散歩道

自閉症のマサシとの日常の出来事、感じたことなど思いつくままに書いています。

障害者は危険?

2005年04月26日 | Weblog
先日エレベーターを待っていたら、障害者らしき人がやってきました。独り言を言いながら体をゆすっています。私の見たところ自閉症の青年のようでした。マサシと同じような年令の人。すると私のとなりにいた小学生の女の子二人を連れたお母さんが小さな声で「危ないから近づいちゃだめよ」と女の子に言っているのが聞こえました。別にその青年が女の子に近づいたわけでもなく、何かどなったわけでもないのです。ただまわりの人から見たらちょっと変わった感じ、奇妙に思えたのでしょう。最近子供が被害に合う事件が多発しています。このお母さんの気持ちはわからないわけではないけど、何かやりきれない思いでした。
エレベーターに乗って医院の薬局に行きました。するとその自閉症らしき青年も同じ薬局に入って、椅子に座っていました。そしてさっきの女の子二人を連れたお母さんもここに用事があったようです。そのお母さんが青年がいるのを見て、中に入ろうとしていた女の子を制止し、廊下にいるように言っていました。お母さんの青年を見る目つきはまるで犯罪者を見るものでした。さっきはお母さんの気持ちはわからないでもないと思ってたけど、この時とても腹立たしくなりました。人のことをどのように見ようと、とやかく言うことはできないけど問題はその子供です。障害のある人に対して「危ないから近づかないように」と教えられて育つ子供達です。「障害者が地域で共に暮らす」という理想とはかけはなれた排除する考え。特に自閉症の人は誤解されることが多く、マサシの場合もこういう思いをしたことは何度もあります。すべての人がこんな考えではないけど、障害者のことをよく知ってもらうことは必要なことだと思いました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お父さんの会社が…

2005年04月21日 | Weblog
お父さんの会社(小さな会社を経営)が破産しました。我家の危機です。経済的なこと、これからのこと、いろいろ考えなくてはなりません。そしてマサシにもそのことを話さなくては…。
会社がなくなったのでお父さんもしばらく家にいることも多くなるので、やはり事情は説明しておかなくてはなりません。そのことを話すと、やはり不安そうな顔をしていました。でも事情をわかるように説明するとマサシなりに理解し、納得してくれたようです。最近はかなり自分をコントロールできるようになり、いろんなことに対して適応できるようになってきました。3~4年前ならパニックになってたかもしれません。今までお父さんが平日に家にいることはほとんどなかったのが、いる日が多くなっても事情がわかっていれば納得しています。ただ、たえず予定を聞いてきます。今までなら朝家を出る時間、休みの日など決まっていたのが今は未定。家にいる日もあれば、出かけていく日もあります。だからいつも「明日のお父さんの予定は?」と聞いてくるのです。自分のスケジュールだけでなく、家族の予定も気になります。わかっていれば伝えられるけど、都合で先の予定まで決められない。だからたいていその日の朝「今日は家にいる」「今日は○時頃出かける」と伝えたりしています。
「給料はどうなるか?」とも聞いてきました。これからの生活が心配だったのか…。
とにかくこの件は何とかクリア。でもこの先最大の難関が待っています。家が担保になっていたので、出ていかなくてはなりません。つまり引越しです。これはマサシにとって大変なこと。環境が変わるわけですから。以前マサシが「僕はずっとこの家に住む」と言っていました。それを思うとつらいけど仕方ない。
まだマサシには言ってないけど、どう話そうか悩んでます。修羅場を覚悟しなくてはならないかもしれません。しばらく不安定な状態になることは必至です。でも人生は何が起きるかわからない。何とか試練をのり越えていってほしいと思っています。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

近所でお花見

2005年04月15日 | Weblog
家の近くに桜並木があります。買い物に行く途中の道なので、桜の季節にはお花を見ながら歩いています。マサシにも見せたいと思い、いつもの散歩コースをはずれて、ここを歩きました。「桜を見に行こう」と言ってもたいてい「行かない」と言うので、「桜の写真を撮りたいから、ちょっと寄って」と言ってみました。ちょっと不満そうだったけど、いやとは言わなかったので行くことにしました。いつもの散歩は歩くコースがきっちり決まっていて、それをはずしたくはないみたいです。この「いつもの」が一番いいのです。昨年も誘ったけど来なかった。
これだけ満開の桜の花は本当にきれいで、花にあまり関心のあるそぶりを見せないマサシでも、ちょっと見とれている風でした。心の中で感激しているのかな…。のぞいてみたい気がします。「わあ~きれい!」なんて感動の表現をすることはありません。
ついこの前開花したと思ったのにもう散りはじめています。桜吹雪の中を歩きました。本当に花の命は短くて…。でも自閉症の子をかかえていると、桜の花のように潔く散る、というわけにはいきません。枯れても枯れても長生きしたいと思います。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

段階的に慣らす

2005年04月06日 | Weblog
今の季節、散歩道は「乙女つばき」が満開。春先に咲くこの花は何となくやさしい気分にさせてくれます。暖かくなってきて、散歩も快適になってきました。マサシもテンポよく歩いています。
先日知らない人が「よくがんばってますね。いつも応援してますよ。」と声をかけてくださいました。うれしいですね。でもマサシは不機嫌な、迷惑そうな顔。こういう時はうれしいというより、自分のペースを中断されたことの方がいやなんだと思う。
散歩を始めてから歩く距離を少しずつ延ばしてきました。車椅子に乗って途中で何度か降りて歩く。この歩く距離が最初はほんの少しだったのが、今ではかなり長く歩けるようになりました。道には10メートルおき位にマンホールがあります。最初そのマンホールを目安に距離を延ばすことを考えていました。「今度は次のマンホールまで歩こう」と言うと決まって「歩かない!」と拒否します。いつも歩いているところまで、と決めているところがあって、なかなか先に進めませんでした。そこで何も言わずにほんの少し、1メートル位先で車椅子に座る、というようにしました。何日かするともう1メートル先…とこれを繰り返して、1ヶ月ほどしたら10メートル位先まで歩けるようになっていました。段階的に慣らしていったのです。この方法は他のことに関しても効果があります。次のステップに進むことがむずかしいマサシに対してはこの徐々に慣らしていく方法は効果的です。最初の頃「座る!」をたえず言っていたのが、今ではあまり言わないでがんばって歩いています。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする