三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 9月30日 専用ワインダー

2015-09-30 | メンテナンスお気楽日記
                     鳥居製・4吋ペンシル紙管・クロスワインド仕上げ・定長装置付き

三筋ワインダーの特長は機構が単純?な為、ドラムとジスク(紙管おさえ)を交換すれば、
同じ機台からでも、極細の合繊から、絹・綿・カセ染めのベビーニットまで対応できます。

ドラム幅は6吋が主流ですが、4吋・5吋の小幅タイプも使用できます。ドラムの溝の切り方によって、
チーズ(平行巻き)コーン(テーパー巻き)が選べます。ニット仕上げは9°15′紙管です。
8吋10吋ドラム対応の場合は、機台幅が大きくなるので、別仕様のフレームが必要です。

だから、中古機依頼でも、客先の仕事仕様に合ったワインダーを組み上げるのは簡単?です。

只、ドラムワインダーの弱点である、パイナップル巻きやスプール(片つば)巻き、そして
クロスワインド(ミシン糸巻き)には対応出来ません。あくまでもドラム幅のトラバースが基本です。


ところが、ワインダー問い合わせの半数?は「専門ワインダー」を希望しています。

各工場が専門仕事をこなす為のワインダーを探しています。当然といえば当然なのだが
「専用ワインダー」に関しては、約四半世紀、製造されていないと考えた方がイイ。まず作っていない。

「専門ワインダー」とは、その糸・その形状に巻くためにだけ、製造された機械です。
だから三筋のように簡単に仕様改造する訳にはいかない。言えば、その仕事だけしか出来ない機械です。

客先とすれば当然の希望であっても、その仕様に合った中古機械情報はなかなか出てこない。
仕様改造できれば、修理整備ができればとも思うが、もう部品製造もできないのが現状です。

何か月か前、欠錘整備のため、見積もりを挙げてもらったが、とんでもない価格だった。
結論としては、部品取りとした方が価値があるとの結果となった。イタリー撚糸機の部品においても
同じような方法が取られている。部品取り専用機?の確保です。

専用ワインダーは必要な設備です。もちろんこの時節、作って作れないことは無い。
ただ、1錘30~50万の設備投資で償却・元が取れるか?というと、厳しい以上のものがある。

対応は、時間がかかっても中古情報を待つしか手がない。新機注文でも納期は4~6ヶ月かかる。
価格にすれば1/5~1/10。ヘタをすれば経費(運搬費)の方が高価の場合もある。


欲しくても無い機械、安くても見つからない機械、それが「専用ワインダー」の中古機です。
三筋で対応できるなら、こんな苦労もいらないのだが・・・

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ



メンテお気楽日記 9月26日 奈良の鹿?

2015-09-26 | メンテナンスお気楽日記
動物の「鹿」の話ではありません。りっぱな?お仕事の話です。

「なら」は○○工場なら出来る仕事。「しか」は○○工場しか出来ない仕事ってことです。
ひらがなで「なら」「しか」って書かないと、意味が伝わらない。日本語ってオモシロイ。

販売店の方は大型店舗にどんどん圧巻されてきた感じだが、生産工場の流れはどんどん専門化されています。
「何でも出来ます、作れます」って工場は、まず無いと考えた方がイイ。もちろん糸編工場も同じです。


自分が出入りしている鉄工所にしたって、今は四軒と取引きさせていただいています。
旋盤加工が得意な工場、アングル溶接が出来る処、薄物加工が出来る処、それと特急加工が依頼できる
機材店です。以前は一軒の鉄工所に頼めば大半の加工は出来た。野加治と言うより、横のつながりだろう。

先日、板バネ製作の依頼がありました。出入りの鉄工所に聞いても、それらしき情報がありません。
ネット注文って方法もあるが、やはり「ものづくり」は顔を見て・モノを見て依頼したい。(古いのでしょうか?)
検索で「バネ」を調べて、割あい近くの工場を初めて訪ねたが、そこは大手企業の委託加工のみでした。

でも、事務員から「○○なら作ってもらえるかもしれない。いや、もう○○しか出来ないだろう」との助言でした。
もちろん、車を走らせ工場を訪ねました。バネ板の厚さを手で確認し、納期や価格の見積もりもいただきました。


鉄工所に話を戻すと、こんな話があります。
先輩職人が広告?の裏に書いた絵をもって、鉄工所を廻ったが誰も相手にしてもらえません。
もちろん鉄工所は代替わりしていて、NC旋盤やコンピューター制御の加工機械が仕事をしています。

