三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 8月13日 (R・T)ロータリー・トラバース

2015-08-13 | メンテナンスお気楽日記
                    輸入原糸(残り) 撚りを掛けたり加工したり、糸の材料?です。

「ロータリートラバース」別の言い方をすれば「ドラム・ワイインダー」です。

糸を左右に振る為の機構です。糸はドラムの溝によって左右に往復運動をします。
特長は、構造が簡単・高速運転が可能で音も静か。構造が簡単ってことは、維持費、故障も少ないって事です。
欠点は、溝の角を糸がこする為、糸自体にころがり撚りが発生します。加工糸ならあまり影響がない。

もう一つの方法は「コニカル・トラバース」です。こちらは糸口ガイドをカム機構などによって
直接、左右に往復運動します。だから、平糸や撚りのない糸(少ない)に適しています。
又、綾幅を変える機構もあり、パイナップル巻きで綾落ちが出にくい形状にも出来ます。

ところが、カム機構を動かす構造が大掛かりになり、その他の機構との兼ね合いも複雑です。
当然、スピードも遅くなり、高速にすればカムの衝撃音?も気になります。現在の問題は、
取扱い作業者が高齢になり、後継者への伝承もなく、メンテナンス職人も極端に少ない事です。
いくら便利な機械でも、使いこなす作業者(部品も)がいなければ、宝の持ち腐れです。

高度成長期には、なんせ生産性が求められ、高速機 及び多錘機による作業が行われていました。
時代の流れ?で、量産は海外シフトに流れ、国内需要は高度加工や特殊加工で生き残りを掛けています。
当然、注文ロットも少なくなり、高度加工のため手間が増え、加工スピードも上がりません。

でも、ぜったい仕事が無くなる事はなく、需要は国内繊維産業を必要としています。
原糸ならともかく?加工糸を海外輸入に頼るのはリスクが大きすぎる。もし何かがあっても対応に
時間が掛かりすぎ、操業すら危うい。その為にも、国内産業の存続は重要な課題でもある。


話がズレそうなので、トラバースの話題にもどします。
糸には、その糸に合った(必要とされる)加工方法・対応があります。単繊維・長繊維ではまったく
性格が違うし、それに対応した機械も存在します。材質・番手が変われば、それに合った加工方法がある。

糸を紙管に巻きつければ、準備工程が完了?する。それならば誰だって出来る?
そこには、次加工のための最良の条件(形・硬度・量)で提供することが、求められます。それが仕事です。

綾落ちやオニ綾があれば、編み機や整経機は停止します。硬度が固ければ糸の伸び癖が生地に出てきます。
その為には、次加工を理解した適切な「捲き加工」が必要とされ、その為の方法ってのもあります。


さて、先週、移設したソフトワインダー。
組み付けを終了し、「汚れ確認とならし運転のため、不要な糸で練習して下さい」って帰ってきました。

二日後「全然、捲けない。ドラムに巻きついて仕事にもならない!」との連絡が入りました。
最終確認のこともあり、再度工場を訪ねた。  「!!ン」「何を巻いてるの!・・・」

そこにあるのは、フィラメント原糸でした。この時節短繊維は無いにしろ、加工糸との思い込み。
一昔前なら、エステルでさえコニカルワインダーでなければ捲けないなんて言っていたのに・・・

生産性を上げる為、あえてドラムワインダーでの挑戦。テンションとスピードを調整し、糸の屈折角度
にすら気を使う。クロームドラムをアルマイトドラムに交換する設備投資までした工場もあった。
ドラムワインダーでエステルを巻ける様にする為は、それなりの対応・改造が必要です。

「フィラメント原糸は、コニカルトラバースで鍔付きボビンに捲く」こんな常識?さえ伝わっていない。
いくらヤル気のある人間がいたとして、技術の伝承が途切れていては、今更ながら、その損傷は大きい。


今日は、文章が支離滅裂。あっちの話こっちの話。これ以上書いても長くなるだけ。
タイトルで〆ればイイのだろうが、なかなか区切りが見つからない。

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