三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

ご報告

2018-06-23 | ご報告
お世話になっております。

三筋北陸 吉田清志の長男です。


突然のご報告となりますが、昨日6月22日 父吉田清志が急逝いたしました。
兼ねてよりご親交ありました皆さま、仕事関係者各位に対し
家族一同厚く御礼申し上げます。

この場を借りましてご報告とさせて頂きます。

作業中の事故での急逝で自分含め家族共々現状を受け止め切れていない状況でございます。


また、三筋北陸の業務は父が一人で行っていたため仕事関係者様のお名前連絡先等何もわからない状態でございます。
加え、現在お仕事を頂きお待ちいただいている方々へも対応が出来ない状態でございます。

恥ずかしくもそういう状態にあり関係者様へご連絡できない状態ですが父の仕事を待つ方々が数多くいると自負しております。
このブログを閲覧いただきました仕事関係者の方々、出来ればこの報告を拡散していただくようお願いいたします。

事故状況や通夜等の予定に関してはブログ上での公開は控えさせていただきます。
本日の新聞および明日の新聞にてご確認ください。(中日・北國)
現在お電話での対応が出来ません事ご容赦ください。



末筆ながら、仕事一筋精一杯の父の事を心の隅に留めていただければ幸いです。


平成30年6月23日  吉田家一同

メンテお気楽日記 6月17日 世代格差

2018-06-17 | メンテナンスお気楽日記
いまだに?ガラケー携帯が使いやすいと信じているおっさんは、「アナログ」こそが「ものづくり」の
原点だと信じて疑わない。と、言うより見えない信号?で、モノが動くのが理解できないでいる。

インバーター変速装置が便利なのも、身をもって解ってはいるが、まず、高い装置だと言う前に、モードボタンや
セットボタンを、どう押せばどう動くのか、理解する前に、ためらってしまう。

ところが、定価は定価として、ネット価格が誰でも簡単に知ることができる様になれば、使わない手はない。
モーターカバーを外し、Vベルトのカス?で手を真っ黒にしての変更。それがボリュームダイヤルを回すだけ。
確かに、簡単以上に、便利です。


世の中の「動き」がすでにボタン操作だけになっているのは、受け入れなければいけない現実でもある。
自動販売機の類どころではない、ETCやスーパーのレジなどは、ボタンも押さずに通る?だけで・・・

テレビのガチャガチャチャンネルから始まり、今では当然の様に?リモコンで操作している。
電話に至っては「ダイヤル式」なんて言ったら、不思議な顔をされてしまう。固定電話も商い用でしかない?

そもそも、30・40代にとっては、アナログなんて使ったことも、見たこともない世代です。
いくら、景気がどん底だと言われながらも、新製品・新商品は次々と、世の中にあふれていた。
スマホが使えない事は、我々にとって?電気が使えないと、同等に思っても過言ではないかも知れません。


もちろん、苦言や心配もあります。「ボタンを押せば、何でも出来るなんて、大間違いだょ」って事。
ところが、今の世代には、それが出来てしまう、知識や環境があります。ネット検索・ネット情報・ネット販売です。

先日、能登の製紐工場を訪ねました。三代目からの問い合わせでした。ワインダーを改造したいとの事でした。
事務所で話をしていたら、傍らに小さなアームロボットがありました。中国製でプラモデルの親分って感じ
モーターをオリエンタルモーターに交換するとの事です。3Dプリンターも買ったとの話も聞いた。

3Dプリンターで作った部品も見せてもらった。けっこう細かい仕上がりに納得。
「親父の機械の、部品メーカーもないから、自分で作っている。必要な分だけ作れば良い」

簡単に言うけど、データーやプログラムは?それに抵抗ないのが、次世代の強みか?
自分はと言うと「作っていない。作れば高い」グチは出るけど、自分で作ってしまうという発想までいかない。

コニカルトラバースの話もしました。リニアやクランク作動による「直線往復運動」は巻き糸に利用した際、
反転時間が鍔高になる欠点があるのだが、昔からハートカムや特殊溝カムでしか対応できなかった。

「スライダーでもロットでも、データーを入れれば、きれいに巻けるョ」って事だったが、まだ自分の中では
チンプンカンプン。何でも、モーターのスピードをコントローラーにインプットすれば・・??・・ンー。


ともあれ、前を見て進めるのが「次世代」の強みです。どうしても、おやじ達は、後ろを振り返ってしまう。
それを「経験」と言うのだろうが、そこから出る言葉はグチでしかない。子供には、失敗させたくないという
気持ちが、頭を押さえてしまう。親心が足かせになってはいないですか。

「かわいい子供には、旅をさせろ」でもないが、失敗を見守ることも親の大切な役目。それが本当の「伝承」
ではないかとも思う。失敗があるからこそ、前に進めるし、開発もされていく。
失敗しない二代目・三代目は「ボンボン」と言うそうだ。

