散歩道

自閉症のマサシとの日常の出来事、感じたことなど思いつくままに書いています。

知的障害者への取り調べ

2011年01月25日 | Weblog
先日からニュースで報道されていますが、放火事件で起訴された男性に対して、起訴を取り消す処分がとられました。

この男性の弁護士が、取り調べの様子を記録したDVDの提出を求め、そこには検事の誘導による自白の様子が録画されていました。男性は何度も説明に詰まりながら質問をおうむ返しにする様子で、検事が誘導していたことが明らかになったようです。
知的障害者の取り調べには、弁護士の他に障害の特性をよく知る支援者の立ち会いを認めるべきだという意見が出ています。
本当にそうだと思います。
これは人ごとではなく、いつ自分の子供が同じ立場になるかもしれないという思いがあります。
もちろん、障害者であってもなくても犯罪を犯すことは断じて許されることではありません。
でも何もしてなくても、誤解によって容疑者扱いになることだってあります。
状況をうまく説明できない、おうむ返しでやってもいない罪を認めてしまうこともあるでしょう。

14年前、神戸で起きた児童殺傷事件は忘れることのできない出来事でした。
事件現場は家のすぐ近く、犯人が逮捕されるまでは気が気ではありませんでした。
当時マサシはまだ怪我もしてなく、作業所に通っていました。
被害者が障害のある子供さんだったこともあって、いつ被害にあうかもしれないという不安。それと容疑者扱いされるのではという不安と両方ありました。
というのは、近所のあちこちに警察がパトロールして職務質問していること。どこかの障害のある人が職務質問されて逃げ出し、警察に連れていかれたということなどを聞いていたからです。
家にも刑事が2度聞き込みに来ました。
「どんな情報でもいいから、あれば話してください。」というものだったけど、2度目に来た時にはマサシのことを聞きたいような話ぶりでした。当時マサシは作業所が休みの時は、近所のショッピングセンターなどで当てもなくブラブラするのが日課でした。ひょっとして怪しまれたのでは…と思いました。
ちょうどよい機会なので、マサシが自閉症であること、自閉症はコミニケーションが取りにくいこと、状況を説明することなどが困難であるということをいろいろ説明しました。もし何か聞く必要があれば、必ず私が同席するということをお願いしました。
刑事さんも納得してくれて「とにかく犯人が捕まるまで十分気をつけてください。」と言って帰られました。

今回のニュースであらためて、犯罪捜査における知的障害者への配慮の必要性を感じました。
状況をうまく説明できなかったばかりに、冤罪になってしまってはならないことです。

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