知的障害者への取り調べ

先日からニュースで報道されていますが、放火事件で起訴された男性に対して、起訴を取り消す処分がとられました。

この男性の弁護士が、取り調べの様子を記録したDVDの提出を求め、そこには検事の誘導による自白の様子が録画されていました。男性は何度も説明に詰まりながら質問をおうむ返しにする様子で、検事が誘導していたことが明らかになったようです。
知的障害者の取り調べには、弁護士の他に障害の特性をよく知る支援者の立ち会いを認めるべきだという意見が出ています。
本当にそうだと思います。
これは人ごとではなく、いつ自分の子供が同じ立場になるかもしれないという思いがあります。
もちろん、障害者であってもなくても犯罪を犯すことは断じて許されることではありません。
でも何もしてなくても、誤解によって容疑者扱いになることだってあります。
状況をうまく説明できない、おうむ返しでやってもいない罪を認めてしまうこともあるでしょう。

14年前、神戸で起きた児童殺傷事件は忘れることのできない出来事でした。
事件現場は家のすぐ近く、犯人が逮捕されるまでは気が気ではありませんでした。
当時マサシはまだ怪我もしてなく、作業所に通っていました。
被害者が障害のある子供さんだったこともあって、いつ被害にあうかもしれないという不安。それと容疑者扱いされるのではという不安と両方ありました。
というのは、近所のあちこちに警察がパトロールして職務質問していること。どこかの障害のある人が職務質問されて逃げ出し、警察に連れていかれたということなどを聞いていたからです。
家にも刑事が２度聞き込みに来ました。
「どんな情報でもいいから、あれば話してください。」というものだったけど、２度目に来た時にはマサシのことを聞きたいような話ぶりでした。当時マサシは作業所が休みの時は、近所のショッピングセンターなどで当てもなくブラブラするのが日課でした。ひょっとして怪しまれたのでは…と思いました。
ちょうどよい機会なので、マサシが自閉症であること、自閉症はコミニケーションが取りにくいこと、状況を説明することなどが困難であるということをいろいろ説明しました。もし何か聞く必要があれば、必ず私が同席するということをお願いしました。
刑事さんも納得してくれて「とにかく犯人が捕まるまで十分気をつけてください。」と言って帰られました。

今回のニュースであらためて、犯罪捜査における知的障害者への配慮の必要性を感じました。
状況をうまく説明できなかったばかりに、冤罪になってしまってはならないことです。

　　　　　　　　　　　　　　⇒自閉症の不思議な世界ホームへ

新年を迎えて…

また新しい年をむかえました。
年をとると「また…」と思ってしまいますね。

マサシにとっては、いくつになっても年が変わることは大きな意味を持っています。
例年と同じカレンダー（LALの）を飾って、年間スケジュール手帳を買って新年に備えます。手帳は大きめサイズのもので、ほとんど記入することはないのに買うと言います。揃えておくということが重要なのでしょう。

大みそかは「紅白を見る！」と言っていたけど、早々に眠ってしまいました。それだけ、年を越すということに対してのこだわりがなくなってきたことかもしれません。以前は時計の針とにらめっこをしながら、カウントダウンを待っていましたから。

明けて元旦、機嫌よく起きてきました。
おじいちゃんが亡くなってから、お父さんと３人のお正月が続いています。家族が元気で新年を迎えられたことは何よりですね。ゆったりと、おせちとお雑煮を食べました。
マサシはおもちもおせちもいっぱい食べて、しばらくして胃もたれがしたようで苦しそうでした。胃薬を飲んで、しばらく休んでいたら少しずつ楽になったみたい。食べ過ぎには気をつけなくては…。

大みそかから元旦にかけて、強い寒波で寒い日でした。
あまり寒かったら初詣は後日にしようと思っていたけど、マサシは「元日に行く！」と固く決めているようです。例年どおりにしたいでしょうね。
ちょっと寒かったけど晴れ間も出てたし、昼からいつもの神社に散歩がてら歩いて行きました。
寒くても元日の神社はいっぱいの人！　でも一年の最初はお参りしたくなるものです。

今年はどんな年になるのでしょう。いいことがたくさんあるように、そして何より健康であるように！

　　　　　　　　　　　　⇒自閉症の不思議な世界ホームへ