三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 3月30日 B型Hボビン

2017-03-31 | メンテナンスお気楽日記
織マーク協同組合からの連絡でした。「ボビンを処分したいのだが・・」
えっ、ちょつと驚きです。ここでは、わざわざB型のHボビンを探し回って納品した経緯がある。
今では、鍔の小さなA型B型ボビンは、特殊部品となり、中古市場では希少価値です。(写真の黒色、上からA・B)

レーヨンの極細繊維のカセ染糸を、カセ繰りしてHボビンに巻く、それを整経機にかける際、C型やK型の
Hボビンでは、鍔の抵抗が大きく解除に不具合がでる。わざわざ胴が太く、鍔の小さい、B型ボビンが必要とされる。

B型ボビンは糸量にして、250~300gしか巻けない。世の中?のHボビンはC型K型の750g~1kg巻きが
主流である。量産時代の設備としては、当然のこと。Hボビンの処分在庫は出てきても、B型は、まず出てこない。

福井のネーム屋さんからは、5~60年前のガンガンカセ揚げ機を探せと言われたけれど、同じ理由でもある。
糸が繊細になれば、量産時代の設備機械では、対応出来ない不具合が出て来るとのことでした。


ネーム業界も、一時はインクジェット普及の波で、白生地の極細織りに甘んじていたが、色糸での文字・図柄織りにも
誇りと技術がある。同じ福井の工業センターでは、絵葉書と、まったく変わらない織物を見たことがある。

只、ネーム織りには、極細繊維を染めた色糸が必要となる。多色糸の染めとなると、チーズ染色では不効率。
おいおいカセ染色が必要とされるが、その糸を整経や織機にかけるための、前工程も必要となってくる。


B型用ボビン繰りの機械がないのも事実です。C型K型とはクレドールサイズも違います。250gしか巻けない機械は
もう、とっくに処分されています。カセ繰り機として出てくるのは、量産型機械ばかりです。

商社に頼まれて、C型Hボビンに下糸を巻いて、無理無理250gのB型ボビンとしてお世話したこともあった。

今回のお世話では、もう一つ問題が発生した。織マークが処分したい400本のボビンは、その下糸付きでした。
産廃屋さんには、ABS樹脂として、引き取りをタダでお願いしたが、下糸が混ざっていれば話が違ってくる。
まだ交渉中だが、通常通り考えれば、処分費用を請求されることとなる。どうなる事やら・・・

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メンテお気楽日記 3月27日 そんたく(忖度)

2017-03-29 | メンテナンスお気楽日記
●忖度(他人の気持ちを推し量ること)
当然のことである。でも、役人がやらない?事をするから、ややこしい問題になっているのか?

商売にしろ、ものづくりにしろ「他人を思うこと」から始まる。それが、商いともなる。
あったらいいな、出来たらいいな。が、良い品、便利な製品として、生まれ、提供も出来る。

問い合わせや、委託作業。
まず、客先の希望を理解し、それに対して、自分がどれだけの事ができるか?
それが、ものづくりにしろ、情報提供にしろ「客を思う気持ち」こそが、行動となり、好意となる。

そして、仕事をしたり、モノを売るにしても、結果はどうあれ「ありがとう」の笑顔を頂きたい。
マニュアルでは得られない笑顔は、客先のことをどれだけ思ったかに表われる。

もっと正直に言えば、大企業の東レやセーレン等からの問い合わせとなれば、やはり、入れ込みが違う。
人柄より先に、名前に負けている自分もいるのも確か。自分までも大きくなってきているかの勘違いです。

繊維工場でも時々「この糸(生地)は○○の製品になる、それをうちで作っている」と聞く事がある。
それは、自社工場の自信でもあり、勲章でもある。ブランドを支えているというジフの気持ちでもある。

今回の事件?も「総理大臣」の名前に踊らされた、役人の早合点が原因と思っている。
ありがたいと言えば、ありがたい?が、むちゃと言えばむちゃ、限度を超えている。


と、ま、時事ネタはこれくらいにして、最近、無理な問い合わせや、依頼が増えています。
最初から、畑違いの問い合わせです「ジャカード織機を探している」「ビームを世話して欲しい」
「撚糸機を移動したい」「解体屋を紹介して欲しい」等、 ワインダーとの関連はない。