「こんなモノを作れないか?ここをこうして、ここはこう」でも図面と数字がなければ動き様がない。
以前は無いモノを作ろうとすれば、鉄工所のおやじがいっしょに考え、加工アドバイスも得ることが出来た。

もう「昔ばなし」だと言ってしまえばお終いだが、ひらめきやアイデアを数値化・図面化するのは難しい。
加工途中でサイズの変更や加工方法の変更なんて多々ある。それも開発手段でもある。


すべての原因は注文数の減少にある。ものづくりの世界は加工してナンボの世界。
注文が減ったから、依頼が少ないからと言って、極端な価格操作も出来ない。それ以上に安価が求められる。

対応しきれない工場は廃業の道を選ぶしかない。後継者に苦しみを伝承する訳にはいかない。

もう一つの方法は、専門加工である。自社の得意技術・自社設備を最大限に生かして、生き残りに賭ける。

専門加工のメリットは、技術の熟練・知識の蓄積・加工機の充実・材料費のコスト・維持費の縮少など、
肝心ポイントなのは、客数をいかに広く確保するかで、そのための「口コミ情報」がカギとなる。

その口コミ情報こそ「○○なら、○○しか」なのです。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ


メンテお気楽日記 9月24日 「組合」って・・・

2015-09-26 | メンテナンスお気楽日記
                      検査協会(繊維の断面やフィラメント数を確認しています)

小松撚糸組合の二階には「検査協会」があり、生産糸の撚り数確認や伸び強度測定、熱応力測定など
して貰えます。加工前のデシテックス確認も大切な作業です。(不安があるときには)

毎週、木曜日には金沢の工業試験所から「専門技師」が派遣され、事故糸(生地)の原因究明や
繊維分解など、より専門的?な指摘やアドバイスを受けることが出来ます。

だから、忙しい?工場主は金沢まで足を運ばなくても、木曜日には検査結果やアドバイスを受ける為
糸や生地の持ち込みが増えます。その機をねらって(用もないのに)顔を出すのが、三筋の常です。


問題(気になるのは)は一階の「撚糸組合」です。事務所の前を通っても理事や事務員が机に座っている
姿しか見かけない(言い過ぎ?)一応、応接セットもあるが、相談者の姿も見かけない。

組合ならば、最低工賃の維持や専門加工工場の斡旋等などして欲しい処だが、この時期、厳しい以上に
無理な課題であることも重々理解している。だからと言って、動きがないのもさみしい(オカシイ)


繊維業界が不調だから、組合の仕事(意味)も少なくなる? まったく逆だと思わなければならない。
不調だからこそ、組合の意味・存在が大切になる。悪あがき?は一人でしても意味がない。
「繁栄期は美味しい処だけ・・」そんな思いも組合員の中からも聞こえて来る。

じゃ、何をしなければならないか?もちろん全員でケツを捲くる勇気もチカラもない。
今、出来る事は「組合」の存在を再度知ってもらい、組合員に「元気」を提供することが大切だと考えます。

簡単に言えば、各工場の従業員の合同一日バス旅行の企画でもイイ。人と人のふれあい・出会いがなければ
話題にも解決にもつながらない。もちろん組合員への業界情勢や新繊維の「勉強会」も出会いのチャンスです。

「組合」の強さは、市・県・国とのパイプです。利用できるメリットはどんどん活用すべきと思います。
組合だからこそ出来る人の情報、技術の情報、支援の方法がある筈です。もっと活用して欲しい。


要は、せっかく「組合」ってものがあるのだから、人と人との出会い・ふれあいを演出することが第一歩です。
人が集まれば、問題を探り、解決するチカラも見えてくるというもの。それが「元気」の元です。

一人では解らないこと、解決しないこと。人の意見やアドバイスがあれば、意外と一歩前に進めるものです。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ


メンテお気楽日記 9月18日 産廃事情(繊維処理)

2015-09-18 | メンテナンスお気楽日記
産廃企業からの連絡でした。「先日の巻き込み装置、生地が動かないのだが・・・」

確か、確認作業ではちゃんと生地を送り込んで作動していたのに?、反対に巻き込みスピードが速いと
ローラーに生地を巻き込んで噛んでしまうので、改良対策を考えていた。


さっそく作業現場を訪ねたが、そこで掛かっているのはカーシート用?の丈夫な生地だった。
目が詰まっていて、さわりも良い。それが何十?メートルと続くのだからズッシリと重い。

ローラーには当然滑り止めのスリップテープ加工を施したが、それでもカラ回りしている。
押えローラーの圧力不足かと思い、手で押さえ込んでみたが、今度はモーターが止まってしまった。

