三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 5月25日 雇用と人件費。そして技術の伝承

2018-05-25 | メンテナンスお気楽日記
                            5月の法然院。お気に入りの一枚です。

「雇用」とは、人の力を借りて、仕事を成し遂げる、手段でもある。
しかし、現場からは「人件費を払うと、儲けが無くなつてしまう」の声が切実。

確かに、工場で女工さんの姿を見ることが、極端に少なくなってしまった。
特に、中小企業では、若い?女工さんの姿を見つけることは、まず、無い。
設備は充実しているのに、家族経営が多い。それも、老夫婦?だけの作業となっている。


何年か前の○○ショック、その後のデフレ対応。一度下がった加工賃が、元に戻る?事は厳しい。
もちろん、海外生産による「ロットの減少」も大きな原因だが、少ロットだから割高工賃って事も
厳しい現実。儲けが確保できなければ、雇用は出来ない。タダとは言わないが、家族で対応。


そもそも、一つのモノづくり(製品)に関わっている人数なんて、計り知れない。
繊維産業で言えば、一枚の服が客先に届くまでには、糸づくりから始まり、撚糸・染色・生地づくり、
そして縫製。各工場にも専門加工委託もあり、それに、流通・卸業をはじめ、デザイナーも関わる。

天然繊維に至っては、羊毛の飼育?、綿の栽培、お蚕さんを飼うためには、桑畑も必要となります。
先月、訪ねて来てくれた、茜染の工房さんは、茜畑で苗を育てる事業もやっているとの事だった。

「モノづくり」が一人の力でも完成できるなんて、大きな間違いです。見えない、材料づくりや
加工技術。それらの一つ一つ、一人一人が仕事として、生業(なりわい)として生活している。


「産業城下町」と言われる地域があります。いわゆる「産地」です。
そこには、同業他社や関連業者・工場が集まっています。専門加工工場も多くあります。

単に、同業者が多い訳でもありません。各工場には工員さんや女工さん。その人たちの技術が凄い
のです。笑い話でもないが、社長は言いたいことを言っているだけの役割です。

よく、伝統工芸の後継者がいないって話も聞くが、その仕事をしたいと思っている人は必ずいます。
只、儲からないから、二の足を踏んでしまう。あこがれや理想だけでは、飯が食えない現実がある。

それと同じことが、工場でも起こりつつあります。技術者が高齢退社してからの、雇用募集。
これでは、技術が伝承されるワケがありません。技術者が技術を教え、伝えていくのが大切です。

育てるための雇用なんて、大袈裟かも知れないが、企業が生き残るためには大切かと思います。
その為には、社長の仕事は、工員の技術を少しでも高く売る事です。社長自信が作っては黙阿弥です。

人を雇ってこその企業であり工場でもあるとも思います。それが技術の伝承ともなり、生活の糧です。

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