席を増やせたのは共産党の全面的支援を得た1人区だけで、複数区・比例区では在惨敗した。挙句、自・公与党だけでなく、大阪維新の会(「日本維新の会」に改称する予定)など憲法改正派が参院でも3分の2以上を占める結果になった。
 選挙の結果が出た途端、安倍総理は選挙中ひと言も口に出さなかった「憲法改正」についてあからさまに主張するようになった。「自民党の改正草案をベースに憲法改正に取り組みたい」と。「憲法改正は自民党結成以来の党是である。ようやく憲法改正の条件が整った以上、憲法改正に取り組むのは当然だ」と。
 日本人は「のど元過ぎれば熱さ忘れる」という日本民族の習性について書いた。実際安保法制が閣議決定され国会を通過する前後は国会周辺は反対のデモで取り巻かれた。いまどうか。その当時の安保法制反対の熱気は日本のどこにも見られない。
 それだけではない。むしろ野党には逆風が吹きまくっている。アメリカでは共和党大統領候補に民族主義者のトランプ氏が決まり、イギリスでは国民投票でEU離脱派が多数を占めた。中国は南シナ海への海洋進出を進め、北朝鮮はどうやっても勝てっこないアメリカへの挑発行動をやめようとしない。
 そうした事態の中で日本の野党は、日本の国づくりをどう進めていくのか。「反対、反対」では国民の理解は得られない。
 私自身は安倍内閣の下での憲法改正には絶対反対だが、しかし「9条を守れ」だけでは日本が世界、とりわけアジア・環太平洋の平和と安全に責任を持った寄与ができないことも周知の事実だ。日本の国づくりがいま問われている。