三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 3月31日 電気屋さんじゃ、ないんだけど・・・

2016-03-30 | メンテナンスお気楽日記
メンテナンスの半分までとは言わないまでも「電気事故」の確立は大きい。
「機械が止まってしまった。」「モーターがうなっている。」「節取り装置が作動していない。」
スパナより先に、テスターが必要なことが多い。「電気が原因」と帰るわけにもいかない。



そもそも、ドラムワインダーで糸を巻く場合には、鬼綾(リボン巻き)が発生します。女工さんが大勢?
いた頃は、いち早く目で確認して、トントンと手を掛ければ、鬼綾を消す方法もありました。

先代は、発売間もないツインタイマーとマグネットスィッチを組み合わせて、スリップ式リボンブレーカーを
作った。自分がこの仕事に入ったころには、撚糸屋さんのワインダーには、当然の様に組み込まれていました。

ところが、マグネットの接点が5~6秒に1回ON・OFF繰り返すのだから、装置の寿命は3年と言われました。
北陸の撚糸屋さんが多いこともあり、自分の仕事はマグネットスィッチの交換に追われました。

自分の代になり、今度はソリッドステートリレーを使った「無接点リボンブレーカー」を作りました。
故障も少なく、何より接点音がしないため、すぐに普及しましたが、壊れない機械は売れない?メンテナンス
お呼びも極端に減り、よろこんでイイのか?悲しまなければイケナイのか?複雑です。


その後も、スィッチを切らなくても勝手に止まるタイマーから始まり、定量カウンター代わりのデジタルタイマー。
細番手の糸が出てくれば、プーリー交換もままならないので、インバーター装置の依頼などがあります。

でも自分は電気屋さんではありません。工事士資格もありません。あるのは電気屋さんより多い工具と装置。
だから、機械に組み込む「装置」は作るけれど、入力部は「仮配線」で試運転して帰ってきます。

本当はブレーカーまでの配線もきれいに、まとめたいのだけど、工事士仕事(けっこう高額)は出来ない。
再度訪問の際、整備されていれば安心するけれど、そのままでは「安いからの依頼か?」なんてのやっかみ。


「装置」「装置」と言うけれど、すべてアナログ配線です。配線図を読み、電気の流れを考えながら組み付けます。
コードを切ったり、つないだり。出入りの電装店の棚も、どこに何があるかも覚えてしまった。

昨日は、インバーター装置の時差変速の相談を受けました。アナログ的にはボリューム操作の連動装置か、
高・中・低速のタイマー切り替え?・・・でも、そんなことはパソコンのプログラムですでにやっているのです。

ニット工場や織物工場に行けば、若い人たちがパソコンに向かって仕事をしている。データーを入力すれば
機械が勝手に?動いてくれる。それが、もう当たり前の生産現場だが、アナログ人間には別世界に感じる。

でも、汗をかき、油汚れにならなければ、機械の管理が出来ない「現場」ってものも必要です。

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メンテお気楽日記 3月30日 モノづくりのポイント

2016-03-28 | メンテナンスお気楽日記
「ジスク」の製作依頼です。紙管サイズが変われば、当然、ワインダーのクレドールも変更になります。

クレドールのフランジはメーカーに注文すれば済むことなのだが、納期が2か月あまり、価格も客先が
納得しない様な見積もりが帰ってきます。だって、メーカー自体に在庫ってモノがない。

こんなご時世だから、こっちで作ろう思えば作れないこともない、色々と方法もある。
まず、鉄加工が一番簡単だが、サビ止めのメッキ加工の二度手間が必要となる。時間がかからず、また
見栄えのする製品に加工するには、「樹脂での削り出し加工」が良い。

ところが、○にたがわず?出入りの加工所は廃業してしまった。次に見つけた加工所も病気休業。
そこいらじゅうに声を掛けたが、少ロットの加工は難しい。鉄工所でも同じ状況にある。

そんな折、大手の樹脂工場が引き受けてくれた。要因は、ベテラン社員の仕事確保?
すべてが生産ラインでものづくり出来る訳でもなく、ベテラン(再雇用)の技術も必要だが、正直、
毎日仕事がある(出来る)訳でもない。少ロットは技術伝承のかてと言うのが、営業さんの意見。


約2週間で製品は仕上がってきたが、何かオカシイ?あたりが微妙に違う。言えば0,1~2㍉の差。
何のための製品(部品)であり、何をどうするために、この部品が必要か?伝わりきれなかった。

