三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 10月30日 職人工料

2016-10-30 | メンテナンスお気楽日記
職人さんの「工料」は、実にさまざまです。一括請負工料もあれば、作業時間工料もある。

企業委託職人さんもいれば、個人請負職人もいる。企業請負となれば、建設業?と言わないまでも、
子請け・孫請けと委託経費が割り増しされます。メーカー・販売店委託にも当然、事務経費が加算されます。


ひと昔前は、機台据え付け工事となると、メーカー嘱託の「職人集団」が形成され、4・5人で現場に入り
何日間で工事をしました。発注工場社長によると「温泉接待までしたもんだ」それが当然でもあった時代でした。

自分が家を建てた時も、お昼やお茶の時間を見計らって、お茶菓子やジュース等をお世話するのが日課でした。
それほど、設備投資の手間は、企業や個人にとっても一大事業であり、職人さんは心強い存在でした。


ところが、昨今の「職人」の存在は、メンテナンスや設備維持・補充に限られている。設備投資と言うよりも
修理や保全・改造がおもな仕事です。税金項目で言えば「設備費」じゃなくて「修繕費」です。

もちろん、その事によって、仕事が楽になったり、加工量が増えたりするのですが、あくまでも「修繕費」です。
減価償却にならないとすれば「修繕費」は少ないほど利益は確保できます。それが「工料」でもあります。


「便りの無いのは良い便り」の言葉がある様に、メンテ(修理)のない事は、良い事なのかもしれない。
しかし、一つ事が発生した時には、必要であり、心強い存在でもある。警察や消防と同様でもある。

有り過ぎても困る、無くても困る。それが修理であり職人です。そして、控えたいのは「工料」です。

ところが「職人」となると、話は別です。
「知識・知恵・技術」これは、受け入れたい「技」です。この「対価」が「工料」と考えて下さい。
単に、仕事をこなす、時間をこなすだけでは、アルバイトの時給700円800円の対価です。

まさか、アルバイトの警察官や消防士はいないと思うけれど、給与・人員で換算すれば、大変な「工料」です。
ひとつの事をなしえる為の「技」を持った人を「職人」と言います。その対価こそが「工料」です。


「少しでも経費を抑えたい」その気持ちも解らないではない。しかし、それは「儲からない会社」の論理でもある。
「職人」を育てることは、設備を充実し、技術を習得するチャンスでもある。目には見えない「投資」でもある。

「ピンチの後にはチャンス」困った時にこそ、「職人」の技術や意見・アイデアを手に入れることが出来る。



_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ



メンテお気楽日記 10月28日 メーカー在庫

2016-10-29 | メンテナンスお気楽日記
「中古機械」の情報依頼もさることながら、「部品」さがしの依頼も多々ある。
これが、やっかいと言うか、希望ピッタリの部品が出てくる事は、難しい。まず、サイズが違えば使えない。


客先は、修理の為や、設備補充の為に必要となる訳だが、中古部品在庫の保管となると、機械を整理した業者に
ゆだねられる。「これは、残しておいた方が・・」まさに、その時の、胸先三寸で運命が変わる。

業者にしたって、なんでも仕舞い込める倉庫に余裕がある訳でもなく、いつ売れるかも解らない品を山積みにも
出来ない。おいおい定番品、自分の得意分野の品しか残さない。あとは、早々に処分されます。


もちろん、修理や補充には「新品交換」が望ましいが、メーカー単価がわかっているだけに、躊躇してしまう。

メーカー単価の事情も理解できる。機械製作納品時には1000個2000個のロットが、機械維持のために
それだけの発注も出来ないし、在庫維持も出来ない。「これだけ作ったら、何年あるか・・」の話も聞いた。


確かに、中古部品で修理・補充が出来れば、価格は1/4~1/5で稼働・維持でき、経費的にも望ましい。
しかし、中古部品は中古部品であることも客先理解がいる。「当たりはずれ」とは言い過ぎでもない。

業者の泣き言は「もっとマシな品がないのか?」って小言です。けっして、使えない品を世話してる訳でもなく
選別までしてお世話しているのに・・・「じゃ、新品買ってョ」の一言も言いたい。


ところが、「価格」だけの問題でないのも現状です。はっきり言って、メーカー部品も不足しています。

「もちろん、作る事は出来るが、納期が2~3ヶ月。価格は〇〇」 客先が簡単に納得できる訳でもない。
 単品注文となると、信じられない見積りが戻ってきます。既存部品も2・3割高が常識?です。