この生地の場合は、ちゃんとした?ギアモーターを使用して、接圧もそれなりのモノがいる。

「以前の生地とは随分違うネ。この手の製品もこれから入って来るの?」「依頼があれば何でも・・」


考えれば「産廃屋さん」が同じ品質の製品で作業するワケがない。処分イコール不良品(C級)だから。
不良品率は製品の何パーセント以下?とすれば、製品の数だけ色んな種類に対応出来なければ・・です。


素人目には「産廃屋さん」に持ち込まれる製品?はとても「もったいない」感じがします。
「どこが悪いの?」そんな感じです。でも、それはまぎれもない不良品であり不良在庫なのです。

以前、福井のネーム工場で、自社工場内で不良製品を粉砕処理しているのを見かけました。
それは、不良品を一歩たりとも社外に出さないという、徹底した品質管理のあらわれです。

でも大半の工場では、C級・検査外製品は倉庫に終われてしまいます。処理経費というよりも
処理の方法が解らないといったところが正解です。それに対応する仕事が「契約産廃屋」さんです。

だから、産廃ルールは非常に厳しい。もちろん社名の解かるモノ、出荷先も口に出来ません。
いくら「もったいない」と思っても、そのままの形で処理することもご法度です。

捲き糸ならばカットして、生地ロールも巻き戻してプレス処理されます。破砕機もあります。
産廃屋さんから出荷される時には「原材料」の形としてしか出せないのがキマリです。

だから、産廃屋さんには「専門処理」があります。鉄クズ・プラスチック・繊維・コンクリ・木材。
それらが、各専門工場でさらに細かく分類されます。鉄ならばイモノ・アルミ・鋼板・ステンなど。

自分が出入りしている工場にも、スゴイおばちゃんがいます。
糸をライターで焼き、臭いと炎?ですべての糸を分類します。ポリ・レーヨン・ナイロン・綿・ウール。

不純物がいかに少ないか?が原材料の価値であり、さらに精製工程といった別工場もあります。
「産廃運搬」のトラックを多く見かけるのも、それだけ多くの産廃があり、仕事があると言うことです。


「産廃」に関しては、まだまだ書き足りないウラ話もありますが、要は
「経済・生活・ものづくり」は決して一方通行ではなく、回転しているからこそ動くのです。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ


メンテお気楽日記 9月15日 凝り性が裏目?

2015-09-16 | メンテナンスお気楽日記
スイッチを入れた瞬間、装置全体がガタガタガタと揺さぶりだした。

機台が小さい分(30㎝角)安定感がまったく無い。それと棚板アングルで組み立てたフレームは
モーターの重みとシャフト・ピロの重みが頼り。さらに、糸を巻き上げる羽根にロングボルトを使った
ことによって、機台から飛び出した回転部のバランスが極めて難しい。

さらに、さらに?一番の原因は、良かれと思って作った羽根の折れ曲がり装置。
処理糸が道具を使わなくてもスポッと抜ければ、便利だと思い、細工加工した。

組み付けて動きを確認。押えバネを操作しなくても、羽根の先端を下に押すだけで羽根は小さくなる。

と、ここまでは動いて(回転して)いない時の話。


あわててスイッチを切り、考え込む。早過ぎるのか?回転を抑えれば、どうなるのか?
今更、100V用インバーターなんて用意出来ないし、プーリー減速も加工が大変。

取りあえず、羽根部をはずして再度スイッチON。それなりの動き。スピードも作業性を考慮すれば
これくらいの速さはいる。やはり、羽根部のバランスと軽量化がポイントにようだ。

そう言えば、旧型(産業用)木製羽根のカセ揚げ機にも、縮めネジの反対腕にはバランサーが付いて
いるのを見たことがある。木製がゆえに一台一台のバランス調整が必要だったと推測できる。
タイヤ交換の時だって、作業員が一本一本バランスチェックしているのを見てたはずなのに・・・


絵を描いて、装置を考え、製作する。それだけで満足していた自分にあらためて反省。
装置は、動いて、作業が出来て、尚且つ、安全に効率よく稼働しなければならない。

そのための知識や知恵ってものが、これまでの産業機械のなかには組み込まれている。
目には見えない材質や加工、バランスや張力と言った微妙?なものも影響してくる。

今回の製作は、どっかの国のコピー機械と同じ?外ズラはそれなりに・・・ってとこかな?
いくら立派?で安くても、使えない機械。(もう、中古市場に出ている情報も有り)


ともあれ、気軽に返事してしまった「紙管残糸処理装置」
このままでは納品出来ない。もう一度いろいろ考えながら、納得できるまでお預けとなります。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