サイズはピッタリです。しかし、企業はキャップメーカーで締めやすく・開けやすいを良しとする。
でも、今回の注文は紙管ジスクです。紙管を固定することが求められ、回転はベアリングの役目です。
紙管とジスクがすり合わせ状態では、へたりが発生する。その0、何㍉の差が目的を異なる。


メーカーの純正部品がベストなのは解っている。それは何年にも及ぶ改造と改正で、その部品の
製作ポイントをおさえ、その仕事のために作って来た。それを真似しようなんて、どだい無理もある。

メーカー部品が高いのも理解しなければならない。それを怠れば、メーカー自体の技術も無くなる。
そして、日本(大きく出た)の技術大国の骨幹をも揺るがすこととなる。でも、安いほうが・・・

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メンテお気楽日記 3月28日 関東地区でピカピカ・レストア・ワインダー

2016-03-28 | メンテナンスお気楽日記
                            資料写真ですのでピカピカじゃありません
去年の春の事です。客先工場が防衛省の移転予定地区にかかり、機械補償の見積もりを依頼されました。

と言っても、メーカーでの新台製作も出来ない状態では、台替え価格も出し様ようがない。
まさか、新工場に使っていた中古機を移設すれば、場違い?と言うか、異様な感じになってしまう。

話し合って「完全レストア機」として、見積もり価格を提出することとなりました。
工場解体前、中古機台はメーカーのあった桐生市に運ばれ、時間をかけてレストア準備が始まりました。

ところが、話が突然、180度変わってしまった。移転予定地は住宅区域で工場が建てられない。
工場地区も提案されたが、生活環境が整っていないので、老後?の生活がままならないとの事です。

夫婦の結論は、これを機に「廃業」して、住宅地区に家を構えることとなりました。
「廃業」となれば、機械補償は消えてしまいます。防衛省からの発注前というミスも重なりました。


結局、桐生に運んだ12錘機2台のワインダーは宙ぶらりん、もちろんレストア作業も仕上がっています。
当初は「やはり、ピカピカのワインダーじゃなければ・・」って顧客要望もあると思っていましたが、
世の中、そんなに簡単ではなかった。時間ばかりが無意味に過ぎて行く。

無意味どころか、借り工場なので毎月の経費すら掛かってしまう。「分解してしまおうか?」そんな相談も
されました。もったいない。北陸では毎月何台かの中古ワインダーをお世話しています。でも大半は、
県内や関西・中京方面です。京都や奈良・一の宮の移設には約6万の別途・運搬移設経費もかかります。

それを、関東から運搬すれば、余分な経費が必要となる。さらにレストア仕様だから価格も異なる。
やはり、関東にある機械は、関東地方でお世話できればベスト。宅急便で全国配送とはモノが違う。


「誰か、関東地区の方、ワインダーの必要な人はいませんかー?再塗装されてピカピカですョー」

まさに、そう叫びたい感じです。中古機お世話場合は、買いたい人と売りたい人のタイミングが重要です。
ポンポンポンと話が進むこともあれば、どれだけ探しても見つからない・すれ違うことだってある。

買いたい時に買えないのが、中古機械であり。売りたい時に売れないのも、中古機械です。
だって、約30年新車?製造は皆無と言ってよい、新車販売がなければ、中古車が出てくるハズもない。

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メンテお気楽日記 3月27日 糸ヘン女子

2016-03-27 | メンテナンスお気楽日記
各地には、「産地」と呼ばれる「特産品」があります。もちろん、気候や環境が生産に適していると
いう要因もあると思うが、一番の要因は、その仕事が「儲かった」からです。

北陸でも「弁当忘れても、傘忘れるな!」って湿度が「絹糸加工」に適していました。
儲かる仕事と知れば、百姓納屋を改装して「イタリー撚糸機」を導入。それでもまだ儲かった為、
工場を作り、女工さんを雇い、一大産地として、地場産業の振興に寄与してきた。


時は流れ、人々の需要が「大量生産・大量消費」から離れ、「海外生産」というコスト優先の対応も
取られた。「作れば売れる」という時代は終わってしまった。絹糸の衣料需要は極めて少ない。

早々に見切りをつけた「絹撚糸工場」は廃業し、数も半減した。そして今、また半減の危機にある。
そこで聞くのは「後継者がいない」の声。でも、息子もいれば娘もいる。工場も設備もある。

それでも「後継者がいない」と言うのは、はっきり言えば「儲からない」の一言に尽きる。

技術の伝承・工場の不足・機器部品の撤退・産業の衰退。今頃になって焦っても、もう遅い。
原因は、若者が生活出来ない「加工費」にある。年金の足しにしか出来ない加工費では所詮ムリな話。
高齢者賃金に甘んじてきた流れが、産業の流れおも止めた。川は流れるから、魚が住める。

工場の維持(存続)には、女工さんの給与、機械の維持費、そして家族の生活費が必要です。
「女工さんに来てもらうには、自分の給与を削るしかない・・」 後継者の給与はどうなっている?