メーカーが「強気」って訳でもありません。ハッキリ言って「儲けの出ない商い」は出来ないのです。
在庫を抱えれば、製作費が掛かる維持費が掛かる。注文分に正直に対応すれば、この価格になってしまう。


部品製作の量産体制は、もう20~30年前に終わっています。それは町工場の廃業を見れば解ります。
「注文がなければ作れない」「作らなければ利益が出ない」「工事が廃業してしまえば 作れない!」
メーカー対応は、別途加工工場にお願いする事となります。前価格を維持するのは、まず、無理と考えます。

もう一つの対応が「中古対応」です。メーカーに注文すれば・・って事ではありません。
出入りの機料店にお願いするしか方法はない。ところが、機料店も得意分野以外の守備範囲が狭いのも現実です。

情報網を屈指して・・・・でも、その網目もけっして細かいとは言えません。
ともあれ、もし、ピッタリの中古部品が見つかったとすれば「バンザ~イ」です。宝クジと思って下さい。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ






メンテお気楽日記 10月26日 テグスの切り方

2016-10-27 | メンテナンスお気楽日記
                        テグスの拡大写真を撮ってみました。(ハサミ切り状態)

今日も、少々マニアックな記事になりそうです。事の起こりはテグスの切り方です。

シリンダーにテグス板キャップを被せ、解除ビリを抑える方法は、昔からの撚糸屋さんの常識?で、
その部品が手に入り難くなっている事は、以前のブログにも書きましたが、今日はその使い方です。

テグスの長さを均一にするため、カット調整しますが、その場合、カミソリやカッターが「常識」でした。
ハサミは簡単だが、テグス先が潰れ「かえりダンゴ」が出来るからです。解除糸がダンゴに引っ掛かり
微振動がピシピシと発生するからです。

その為にも、リングキャップやループリングキャップ。その昔は「猫毛リング」なんてのもありました。
すべて、ビリを抑えながら、解除糸ムラを少なくする為に考えられていました。

今でも、テグス数を8・16・32本と数を増やすのは、その効果を得る為です。
テグス番手の選択もさることながら、撚糸屋さんにとっては、けっこうな手間作業でした。

最近は、シール式の出来合い部品がありますが、テグスの長さは最大限に設定されている為、
テグスのカットは必要となります。キャップ鍔の大きさや、糸質によっても選択されます。


ある工場に入った際、ちょうどキャップ製作をしていました。それが、ハサミでチョンチョンと!

「おい・おい・おい」知ったかぶりで講釈しようとしたら、ビリを停めるためワザとハサミ切りとのこと?。
ビリ糸の巻き返し稼働中は、なんら問題なく作業できるが、よく切れる糸のため中断を余儀なくされるとのこと。

その際、留まった糸がダンゴに引っ掛かり、糸バレ(糸ズレ)を押さえ、つなぎ作業がし易いとの返事。
やってみなければ解らない。やってみて、どちらを選択するか?って事です。そこには常識はない?


解除糸バルーン距離にも同じことが言えます。常道は給糸リフトの1,5倍が糸口距離となります。
ところが、ボビンの鍔径や厚さによって、ベスト位置が異なります。糸質によってもバルーン状態が異なります。
パーン給糸の場合も、床から距離をとり長いバルーンを取りますが、パーンの1/3がベストの例もある。

リボンブレーカーもツインタイマーの設定も、よく質問されますが、機台の状況・糸の質によって異なります。
単に、初期のオムロンタイマーが6秒目盛りだった事から、ON6:OFF1の設定になっただけのことです。


この様に、常識?と思っている事が、あまり意味のない事であったり、その仕事に合った別方法があったりします。
まず、常識と言われる方法はやってみる。次に別の方法もやってみる。失敗すれば、戻るだけの事なのだから。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ



メンテお気楽日記 10月25日 嫁さん探し(中古機情報)

2016-10-25 | メンテナンスお気楽日記
自分は、中古機械のお世話の場合、よく「嫁に出す。」と言います。

段取りとしては「お見合い」をプロデュースする事となるのだが、まずは、婿さんの希望を徹底的の聞く。
客先や機料店倉庫にいる「結婚希望娘」や自店倉庫の娘から、客先の希望に合う娘を選んで紹介する。

娘・娘とは言ってはいるが、すべて「出戻り娘」でもある、30代ならまだ若い、40~50代の娘?を
世話するのだから、相当のやりてババァいやジジィということになる。

出来る事は、嫁ぎ先で「文句を言わない」娘に仕立てることなのだが、最近は婿さんの要望も多彩。
小柄で、ゆっくりと(自在)に活動し、休む(止まる)時は時間通りの娘がイイと言う。
婿さんのタイプも多種多様で、30・50Dの細身タイプから、スパン・ニットの肥満体まで。


