三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 12月31日 需要はどこにあるのか?

2016-12-31 | メンテナンスお気楽日記
                  gooのお絵かきツールが無くなってから「マンガ」が描きにくい

今年の仕事納めは、風邪のため29日より強制的?に動けない状態です。まだ掃除も手付かずで、
このまま年を越しになりそうです。ま、元旦営業がまかり通る世相だから、こんなことも有りかと
自分で自分を納得させることしか出来ない。

仕事納めは切り良く?お休みに入ったが、ブログ日記まで、お休みってワケにはいかないだろうと、
掃除する気力も無いくせに、パソコンのキーだけは叩きます。


何年か前(大分昔?)小松撚糸組合の絹部会から、温泉一泊の新年会に招待されました。
大半は、顔見知りばかりですが、横から目線での、忌憚のない意見が聞きたいとのお呼びでした。

ちょうどその年の暮れ、県の繊維大学講座に出席して、ものづくりの基礎理念などを教えてもらった
こともあり「知ったかぶり?」で参加しました。でも本職を前にすれば「釈迦に説法」状態です。

みんな、何が問題なのかも、何がどうなれば?も解り過ぎるくらい理解はしている。
中でも、一番の課題は「絹の需要」でした。需要さえあれば、高齢化問題も技術伝承の心配もない。


いっとき、福島大震災によるタンス和装の消失。もしかしての邪心もありましたが、見事に外れました。
当然と言えば当然な結果だとも言えよう。やはり、需要は作り出しての需要でなければならない。

酒の席で出た、絹のふんどし・綸子チーフ・新郎用ピンクのネクタイ。何一つ実現していません。
絹のふんどしはマニアックとしても、ピンクのネクタイの需要はまだ作れると思っています。

じゃなぜ?実現しないのか。それは「プロヂューサー・仕掛け人」の存在です。
「ハロウィン」や「恵方巻き」、何年か前は存在しなかった「祭り」を演出した仕掛け人がいるハズです。

南極で冷蔵庫を売ったセールスマンの話も聞いた。結果として聞けば「なるほど」で終わるが
目の付け所と、何より「実行力」がすごいです。考えるだけではモノは進みません。


「こんなモノを作れば売れる」よく聞く話でもある。しかし、独りよがりで終わることも多い。
需要はそう簡単にころがっているハズも無い。作ってこそ、仕掛けてこその需要かも知れない。

撚糸屋で言えば、いくら技術に自信を持っていても、注文が殺到する事は、まずありません。
その技術が、何かを作るために必要とされたとき、はじめて注文が来て、爆発もするのです。


「棚からボタもち」実は棚の後ろから、棒で押さなければ落ちて来ません。それが「仕掛け人」です。

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メンテお気楽日記 12月26日 アルミナ注意予報

2016-12-26 | メンテナンスお気楽日記
今日訪ねた、福井のワインダー加工の請負工場でのことです。

福井はエステル繊維が多い土地柄だから、中古ワインダーを世話する際も、特に気を付けなければなら
ない。ちょっとしたガイドのキズでも、糸(仕事)が変わると、フィラメント割れを起こすことがある。

長繊維の分割といっても、以前みたいに1kgなら、まだマシ?で、試編み整経の250g巻き。
その為、紙管の数が半端ない。巻き賃と紙管代が同等なんて、もう当たり前の世界?

中古紙管の業者?も、糸クズ整理の手間賃も出ないと、そのまま持ち込んでくる。
おやじとは、その糸クズをせっせと、カッターで切りながらの話し相手でした。

「2・3本切ると、カッターが切れなくなる。刃を折るのもエライ手間仕事ダ。」「?・?・?」

「炭素繊維でもないみたいだけど、ガラス繊維とも違うし、何かの金属ポリマー加工糸か?」
「そんなこと解るはずもない。只、残糸が多いってことは、使い物にならなかったことかナ」


もう何年か前は、炭素繊維の活用方法に対して、数々の企業が挑戦したが、現在、大半以上が手を引いた。
ただ手を引くだけなら良いが、大変な置き土産が残った。ガイド等のキズです。

原着糸なら簡単そう?に見えたが、実は大変なくせ者でした。撚台のフライヤーはもちろんのこと、
絶対にキズが付かない?なんて言われたアルミナガイドまで、見事な糸道を作った。

ワインダーでも「どうしても巻き糸が締まる」と言われ、調べたらアルミナへの食い込みでした。
言ってみれば「糸ヤスリ」を巻いている状態だから、当然かもしれない。

問題なのは、加工賃の割高に飛びついた工場です。割高には割高の、理由ってものもある。
仕事が変わる事は仕方がない?しかし、あれやこれやと手を出すとロクなことにはならない。
仕事の流れ以上に、その糸にあった技術、その糸のクセ、その糸の機械ってものも変わって来る。


最近、又?「機能繊維」絡みの問い合わせが増えています。銅・銀・ガラス等などです。

もちろん、糸づくりの方はお任せですが、その糸をどう巻き上げるかが課題のようです。
アドバイスにも限界があります。だって、見たこともない糸を何のためにドウしたいのか?

