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神戸文学館 F3
遅い昼飯を食べているとき、何気なくつけていたテレビの画面で、若い頃の中村錦之介が、
田舎ヤクザを相手に派手な立ち回りをしていた。
画面の切り取り、カメラのアングルが素晴らしく、その美しさに惹かれてとうとう最後まで
見てしまった。
終幕近くになって、死の病の女性が、自分の為にヤクザの争いの中に飛び出していった男
(錦之介)を思いながら、おそらく息を引き取った後に見せることになるであろう自分の顔に、
苦しいなかを体を起こして口紅を差すシーンがあった。
かすれがすれにしか引けない指の動きが、哀れにも美しかった。
先日、書店の店頭に「大和ことばを美しく話す」という題名の本が数冊積んであった。
たとえばどんな言葉だろうかと、開いたページに、「口紅を差す」と云う言葉が挙げられていて、
塗ると差すの違いとか、差すときに使う指は薬指であるとかが書かれていて、このことが記憶に
少し残っていた。
テレビを見終って、新聞のテレビ番組欄を見たら、映画は「沓掛時次郎 遊侠一匹」。
きれいな指の動きをみせていたのは、池内淳子であった。
久しぶりに絵画作品展を見てきた。
県立美術館王子分室原田の森ギャラリーで「主体関西作家展」及び「創元展」
神戸まちつくり会館で、橋本邦彦の指導する「橋水会水彩風景画展」を。
原田の森分室では、見終って向かいの神戸文学館をスケッチした。