色んな工場への出入りや、専門機料店との付き合いを理解していただいているのは、嬉しいが、
ワインダーとは関係ない。知らない機械のお世話には、やはり戸惑いが先立つ。

仲間たちからは「便利屋じゃないか」と笑われていますが、事は深刻で、重大でもある。

なぜ、畑違いの自分に声がかかる?それは、客先の出入り業者がいなくなったからです。
機料店・仲卸・職人がいない。高齢化もあろう、不況もあろう。儲からないから後継者も・・

んー・・・これ以上書き始めたらキリがない。後は自分で考えて下さい。今日はここまで。

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メンテお気楽日記 3月21日 海外製ワインダー 其の2

2017-03-22 | メンテナンスお気楽日記
「海外製ワインダー」について、仲間たちと話す機会がありました。

やはり、問題はコピー製品と言われる、カタチさえ同じなら売れるという、雨後の筍メーカー?です。
海外工場では、設備投資が決まれば、半端ない錘数だそうです。作れば売れる時代は日本にもあったが、
アジア諸国でも、設備投資さえすれば、お金が戻ってくると思っているらしい。

まず、日本製品との大きな違いは、「加工精度」と「材質」だそうです。
日本では、0コンマ何ミリの図面加工ですが、向こうでは「こんな形に作って欲しい」がまかり通る。

だから、低速操作ではゴマカシ?が利くが、高速運転では、振動と騒音に泣く事になる。
燃台のスピンドルが暴れ回るなんて話も聞いた。特にベアリングは信用できないらしい。

材質も銑鉄の問題が有り、材質が一定していない。以前、インド製のドラムを日本メーカーに提供したら
「アルミの中に気泡があり、バランスが取りにくい」との返事だった。


と、言うものの、いつまでもコピー製品ばかりとも考えていない。当然、○○鉄工所製なんて製品は
淘汰され、残るべきメーカーだけが、主流メーカーとして、技術を積み重ねていく。

海外工場担当者によると、確かにその動きもあるが、まだまだ日本製中古機台が安心出来るとのこと。
ゆくゆくは海外製ワインダーも考慮範囲だが、見極めには、もう少し時間が必要と感じているそうです。


怖い話ですが、今日60錘のソフトワインダーのジスク交換をしました。
ベアリングケースの遊びが大きいと感じました。本来なら交換状態です。しかし、部品がありません。
もちろん、メーカーにもありませんし、作ってもいません。100個200個の鋳物製では取り合ってもらえません。

もし、二次メーカーでの製作依頼としても、メーカー精度と材質が同じとは考えられません。
価格もおどろく事となると思います。対応は「中古で中古を直す」ことになります。

あと何年とは、言えないけれど、海外製繊維機械は確実に入って来ます。作っていない機械は中古も出ない。
繊維産業が無くならないと同じで、繊維機械も無くならない。その為の機械が必要とされます。

特に、量産高速機への影響は大きい。需要があれば、開発スピードも早いと考えなければならない。
すぐに追いつけ追い越せの状態になる。だって、日本製機械は止まっているんだもの。

30~40年前の日本製の機械。確かに精密で丈夫です。驚きに値いします。そう、繫栄期でした。
儲かればこそ、技術の進歩・発展があるのは当然です。競い合ってこその技術です。

機能性繊維の開発こそ、各社で競い合っていますが、その為の機械が無いのも、現状です。


話が違うかもしれないが、今、自分の処には、昔の機械を探して欲しいとの依頼があります。
「風合いが違う」「味わいが違う」との事です。糸に優しい、手間を掛けた加工が必要との事です。

しかし、機械屋としては、「同一品質」「持続性」「便利性」こそが機械の役割と思っています。

量産社会への「反抗」なのか? 開発ない機械への「言い訳」なのか?なぜか、一抹の疑問が残る。

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メンテお気楽日記 3月16日 海外製ワインダー

2017-03-17 | メンテナンスお気楽日記
海外製ワインダーの代理店をしているという、商社からの連絡でした。
インドネシヤ製と中国製のワインダーを取り扱っているとの事でした。

客先の心情としては、東南アジア製繊維機械には、まだまだ品質保証に不安があり、いくら低価格でも
コピー製品意識で、二の足を踏むのが現状なので、販売につなげるのは難しいと答えました。

ところが、商社もその点は充分把握していて、後々のメンテナンスや技術対応には、国内技術者の協力を
得ているとの事でした。知っている名前も何人かいました。もう、輸入実績もあるとのことでした。


これまでも、輸入機台の話はチラチラ聞いてはいるが、良かったという話は聞こえてこない。
西欧製は、取り扱いが複雑過ぎたり、東南アジア製は、品質に問題があったりとの話です。