当然、新規機械製作の話はありません。中古ワインダーでの仕様変更が求められる。
何がポイントで、何に注意しなければならないか?自分にとっても試行錯誤です。


まずは、自社のガイド点検をお願いします。ガイドの裏側、糸が擦れる箇所のチェックです。

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メンテお気楽日記 12月23日 その差は何なんだろう?

2016-12-23 | メンテナンスお気楽日記
                        まだ、売れ残っています。中国製・・・

日本産も絹糸。日本産の漆。日本産の〇〇。こだわっている人は多いです。

なぜ何だろう?産地の特徴こそあれ、お蚕さんの糸、漆の木の特性なんて、そう変わりはない。
でも、ものづくりにこだわる?人からは「日本製の材料でなけりゃ」の言葉を聞く。

糸偏のお世話をしていても、海外製部品だと言うと一応に躊躇される。アルミナガイドにカマの刃。
確かに、カマの刃はひどかった、4~5回で糸が切れない。韓国製と台湾製とも聞いた。

でも、日本で作る人はいなくなった。後継者も当然いない。需要が少なければ生活が成り立たない。
でも、必要とする人もいるから、海外製を輸入。アルミナガイドも種類が極端に少なくなっている。


海外コピー?製品との差は何なんだろう。解りきってはいることだが、今一度、確認したい。

それは「加工技術のこだわり」です。形として作れば、売れるという甘い認識です。日本人が
そうさせた責任の一端もあります。同じようなモノを安く作る方法として、技術委託。
そこには、なぜ?その品が必要か?の意識が伝わっていない。こだわりのないモノづくり。

インド製のドラムを扱って欲しいとの商社もありました。アルミナピッチも入っていて安かったので
試しに?客先へお世話。ところが、オニ綾は消えないどころか、ワインダー全体がブレ出した。
原因は、ドラムバランスの不備。タイヤホイールの格安品もあると聞くが、怖い話です。

紙管でも失敗しました。巻き糸の端が汚れると言うので、ベアリング交換したり、アジャストアームを
交換したり、けっこう経費を使って頂きました。ところが、原因は中国製の紙管でした。

分厚くて丈夫そうに見えたが、パルプ含有量が少ない言わば「灰色の紙管」でした。糊が変色したり
巻き紙がめくれ上がる事故も見てきました。一本15円が常識のところ5~7円と言われれば・・・


今日は、こんな海外製品の悪口を並び立てる気持ちはサラサラなかったが、つい、横道へ。

「こだわりのある、ものづくり」その為に必要なものは「手間」です。使う人のことを想って作る
ひと手間、これが品質に限らず、日本製品の魅力でもあった。着物一幅に仕上がるまで、どれだけ多くの
職人さんたちの「思い入れ」が重なっているか計り知れない。一人ひとりの「こだわり」と「手間」

糸を紡ぐ人、撚る人、織る人、染める人、仕立てる人。一人ひとりが「職人」としてのプライド。

ところが、心配なことは、この「手間」が掛けられない現状もある。はっきり言って儲からない。
経費・維持費・人件費を精算すれば、残らないって現状。儲からなければ「余裕」なんて無理。

さんざん、海外製品のグチを言ったが、この現状では、同じ方向へ向いてしまう。
こだわりを忘れた日本製品には何が残るのだろう。こだわりこそが日本製品の魅力でもある。

ところで、貴方の工場のこだわりはありますか?胸を張って言えてこそ「お仕事」です。

まだ書き足りない事が悶々としてるが、乱文気味なので、今日はおしまい。


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メンテお気楽日記 12月19日 はしっぺ商品

2016-12-19 | メンテナンスお気楽日記
まず、話を始める前に「割れせんべい」や「曲がり胡瓜」を想像して下さい。

正規?の商品にならない「割れせんべい」も「曲がった胡瓜」も産直市場では、立派な商品として
流通しています。野菜などは、市場ルートが無い分、より新鮮だと、わざわざ選ぶ人も多い。

曲がり野菜でもっと言わせてもらえば「仙台のまがりネギ」真っ直ぐなネギを、わざわざ植替えて
曲がったネギを作っています。味が濃くなるとかで、特産品として売られています。