・・ってな事ばかり言ってはみても、現状、若い後継者も大勢います。そして、懸命にガンバッテいます。
「糸ヘン産業」を維持していくためには、「若いチカラ」が必要不可欠で、また頼りです。

その為には、仕事の意義や楽しさを伝える以前に、「儲かる仕事」として伝承しなければならない。
儲かってこそ、興味をもって仕事が出来、技術の伝承も絶えることはないと信じます。
若者の夢・希望、そして、チャレンジ出来る環境づくりこそ、伝承の課題でもある。

色々な工場や企業を回って、感じていることがあります。

それは、女子が元気?な工場は、雰囲気が明るく、やる気すら感じられる。女工さんであったり奥さんで
あったりします。事務員のお姉さんが能天気?なだけでも、つい明るくなってしまう。

男を元気にして、仕事を楽しくするには「女子力」の影響は大きいと考えます。
「歴女」「鉄女」「○○女」などが取り上げられていますが、「糸女」が頑張れば、環境も変わるかも?

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メンテお気楽日記 3月23日 他人のフンドシ

2016-03-23 | メンテナンスお気楽日記
                新情報・三筋STL-2 24錘機 山形県の工場だそうです。

日本製のプラモデルやフィギュアを、海外にネット販売して年商ン億円の会社があるそうです。
社長は外国人で、日本製品の繊細さに目を付け「絶対に売れる」と3人から起業したそうです。

「販売」とは、売れるモノを見つけるだけでも「商い」として成立します。でも、どちらかと言うと
自分たちは「売れるモノを作る」ことにばかり、目が行き、自分の仕事から抜け出せないでいます。

「需要」があっての「販売・商い」が原則ですが、作り手が「需要」を作り出すことは極めて困難です。
せいぜい「うちの製品・技術を何かに活用出来ないか?そして、仕事が増えれば・・・」です。

それはそれで、良い事だと思うが、ヒット商品が「なぜ?売れているのか、何が?求められているのか」
考え、感じることも大切です。他社の商品を認めるからこそ、次のステップも見えてくる。


ブログを始めて他県からの「問い合わせ」も増えました。でも大半は「こんな機械ありませんか?」の
新規メールです。ああしたい、こうしたいのメンテ相談は半分以下です。

もちろん、客先の仕事内容を理解した上で、最適の情報を提供することもあります。でも、それは
自店倉庫に無い場合もある。仲間の倉庫だったり、同業者の客先工場の情報だったりします。

興味を示していただいても、まず仲間や同業者を紹介することから始まります。
いくら売れそうな?機械でも、自分の機械としてお世話するには「不安」も残ります。

「餅は餅屋」 専門職だからこその知識・技術が必要とされます。もし「知ったかぶり」でお世話すれば
一番迷惑がかかるのは客先で、自分への信頼も失う。だからこそ、その機械の専門職を紹介します。


じゃ、三筋の取り分は? 在庫も待たず、情報だけ。修理部品も無ければ、整備も心もとない?
出来ることは「こんなの探しているお客がいるョ」って仲間に連絡して、話を前に進める。

客先が下見を希望すれば、仲間の倉庫や工場へ案内します。同行しても、機械の説明も出来ない。
仲間が一生懸命説明しても、横でうなづくだけ。倉庫の他の機械の方が気になります。
これで、儲けを確保したいなんて虫のいい話。でも、見返りはちゃんとありますから心配なく。


情報が直接お金になるとは思っていない。帰ってくるのは「感謝と心づかい」
でも、この「心づかい」が自分の財産にもなり、儲け話(情報)も飛び込んでくる。

「他人のフンドシ」は、どんな逸話から出た言葉かは知らないけれど、仲間やお客のフンドシのおかげで
けっこう、楽しい思いや、楽な仕事もさせてもらっている。他人の力こそが財産です。

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