何より、維持管理のフォロー体制がなく、部品ひとつ手に入れるのが難しいのも現状です。
周辺機器(回転計・ノッター等)のアジア製品は、時々目にします。価格は国産品の半額?です。
ところが、販売店の言い訳?は「使い捨て機器と考えて欲しい」ってことです。


カタログも頂きました。国産某メーカーの機台とそっくりです。メーカー自体は海外生産から撤退しましたが
製造技術や生産ラインは、海外に残りました。その後、アジア圏内での販売実績は、知る由もないが、
中古機台?として、国内工場に輸入されている事も知っています。

これも問題があります。同じ?機種でありながら、国内メーカーからの部品供給が一切出来ません。
「メーカー責任として、他社製品のためのメンテナンは出来ない」という事です。
部品注文の際には、機台の製造番号を連絡しなければ、取り合ってもらえません。

東南アジア製機台の魅力?は価格でもあります。新台価格が半額で手に入るならば、多少のリスクも・・

そりゃ、振興経済の量産化体制を取るアジア諸国と、受注生産体制を余儀なく?される国産メーカーとでは
製造コスト等に差が出るのは、当然のこと。部品ロットの差や外注工場が大きくのしかかって来る。


国産の技術の差、品質の差。これには誰もがジフしているのは解るが、作ってこそ、使ってこその技術です。
「うちの糸はいいョー」なんていつも言っているオヤジだが、他方からは、納期遅れの話をしょつ中聞く。

技術・品質にあぐらをかいているとは言わないが、もうブランド自体が昔話「昔は良かった・・」です。
新進ブランドも次々と表れています。それはすべて「今、何が必要とされているか?」への対応です。

材料にこだわる、品質にこだわる。安全にこだわる、見た目にこだわる。そして価格にこだわる。
「こだわり」こそがブランドとして生まれ、生き残って行く為の手段でもある。

よく、自分は「この工場のウリは何ですか?得意加工は何ですか?」なんて質問をする。
すぐに「○○かな」と出てくれば、まずは安心。で、なければ、単なる請負工場と見てしまう。

・・・・ン、又、話が横道に行っている。海外ワインダーに戻さなければ。

ン・・・・。ワインダー各種の「得意分野」の話は次の機会にします。長くなるとマニアックと言われたので。


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メンテお気楽日記 3月9日 久しぶりの、Aランク中古品

2017-03-10 | メンテナンスお気楽日記
解体業者からの電話でした「三筋の箱のままのドラムが出てきたが、要らないか?」
「ま、ツラを見てからだョ。使える部品ならば、買うョ。」

部品は大切です。特にドラムはR・Tワインダーのかなめです。
よく、中古機台の商いをしていると「うちのワインダーではケバひとつ出ないョ」なんて言われるけど、
よくよく見ると、折り返し部に糸道が付いている。糸のあたりが、同一仕事だっただけの事。

最近この事例が多いと言うよりも、もう大半が、確認時点でBランク査定にならざるを得ない。
平成29年度、約30年間、新規機台の取引は極端に少ない。新品ドラムへの交換依頼も、まれであった。

当初は、まだAランク中古としてのお世話も出来たが、新品を売らなければ、当然中古が出て来るワケがない。
Aランクをお世話したい。いやAランクでなければ。とも思うが、仕事糸から選別しなければならない状態。


なぜ、新品ドラムのお世話が出来ない?やはり、それは価格です。三筋12錘機の経費として、約20万弱。
中古機買って、まだまだおつりの来る価格です。と、言うよりも「償却」が計算出来ないのが一番の理由かも。

もう、事故が起こらなければ?、ドラム交換のお世話がないのも現状です。
それも、選びに選んだBランクから、その上で、現場でのケバ確認を終えての商いになります。
それでも、工場にとっては4万強の経費負担になります。機械維持費を用意していない工場が多い。

Aランク査定は外観から判断できます。肝心なのは糸道跡ですが、これでA・B・処分と別れます。
糸道跡がなく、外観キズが無ければAランク中古となりますが、溝のすべり(ころがり)クセもポイントです。

今回の出物は、チーズ紙管用ワインダーを購入早々に、コーン紙管用ドラムと交換したと考えられます。
親父の仕事だったかも知れません。当時は「下取り」って意識もない、裕福な?時代だったかも。

財布にはお金こそ入っていないが、Aランク部品・Aランク機器・機台があれば、商いが楽しくなるのは・・ネ。

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