最後に、やっぱり、「ボタンを押せば、何でも・・」何か忘れている。不安です。心配です。


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メンテお気楽日記 6月9日 染色ムラ

2018-06-11 | メンテナンスお気楽日記
                          レーヨンカセ染めからのコーンアップ外注工場

見せられたのは、チーズ染色のボビンで仕上がった、青色の糸です。外層と内層は青色ですが、
中層は空色です。染色液が浸みこまなかったと考えられます。

まず、前巻き硬度が硬すぎかとも考えましたが、染色仕上がりは、けっこうフワフワです。
糸は、越前和紙を撚った糸らしく、染色液の浸透性にも、問題があるのかもしれない。

色誤差の違いに、うとい自分でも、はっきりと誤差が解るということは、製品づくり以前の問題です。
相談されたのは、ワインダーでのソフト巻きと言うより、カセ染工場の現状と紹介です。
委託した染色工場には、カセ染設備がなく、特に、パルプ染色となると、かいもく見当が付かないとの事。


自分が出入りしている染色工場でも、カセ染設備は限られています。それもレーヨン糸とか綿、ウールなど
少ロット対応?なので、規模も小さく経営も厳しい?そこに、パルプ素材の持ち込みも考えてしまう。

エステルなど、低加工賃を要求される染色工場では、チーズボビンによる一括染色が当然の流れになっている。
それも、ロットを確保出来ての話で、少ロットだから高加工賃なんて話も聞かない。オカシナ話でもある。


ともあれ、カセ染設備のある染色工場に相談しなければ、話は進まない。
カセ染という事は、準備工程がまったく違う。ソフト巻きワインダーの代わりに「カセ揚げ機」が必要です。
カセ輪が揚がれば、一綛に3・4箇所綴じ糸で止め、自動回転機の中で染色。そして、乾燥だけでは終わらない。

それを今度は、カセ糸をマイ輪に掛け、コーンアップしなくては、客先希望の商品にはならない。
これには「職人わざ」が必要です。簡単には覚えられない「なれ」が必要です。「さばき」や「口糸出し」など。

正直なところ、もう高齢者しかお願いする処がありません。いくら紹介依頼されても、無理なのも現状です。
絹撚糸工場からも「カセ揚げ工場を探して欲しいと」言われますが、正直「綴じ糸」を扱える人がいない。


ともかく、染色工場で、カセ染め試験をお願いしたところ、話が少し違って来た。
カセ染めには問題はないが、「カセ繰り」が心配との事。カセ輪からの解除には多少の張力ムラが発生する。

三筋ワインダーのカセ繰り工場でも、テンションウェイトがピョンピョン飛び跳ねているが、これがテンション
ムラが発生している証拠でもある。解除ムラを梨地棒で抑える方法もあるが、巻き硬度は固くなる。

社長の心配は、そのテンションムラに糸が耐えられるかという点だった、確かに和紙糸?は抜けやすさも感じた。
ボビン給糸の場合ならば、問題はないだろうが、カセ染めには、カセ枠ならではの、課題もある。

提案は、やはりボビン染色だった。直接染料や反応染料など、難しい?方法は解らないが、「餅は餅屋」
お任せするのが正解だろう。ビーカーテストの多少の時間は必要との事だが、解決しなければ、事は進まない。


今回の結論も「餅は餅屋」でした。知ったかぶりでは事は進まない。疑問や知らない事はドンドン人に聞く。
そのためには「人脈」が必要となります。パソコン検索では、けっして、背中を押してくれる事はない。

仕事というのは「頼り、頼われる」からおもしろくなるのです。一人では、なかなか答えが出しにくい。
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メンテお気楽日記 6月6日 餅は餅屋(その二)

2018-06-07 | メンテナンスお気楽日記
もう、そこいらじゅうで「餅は餅屋」の話にもなっているし、自分も口をスッパクして言っている。
ところが、「餅屋」がなくなっているのも、歴然とした現実で、これからも、まだまだ続くだろう。

その餅屋さんの機械?にも関心があるけれど、その技術(味)が受け継がれない事が、問題というか課題。
機械が残れば、味が残せるというものでもない。繊維産業も機械だけでは、ゼッタイ成り立たない。

話の結論?は「撚糸屋は撚糸屋、巻き屋は巻き屋、染屋は染屋」と口をそろえて言うのだが・・・
プライドやこだわり以上に、その工場・工場で培われた技術や技量がある。マニュアルは存在しない。

「ボタンを押せば・・」これも、そこらじゅうで聞く言葉だが、ボタンの押しかた一つでも違いが出て来る。
接点ノイズが誤作動の原因になったり、弾み運転には、それなりのテクニックがある。


自分の倉庫にワインダーを探しに来る半数は、ワインダーを使ったことの無い人です。糸道から教えます。
これまでは、染糸をコーンとして買っていたり、分割を外注工場に委託していた、工房や工場さんです。

餅屋さんがなくなり、必要に駆られての問い合わせです。もちろん、話が進めば、技術指導もしますが、
100のテクニック(餅屋の技術)を何時間や一日で、伝えるなんて、しょせん無理な話です。