ところが、世相は「嫁不足」。出戻りなら、まだ花も咲くが、高齢で逝ってしまった娘も多い。
新婚希望の婿さんは、極端に少ないと言うよりも、新妻が怖くて?手が出せない状況にもある。

撚糸工場や織物工場の嫁は「働き者」ではなければならない。仕事の担い手として求められる。
そりゃ、美人は美人に越したことはないが、決して思い通りにはいかないし、飾りモノでもない。

小柄な娘なら、手間もかけ化粧直し(ペンキ仕上げ)もしようかと思うが、12錘以上になれば
お風呂(マジックリン清掃)で、一丁上がり。手間を掛ける工賃も付けれないのが正直なところ。


困ることは、ワインダー娘なら、どこをどうすれば、婿さんの気に入る様に出来るか、すぐ解る。
ところが、燃台娘や準備機娘となると、何が必要なのか?何を聞けばいいのかすら解らない。

冗談ではなく、うちに「ワインダー下さい。」って言われているのと同じ。そうなれば、別の世話焼きババァの
力が必要となる。幸いにして、周りには、それ専門の、世話焼きじじぃ?がいて心強い面もある。


もう一つの問題は、嫁ぎ先が、けっこう遠方の話が多くなった。
と、言うことは「どうだ、仲良くやっているか?」なんて、覗きに行くことも出来ない。

嫁いだ後は、なしのつぶてって事も多い。電話一本でもあれば「こうした方がイイよ」なんても言えるのに。
多分、自分なりに頑張っているのだろうか?それとも旦那さんが良い人なんだろうか?

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ


メンテお気楽日記10月24日 マニアックな?ブログ

2016-10-24 | メンテナンスお気楽日記
                   巻き玉給糸用のビリ止め装置(鉢受皿100円ショップの手作りです。)

よく、ブログ記事を読んで頂いている人から「マニアックなブログだね」って言葉を聞く。

確かに、自分でもそう思う。生活の一コマより、糸ヘンの技術記事の方が確実に多い。
自分では、ボヤキ記事が多くなり、同感者が増えることの方が気がかりとなっている。

自分は今66才になりました。「あんちゃん!」と呼ばれながら、一応技術職として、繊維機械業界で
飯を食ってきました。ところが、この歳になり、ふっと後ろを見渡せば、繊維機械職人がいません。

出入り工場の工場長も、40・50代です。先輩職人や先輩工場長は、引退や別の世界に逝っています。
教えてもらう人がいないのに気付きました。いつまでも「あんちゃん」は自分の気持ちだけって事です。

もちろん、若い工場長からも色んな事を教えられます。「餅は餅屋」で自分の知らない事も、まだまだ多い。
只、工場長も知らない事が多いと感じます。たがいに教え合ってこそ、技術は技術として「実」ともなる。


例えば、撚り技術・織技術・染技術。自分が「へぇー、そうなんだ!」って事も多いです。
しかし、巻き糸に「綾落ち」が発生する原因、「オニ綾」を回避する方法、「ビリ」を止める方法などなど、
なぜ?そんな事が起こるかの、傾向や原因、又、対策となると、意外と?知らないまま仕事をしている。

「綾落ち」は3つの原因が考えられます。テンションと静電気とオニ綾です。落ち形状を見れば判断できます。
「オニ綾」はドラムトラバース機構では必ず発生します。ドラム径と巻き径がポイントです。回避する方法は・・
「ビリ止め」も先人たちが、色々の対策を講じてきました。どの場面ではどの対策が効果的か?などです。


自分がが知っているだけでは、何の役にも立たないし、相談された時だけの、対策であり対応です。
「ブログ」という、誰でも気軽に覗ける媒体を使えば、知らない処でも何かの「役」には立てると信じています。

特に、ネット媒体は若い人達ちが得意?とし、相談相手や教えてもらう機会の少ない人達ちが多いとも感じています。
「知らない事は人に聞け」「聞くは一時の恥、聞かざるは一生の恥」は道理でもあるが、環境が整っていない。

たがいに話し合う機会が少なければ、テレビやネット媒体の知恵でも良いと思います。少なくとも知識にはなる。
それを、確かめてみる・実践してみる事が、自分の血となり身となる方法でもあります。解らない事はやってみる。

その為にも、三筋のブログは糸加工にとって多少?マニアックな方が良い。少しでも問題に近づけるハズです。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