本来ならば、市場規格・市場ルートに出ないであろう商品を目にする機会が多くなりました。

中には、市場では見たこともない鮮魚を「売り」にしている居酒屋さんだってある。
スーパーの卵売り場にある「不ぞろい卵」どう考えても、こっちの方が手間がかかるハズ。

流れの発端は「道の駅」と考えています。今、全国にどれだけあるのか知らないが、どの店舗にも
「産直野菜」「特産〇〇」のコーナーがあります。当初はJA規格に合わない野菜などを格安で
提供すれば、農家の「お小遣い」になる。いわば「無人市場」の集合店舗版です。

ところが、そっちの方が「需要」というか「魅力」があったという事です。
価格帯も要因かも知れませんが「差別化」「価値観」「個性」という、時代のニーズ思考が
大きな流れです。産業で言う、量から質へ、質から差へと変化しているのです。

街でも、目を凝らせば「はしっぺ商品」を見つけることが出来る。見つければ個人情報です。
食品ならば、切り餅のはしっぺ、カステラのはしっぺ、ジビエ肉なんて最たるものです。

食品だけではありません。繊維関係でも言えば、西脇の端生地、一の宮の糸市場、セーター工場の
試作品感謝祭なんて、行列です。石川県でいえば「かほく市」の製紐とゴム織物ですか。


写真は富山県の福光いっぷく茶屋です。福光は木製バットやゲートボールのステックの産地です。
初めて見た時は、紙管立てのペッグ駒をイメージしました。もちろんその後、製作お世話もしました。
仕入価格は秘密です。手間賃が儲けです。それでも「安い」と喜ばれました。


気になるのは、不良品をいっさい外には出さない「品質管理」の信用問題です。
それはそれで、メーカーや加工工場にとって、一番大切な事でもある。しかしロスも発生します。

そのロス率を価格帯に反映させざるを得ないのも理解できる。しかし、本当にロスなのか疑問も
残ります。せっかく作った製品を処分するためのロス。当然と考えるか、もったいないと考えるか

その為には、別の価値観の目線も必要となる。欲しいと思う人がいるからこその「ものづくり」
その答えが「はしっぺ」にあるとも言い切れないのが、ジレンマでもある。結局、手間かも?

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メンテお気楽日記 12月16日 真田紐

2016-12-17 | メンテナンスお気楽日記
「真田丸」で一躍注目をあびた「真田紐」だが、その技術は地元にも存在した。

九谷焼を産業とし、そのための「桐箱細工」その箱を飾る「組み紐織」
当然、必要なモノとして、地元の職人たちが生業(なりわい)として生産していた。

子供の頃、友達の家に遊びに行けば、桐板のカンナ屑をおもちゃにしたり、ロクロ作業に
目を見張り、織機の音を、街の音として受け入れていた。

先日、与謝野町を訪れた時、路地から聞こえるシャットルの音に懐かしささえ感じた。


繊維加工の海外移行により、中小工場の廃業も余儀なくされてはいるが、すべてが海外加工に
移行されることも、サラサラない。必要とされる処、残るべき処は、立派に残っている。
で、なければ国内産業に稀少をきたす事も、解りきっている事でもある。

わざわざ設備を移設し、技術を教え、製品として輸入するメリットは大手量販商社にしかない。
国内産業の糧は、となりにあるのが望ましい。地産地消とは言わないまでも、身近なお仲間。
それでこそ、産業の発展・技術の伝承もなされていく。そしてみんなの生活も、それなりに・・


自分も「真田紐」という名前は、最近になってよく使う言葉になりました。
それまでは、リボン屋さん・ネーム屋さん・トリミング屋・製紐屋・細幅織物などなど、
材料・資材加工の工場として、それぞれの技術・製品として、見聞きしてきました。

それが、真田紐の看板を揚げ、製品売り場も併設されている工場があります。
知人からは「金沢で真田紐?」って言葉も聞きましたが、技術が認められたこその依頼です。
本家に勝るとも劣らない加工技術だからこそ、ブランドとして「名」を使うことが出来る。

最近、なぜか?海外工場の担当者や工場長との面談の機会があります。
仕事一辺倒の商談(言葉はわからない)の中で、手土産は場を和みさす事が出来る。
以前は、道の駅の近くの倉庫だったから、九谷焼か山中塗の小物だったが、今は真田紐です。

荷物にもならないし、やはり繊維関係でしょ。糸偏には糸偏のお土産が喜ばれる。みたい?


話を元に戻せば、小松綸子は英国ブランドの裏生地としてネーム織り込みで輸出されていました。
それ程、価値があり、技術があったという事です。まだ?名前こそ無いが、優れた技術
こだわりの技術は、となりの工場、自分の工場にも、あると言う事です。

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