一番困るのは、「商社設備」と「工場内設備」です。それこそ、「ボタンを押せば」の問い合わせです。
外注工場や委託工場の技術や苦労?を、理解しないまま、設備ばかりの話が持ち込まれる。

いくら担当者を紹介されても、使いこなす意欲(自分で考える)を求めるまでには、至らない。
そりゃ、その機械で生活を支えるか?会社から給料を頂くか?の差は、い止めない。

餅屋の話をすれば「サトウの切り餅がある」との話にもなるが、何か、大変な間違いの、気もする


先月「イタリー撚糸の小型試作機」の話が出ました。
機台プランや備品確保には、ポンポンとアイデアやアドバイスが出てきたが、撚糸屋に言わせると「綾くずし」
あってのシリンダー巻き上げと言います。単なる、トラバース機構だけでは、仕事にならないとの事。

他にも、糸繰りやボビン繰り。それ以前に下漬けや脱水・乾燥。活性剤に何を使うかによっても糸が変わる。
撚台で、糸が撚り挙がったとしても、撚り止めをどうするのか?温度や時間によっても、糸の性格が大きく変わる

もっと言えば、撚り数だけじゃない。フライヤーの選択もしなくてはならない。

それこそ「ボタンを押せば・・」の機械を望んでいるのは理解できるが、仕事って、そんなモノではない。
「撚糸屋が糸を作る」「機械屋が機械を作る」これだけでも、知らなかった事の多さに、戸惑った。

最後に「餅は餅屋」その中にも、草餅の美味しい店、豆餅の得意な店がある。イチゴ大福だけが売れる訳でもない。

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メンテお気楽日記 6月4日 すごい!部品もある(あった?)もんだ。

2018-06-04 | 中古機台
まずは、写真を見て下さい。ボビン繰りの「12本合糸の糸口」です。廃業工場で見つけました。

燃台や、準備機はすでに、整理されていましたが、ワインダーは取り置きを依頼してあったので、搬出のため、
解体屋さんのトラックに付いていきました。案のじょう、ワインダーはホコリだらけでした。

絹撚糸さんだったという事で、機台はセリシンかすで、真っ白?ですが、スパン糸工場の糸ボコリが絡み付いた
機台より、分解・整理しやすい。ワインダー機台としては厳しい状態だが、部品取りとしては、充分価値がある。

一番欲しいのは、原動部カバーとモーターブラケット。12錘機で3・6錘機を作れば、当然、原動部がない状態
です。原動部さえ確保できれば、あとは客注仕様に応じて、何とでもしようが見えて来る。

他にも、けっこう必要な部品も確保できます。シャフトのエンドカバーやフレームエンドは一台に一個の部品です。
さすがに、糸道ガイドやベアリン部は選別が必要となります。ブラケット等は、塗装整備すれば、再利用できます。

今回は、絹撚糸用ドラムと聞いていたので、下見もしないで乗ってしまったが、ドラムの状態によっては、利益率が
大きく変わって来る。そのまま使用できる状態なら、オイシイ話?ですが、まず、無理な現状と考えなければならない


と、まあ、ワインダーの中古機状況はここまでとして、
廃業整理工場には、燃台のベークライト製ボビンやカセ繰りHボビン、3°30′紙管しか残っていない状態。
解体屋さんによって、鉄・イモノ・アルミ関係はすべて処分されている。哀れな(寂しい)状態でした。

平安油脂の箱、碓氷製糸やブラタクの段ボール箱には、ボビンが放り込まれ、山になっている。
「250g用のA型Hボビンなんて、わざわざ探して欲しいとの依頼もあったのに・・」今となってはゴミ?ですか

平安油脂の箱(これがけっこう、扱い易い。容量が一人で持てる大きさなので、各所で見かける)の中には、
唐津やアルミナ製ガイドも入っている。これもゴミ?かと思ったが、他機料店からの取り置きだった。

これが、そんじょそこらで見かける合糸部品ではない。大抵は3~5本合糸用だが、12本なんて見たこともない。
必要だから作った?とも考えられるが、今、作れるか?と言ったら、まず、無理と考えた方がイイ。
自分では使う予定もないが、資料として持ちたい「一個いいか?」って聞いたら「いいょ」。そんなモノなのか?


同じような部品は、これまでも何点か見てきた。木製シャットルのテンション装置なんて、極の技術。よく、こんな
細工が出来るものだと感心する。三英測器の機械式測長器も、もう作る事は出来ないと思う。残念というより惜しい。
写真の片隅に入れた、梨地ワイヤーのゲートテンションも、もう作っては貰えないだろう。


今は、極小加工は、プログラムで作るらしい(チップの配線等)が、100個200個では、無理からぬ世界である。
それを、人間さまが作ってしまうのだから、驚かずにはいられない。そんな技術が日本にあったという事です。

指先で加工精度を確認する職人もいる?オシロスコープで確認する職人もいる。両方とも「技術」です。
目的は「必要なモノを作り出す」その一点です。昔話を嘆くより、今、できる事を知る方が大切です。

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